インボイス『2割特例』終了→『3割特例』が2028年度まで延長——34歳フリーランスの納税負担はどう変わる?
これはわたしも最近知った大きなニュース。インボイス制度の 「2割特例」 は当初の予定通り 2026年9月末で終了 するけれど、「3割特例」として個人事業者限定で2028年度まで延長 されることが、令和8年度(2026年度)税制改正大綱 で決定した。
既存記事 インボイス制度・3年目のリアル でも書いてきたけれど、わたしは 「2割特例が終わったら簡易課税に切り替える」予定 だった。それが今回の改正で、2027〜2028年は3割特例が使える ことになり、簡易課税への移行は2029年からでよくなった。
実際にどれだけお得になるのか、数字で見てみる。今日はそのシミュレーションと、これから準備すべきことを正直に書く。
1. 何が変わるか(ざっくり3行で)
② 新「3割特例」が個人事業者限定で創設 → 2027年分・2028年分の確定申告に適用可能
③ 買い手側の経過措置(仕入税額控除)も延長 → 2028年9月末まで70%控除を維持
つまり、フリーランス側の 「消費税負担急増の崖」が2026年10月から2028年12月末まで先送り されたかたち。
2. 3割特例の詳細
ポイントは 「法人は対象外」「個人事業者だけが救済される」 こと。これはフリーランス・個人事業主に絞ったピンポイントの優遇策。
3. 「2割→3割→簡易課税」でわたしの納税はどう変わる?
ここからリアル試算。わたし(サービス業=第5種事業=みなし仕入率50%)の場合で、3パターンを比較する。
仮に 年間売上700万円(税込) のフリーランスを想定する。
(〜2026)3割特例
(2027〜2028)簡易課税
(2029〜想定)
つまり、「2割特例 → 3割特例」では年+6.4万円、「3割特例 → 簡易課税」ではさらに年+12.7万円 という階段。
ポイントは、もともと簡易課税(年31.8万円)に切り替える予定だった ところに、3割特例(年19.1万円)が2年挟まる ことになったので、結果的に2年間で約25万円の節約 になる計算。
2割特例終了を覚悟していたわたしにとって、3割特例の2年は 「簡易課税より25万円安く済む延命期間」。素直にありがたい改正だ。
4. 買い手側にも優しい——経過措置の延長
3割特例は売り手側(=フリーランス自身)の話だったけれど、買い手側(=取引先)が免税事業者から仕入れた場合の控除割合 も延長された。
これも当初は「2026年10月から一気に50%に落ちる」予定だったところに、70%期間が2年挟まる ことになった。
これがフリーランスにとって何を意味するかというと、「インボイス未登録のままでも、取引先が一気に切り捨てるリスクは2028年9月末までは小さい」 ということ。「インボイス登録するかどうか」を悩んでいる人 にとっても、判断材料が変わってくる重要な改正だ。
5. なぜ「延長」になったのか
これは政治的な背景もあるけれど、シンプルに言えば 「フリーランスの納税負担が想定以上に重く、本則課税への切り替えが現実的に難しい」 という声が大きかったから。
- 2割特例の対象者は数百万人規模
- 経理・会計の負担が個人事業者には重すぎる
- 物価上昇局面で実質的な所得が下がっているところに納税負担増は厳しい
こういう背景があり、「フリーランス保護の流れの一環」 として今回の延長が決まった、というのが大筋だ。
6. これから何を準備すべきか
3割特例の延長は朗報だけれど、「2029年からは簡易課税に切り替える」 という前提は変わらない。わたしが今考えている準備は3つ。
① 「簡易課税制度」の届出を忘れずに
簡易課税制度 は、業種ごとに決められた「みなし仕入率」を使って消費税を計算する制度。サービス業(第5種事業)なら50%のみなし仕入率 で計算できるので、3割特例終了後はこちらに切り替える予定。
ただし届出は 適用したい課税期間の初日の前日まで に必要。わたしの場合、2029年から簡易課税を適用するなら、2028年12月末までに届出書を提出 する必要がある(個人事業者は暦年で課税期間が決まるため)。忘れないようカレンダーに今からマークしておく予定。
② 経費・売上の管理を引き続き徹底
freeeを3年使い続けている理由 で書いた通り、わたしは経理を全部freeeで回している。3割特例の自動計算も対応 してくれるはずなので、ソフト任せでOK。とはいえ売上・経費のデータをきれいに保つことは引き続き大事。
③ 課税売上高1,000万円の壁は「意識しない」
3割特例は 「基準期間の課税売上高1,000万円以下」 が条件。売上が増えてきている人は、この壁を超えた瞬間に通常の本則課税になる。
ただ、わたしのスタンスは 「1,000万円の壁を理由に仕事をセーブするのは筋が悪い」。稼げるときに稼げるだけ稼ぐのが基本で、結果として1,000万円を超えてしまうのは仕方ない。チャンスを見過ごしたり、わざわざ売上を抑えたりするくらいなら、本則課税になっても堂々と事業を伸ばす方が良い と思っている。
「税負担で損したくない」という気持ちは理解できるけれど、事業の成長を税制で縛るのは本末転倒。3割特例はあくまで延命措置として活用しつつ、稼ぐべきときは稼ぐ、というシンプルな考え方でいきたい。
7. まとめ
ニュースのポイントを整理する。
- 2割特例は 2026年9月末で予定通り終了
- 個人事業者限定の 3割特例が新設、2027年・2028年分の確定申告で適用可
- 納税負担は 「売上消費税の30%」(2割特例から1.5倍に増)
- 経過措置(買い手側)も延長 → 70%控除の期間が2028年9月末まで に追加
- もともと2割特例終了後は 簡易課税(納税率50%) に切り替える予定だった
- 3割特例の延長により、2年間で約25万円の延命措置 という捉え方ができる
- 2029年からは予定通り 簡易課税(届出は2028年末まで) に切り替える
2年間の猶予を活かして、2029年以降の簡易課税運用に向けて整えていく のが、わたしの今の方針だ。
関連記事
銀行・クレカ連携で取引が自動取込、青色申告(65万円控除)もインボイス対応の消費税申告も freee 内で完結。わたしも3年使い続けている定番ソフトです。
freee 会計の公式サイトを見る →情報の出典: 令和8年度税制改正大綱(2025年12月)、国税庁 令和8年度税制改正特集、フリーランス協会ニュース




