フリーランスになる準備、何から始める? 失業保険・開業届・税金・社会保険を順番に整理した【完全ガイド】
会社員からフリーランスになって、いちばん戸惑うのが税金と社会保険だと思う。会社員のときは、所得税も住民税も健康保険も年金も、ぜんぶ会社が給料から天引きして払ってくれていた。だから自分が毎月いくら払っているのか、ちゃんと知らなかった。
フリーランスになると、それを全部自分でやる。わたしは2023年に会社を辞めて、今が3年目。最初の1年は「次に何をすればいいんだっけ」と何度も調べながら進めた。この記事は、そのときの自分に向けて書くつもりで、退職前にやることから、税金・社会保険・お金の管理まで、準備の順番に沿って一本にまとめたものだ。
各章のおわりに「もっと詳しく」のリンクを置いておくので、気になるところは個別記事に飛んでほしい。まずは全体像から。
この①〜⑦を、順番に見ていく。
1. 退職前に決めること(失業保険)
会社を辞めてフリーランスになるとき、いちばん最初に考えてほしいのが失業保険だ。これは開業届を出す前の話で、順番をまちがえると受け取れなくなることがある。
退職したら、まず決めるのは「どう走り出すか」。大きく2つある。
わたしはゆっくり型だった。2023年3月に退職して、約半年・総額約70万円の失業保険を受け取りながら、その間に準備を進めた。毎月まとまったお金が入ってくる安心感は大きくて、落ち着いてスタートを切れた。
ポイントは開業届を出すタイミング。失業保険は「働ける・働きたいのに仕事がない」状態の人がもらえる制度なので、先に開業届を出してしまうと「もう事業を始めた」とみなされて、受け取れなくなることがある。だから、失業保険をもらいながら準備したいなら開業届は急がない。逆に、最初から全力で稼ぐつもりなら、使わずに早く開業すればいい。どちらが正解ということはなくて、貯金や仕事の見通しで決める。いずれにしても、辞める前にハローワークで段取りを確認しておくのが大事だ。
そしてもうひとつ、退職のタイミングで会社から受け取る書類も忘れずに。失業保険の手続きには、退職後に会社から届く離職票が必要で、これがないとハローワークで手続きを始められない。届くまで2週間ほどかかることもあるので、退職前に「いつ送ってもらえるか」を確認しておくと安心だ。国保の切り替えや確定申告で使う書類も、このタイミングでまとめて受け取っておくと、あとがぐっとラクになる。
退職後に「あの書類が足りない」と会社の総務に連絡するのは、地味に気まずい。だから在職中にできるだけ確認しておくのがおすすめだ。
もっと詳しく → 失業保険を半年・約70万円受給した話。
2. 開業届と会計ソフト
失業保険の方針が決まって、いよいよ事業を始めるタイミングになったら、税務署への届け出をする。出すのは2枚。開業届と、青色申告承認申請書。どちらも無料で、freeeなどのソフトを使えば質問に答えるだけで作れる。
大事なのが青色申告承認申請のほう。これを出しておかないと、確定申告のときに最大65万円の特別控除が使えない。提出には期限があって、原則は開業から2ヶ月以内(その年の1月15日以前に開業した場合は3月15日まで)。ここを逃すと初年度は白色申告になってしまうので、開業届とセットで早めに出しておくのがいい。
そしてもう一つの準備が、会計ソフト。フリーランスは日々のお金の出入りを自分で記録する必要があって、これを手作業でやると確定申告で詰む。わたしは1年目からfreeeを使っていて、3年たった今も乗り換えていない。銀行口座とクレジットカードを連携しておけば、取引が自動で取り込まれて、勘定科目もだんだん自動で推測してくれる。マネーフォワードとも比べたけれど、結局そのまま使い続けている。
もっと詳しく → freeeを3年使い続けている理由、フリーランスのお金管理。
3. 国民健康保険・国民年金・住民税
ここがいちばん「会社員と違う」と実感するところ。会社員のときは健康保険も厚生年金も労使折半といって、半分を会社が払ってくれていた。フリーランスは、それが全額自己負担になる。
わたしの実際の数字はこんな感じだ。
国民年金は、会社員時代の厚生年金と違って所得に関係なく定額。そのぶん、将来もらえる年金も少なくなる。わたしの見込み額は、会社員時代の厚生年金も合わせて月およそ9万円(65歳受給開始の想定)。これだけでは暮らせないので、配当金で段階的に補う計画を別に立てている。
そして、この社会保険料を抑えるカギは「課税所得を適正に下げること」だ。国保も住民税も、前年の課税所得をもとに決まるから、青色申告の65万円控除に加えて、家事按分と経費の積み上げで所得を下げると、翌年の負担が軽くなる。
家事按分というのは、自宅で仕事をするフリーランスが、家賃や光熱費のようにプライベートと仕事で共用しているものを、仕事で使っている割合だけ経費にすること。わたしの場合だと、こんなものが対象になる。
家賃・光熱費・通信費・交通費は「仕事で使う割合」だけを按分し、仕事専用の書籍やサブスク、コミュニティ会費は基本まるごと経費にできる。
おもしろいのは、業種が変わると経費になるものもガラッと変わること。「え、それも経費になるの?」というものが、仕事の中身しだいで認められたりする。
ただし大前提は、その支出が事業に直接必要で、人にちゃんと説明できること。プライベートとの線引きがあいまいなものは仕事ぶんだけ按分する、迷ったら税理士に相談する。やましくない範囲でやれば、経費はフリーランスの正当な武器になる。
逆に、株の配当を確定申告に含めると課税所得が増えて、国保が上がってしまうこともある。ここは知らないと損をするポイントだ。
もっと詳しく → フリーランスの社会保険・月8万円の現実、国民健康保険を安くする方法、年金月9万円のリアルと配当で備える計画、配当を申告すると国保が上がる話。
4. 確定申告と青色申告(65万円控除)
確定申告は、1月1日から12月31日までの1年間の所得と税金を計算して、翌年の2月16日〜3月15日のあいだに申告・納税する手続き。会社員のときは年末調整で会社がやってくれていたけれど、フリーランスは自分でやる。
申告には青色と白色の2種類があって、フリーランスなら青色申告一択だと思っている。手続きは少し複雑だけれど、最大65万円の特別控除が受けられるからだ(複式簿記+e-Taxでの電子申告が条件)。この65万円ぶん所得が下がるので、所得税・住民税・国保がまとめて軽くなる。やらない理由がない。
「複式簿記なんてできない」と最初は身構えていたけれど、freeeで日々の取引を連携しておけば、申告作業そのものは1時間ほどで終わる。わたしも1年目はかなり不安だったのに、やってみたら予想よりずっと簡単だった。
もっと詳しく → freeeで青色申告した流れ、フリーランス1年目の壁。
5. インボイス制度(登録する?しない?)
フリーランスを悩ませているのがインボイス制度。ざっくり言うと、取引先に「消費税のぶんをちゃんと処理できる事業者ですよ」と示すために、登録番号を取るかどうかの話だ。登録すると、これまで免税だった人も消費税を納めることになる。
負担を和らげる「2割特例」(受け取った消費税の2割だけ納めればいい制度)は、当初の予定どおり2026年9月末で終了する。ただし、令和8年度(2026年度)の税制改正大綱で、「3割特例」として個人事業者限定で2028年度まで延長されることが決まった。納税額は2割から3割になるので、ざっくり1.5倍に増えるイメージ。わたしの場合は、簡易課税への切り替えは2029年からでよくなった、という整理をしている。
正直に書くと、わたしは登録しているけれど「登録してよかった」と断言はできない立場だ。取引先が課税事業者中心なら登録したほうがスムーズなことが多いし、相手や仕事の中身によって最適解は変わる。ここは自分の取引先を見て決めるしかない。
もっと詳しく → 2割特例終了→3割特例が2028年度まで延長、インボイス3年目のリアル。
6. 働けないときの備え(保険より貯金)
フリーランスには雇用保険がない。会社員のように、働けなくなったときに自動でお金が出る仕組みがない(会社を辞めるときの失業保険については第1章のとおり)。だから、その備えは自分でつくることになる。
わたしは、働けないリスクを貯金で備える方針にしている。民間の医療保険や就業不能保険には入らず、生活防衛資金300万円とサイドFIRE資産でカバーする。「貯金で備えられないリスクだけ保険に入る」。これがわたしの基準だ。収入が不安定なフリーランスにとっては、手元のキャッシュがいちばんの安心になる。
もっと詳しく → 3ヶ月働けなくなったら。保険より貯金で備える理由、生活防衛資金は300万円。
7. お金の管理(口座・クレカ・固定費)
最後は、毎日のお金まわりの土台づくり。税金や社会保険を自分で回していくには、お金の流れがひと目で見える状態にしておくのがいちばんラクだ。
わたしは銀行口座は住信SBIネット銀行ひとつ、クレジットカードはJALカード1枚に絞っている。仕事もプライベートも同じカードにまとめて、freeeに連携。口座やカードが増えるほど管理が複雑になって、確定申告のときに泣くことになるので、最初からシンプルにしている。
そして固定費の最適化。わたしの暮らしの固定費は月およそ9.2万円で、携帯は格安SIMの1,390円まで下げる一方、仕事に効くツールには迷わず払う。「下げる」のが目的ではなくて、価値があるものに最適にお金を使う。仕事の固定費はそのうえ経費にもできるので、ここはしっかり計上する。
もっと詳しく → フリーランスのお金管理、住信SBIネット銀行を8年使ってわかったこと、JALカードを使い続けるフリーランスの話、フリーランスの固定費・削ったもの残したもの。
よくある質問(FAQ)
Q1. 開業届や青色申告の申請を出さないとどうなる?
確定申告自体はできるけれど、青色申告承認申請を出していないと白色申告扱いになり、65万円控除が使えない。そのぶん税金も国保も高くなりがちだ。期限(原則、開業から2ヶ月以内)があるので、開業届とセットで早めに出しておくのがいい。
Q2. 青色と白色、どっちがいい?
フリーランスなら青色申告。65万円控除が大きいし、freeeを使えば複式簿記のハードルはかなり下がる。「手続きが面倒そうだから白色」で済ませると、毎年けっこうな額を損し続けることになる。
Q3. 国保が高すぎる。安くできる?
裏技を探すより、課税所得を適正に下げるのが王道。青色申告の65万円控除+家事按分+経費の積み上げで所得が下がれば、翌年の国保も下がる。あと、株の配当を確定申告に含めると国保が上がることがあるので、申告の仕方にも注意したい。
Q4. インボイスは登録すべき?
取引先しだい。相手が課税事業者中心のBtoBなら登録したほうがスムーズなことが多い。一般消費者向けの仕事が中心なら、登録しない選択もある。当面は3割特例で負担が抑えられるので、あわてず自分の取引先を見て決めればいい。
Q5. 会社を辞める前にやっておくことは?
失業保険の段取り(開業届のタイミング)の確認、クレジットカードや賃貸の審査は在職中に済ませておくこと(フリーランスになると審査が通りにくくなる)、そして生活防衛資金を確保しておくこと。この3つは辞めてからでは取り返しがつきにくい。
まとめ
フリーランスの税金と社会保険は、項目が多くて最初は身構える。でも、やることは毎年ほぼ同じで、一度仕組みをつくってしまえば回り続ける。会社員のときに見えていなかった「自分が払っているお金」が全部見えるようになるのは、お金と向き合ううえでむしろいいことだと思っている。
- 退職前に、失業保険をどうするか決める。もらいながら準備するなら開業届は急がない(わたしは約半年・70万円もらいながら準備した)。離職票など会社の書類も受け取っておく
- 開業したら、開業届と青色申告承認申請を早めに(原則2ヶ月以内)。会計ソフトはfreeeで日々連携しておく
- 社会保険は全額自己負担。国保・国民年金・住民税で月約8万円。課税所得を下げると翌年の負担が軽くなる
- 確定申告は青色一択。65万円控除で税金・国保がまとめて軽くなる。freee連携なら作業は1時間ほど
- インボイスは2割特例が2026年9月末で終了→3割特例で2028年度まで延長。登録是非は取引先しだい
- フリーランスに雇用保険はない。働けないときは保険より貯金。生活防衛資金300万円で守る
- 口座1つ・カード1枚・固定費の最適化で、お金の流れをシンプルに保つ
フリーランスの税金まわりは、日々の経理さえ整えておけば確定申告で慌てません。freeeはネット銀行・クレジットカードと連携して取引を自動取込。開業届の作成から65万円控除のe-Tax提出まで画面に沿って進められます。わたしも1年目から3年使い続けている定番ソフトです。
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