「フリーランスは社会的信用がない」は本当か。クレカ・賃貸・ローンの審査、3年目の答え合わせ【フリーランスの後悔②】
「フリーランスになると社会的信用がなくなる。クレジットカードも賃貸も、住宅ローンも組みにくくなる」。収入が不安定説と並んで、これもよく聞く後悔・不安のひとつだ。
答え合わせシリーズの2回目は、このお題にする。先に結論を書くと、この不安はかなりの部分「本当」だ。フリーランスの審査が会社員より厳しくなるのは、事実として否定できない。ただ、わたし自身はまだ大きな痛手を負っていない。理由は、答え合わせをしていくとはっきりしている。
1. 答え合わせ:カードも部屋も、「辞める前」に済ませていた
わたしのメインカードは、JALカード CLUB-Aゴールド1枚。フリーランス3年目のいまも、これ1枚でお金を回している。
このカード、学生時代に一般カードを作って、社会人になってからゴールドへ切り替えた。つまり、会社を辞めるよりずっと前、給料という安定収入がある状態で審査を通していた。
だから、フリーランスになってからカードの審査で困ったことは、じつは一度もない。新しくカードを作ったわけではなく、会社員時代に済ませておいたものを、そのまま使い続けているだけだからだ。フリーランスになる準備の記事で「クレジットカードや賃貸の審査は在職中に済ませておくこと」と書いたけれど、このカードは狙って用意したわけではなく、たまたま先に持っていただけだ。
ちなみに、CLUB-Aゴールドの審査難易度が気になって調べてみると、決して「甘い」カードではないらしい。学生は申し込めず、勤続年数もある程度求められる、審査難易度の高いカードだと言われている。もしフリーランスになってから初めて申し込んでいたら、そもそも土俵に立てていなかったかもしれない。作っておいて、単純にラッキーだったと思う。
そして、部屋も同じだ。いま住んでいる家賃7万円の部屋も、会社員時代に審査を通して契約したもの。つまり、賃貸や住宅ローンの審査を、フリーランスとして新しく受けた経験は、わたし自身まだない。「社会的信用で困っていない」のは、克服したからではなく、いちばん厳しい審査そのものを経験せずに済んでいるからだ。ここを実績のように語るのはフェアじゃないと思っている。
2. 実際のところ、審査はどれくらい厳しいのか
自分の経験だけでは語れないので、実際に公表されている基準を調べてみた。
数字にしてみると、思ったより絶望的な話ではない。賃貸は「家賃の3倍の月収」があれば土俵に立てるし、住宅ローンもフラット35なら「1期分」で申し込める。「フリーランス=即NG」ではなく、「基準を知らずに挑むと落ちやすい」というのが実態に近いと思う。
3. 「いくら借りられるか」は、信用より所得の壁
ただし、住宅ローンには「審査に通るか」とは別に、「いくら借りられるか」というもう一段厳しい壁がある。これは会社員でも同じで、フリーランス特有の話ではない。
わたし自身の課税所得約400万円ベースで計算すると、借りられるのはおそらく2,000万〜2,800万円ほど。東京23区の相場とは、ひと桁近く差がある。ここで大事なのは、この差を生んでいるのは「フリーランスだから」ではなく、「所得がその水準だから」ということだ。同じ所得の会社員でも、借りられる額はほぼ変わらない。
つまり都内で家を買うという話になった瞬間、「フリーランスの壁」より「稼ぐ額の壁」のほうがずっと大きい。フリーランスという働き方そのものより、頭金を厚くする、所得をもっと伸ばす、都内以外も選択肢に入れる、といったお金の設計の話に切り替わってくる。この記事のテーマである「社会的信用」だけをどうにかしても、家は買えない。
4. これから始める人へ。まだ間に合うなら、辞める前に
会社員のうちにできることは、思ったより具体的だ。
もう独立してしまっていて、これらをまだ済ませていない人もいると思う。その場合は、確定申告を継続して、収入の実績を積み上げていくのが基本の対策になる。時間はかかるけれど、青色申告できちんと利益を出し続ければ、会社員のときとは違う形で信用は作り直せる。この確定申告の記事にも、その土台になる準備をまとめてある。
5. いま、新しく審査を受けたら通るのか
最後に、答えから逃げずに考えてみたい。もし今日、新しくクレジットカードや部屋の審査を受けるとしたら、わたしは通るのか。会社員時代の貯金で乗り切ってきただけなら、この記事はただの自慢話になってしまう。
手元にある材料はこうだ。
数字だけ見れば、悪くない材料が揃っている。でも、これはあくまで「通りそうな条件」であって「通った実績」ではない。実際に新しいカードや部屋の審査を受けたわけではないので、フリーランスというだけで書類の段階で不利に扱われるのか、それとも数字さえ示せば問題ないのか、そこはまだわからない。
ひとつ、調べていて心強かったことがある。資産そのものが、審査の材料になる場面があるのだ。賃貸には「預貯金審査(残高審査)」という仕組みがあって、収入ではなく口座の残高で支払い能力を示せる。目安は家賃の1〜2年分、UR賃貸なら家賃の100倍の残高が基準といわれる。仮に家賃7万円なら、100倍でも700万円。金額だけ見れば、わたしの資産で余裕を持ってクリアできる計算になる。
ただし注意点もあって、この残高として素直に認められるのは、基本的に現金・預金だ。株や投資信託も考慮されることはあるけれど、値動きがあるぶん預金より評価されにくく、扱いは大家さんや管理会社しだいらしい。わたしの資産は大半がインデックス投信と株で、現金は生活防衛資金の300万円だけ。本気でこのルートを使う場面では、一部を現金に移しておくといった準備が要るかもしれない。
住宅ローンでも、資産は頭金を厚くするかたちで効く。借入額そのものを減らせば返済負担率が下がって、審査にはっきりプラスになる。もちろん、資産が所得の審査を丸ごと肩代わりしてくれるわけではない。それでも「いざとなれば残高で示せる」という選択肢があるのは、収入に波のあるフリーランスにとって、思った以上に大きなお守りだと思う。
はっきり言えるのは、会社員時代の信用に頼りきりだった状態からは、たしかに一歩進んでいるということだ。収入ゼロの月を乗り越えてきた実績も、3期分の確定申告も、フリーランスになってから自分で積み上げたものだからだ。この「実績で示せる材料」を増やし続けることが、いまのわたしにできる、いちばん現実的な備えだと思っている。
まとめ
- 「フリーランスは社会的信用がない」への答え:審査が厳しくなるのは事実。でも「なくなる」のではなく「作り方が変わる」という理解が近い
- わたしのクレジットカードも、いまの部屋の賃貸契約も、どちらも会社員時代に済ませたもの。フリーランスになってから新しく審査を受けて困った経験は、一度もない
- この疑問が当たっている部分も認める:審査基準は会社員より厳しい。賃貸・住宅ローンを、フリーランスとして新しく審査された経験は、わたし自身まだない
- 実際の基準を調べると「即NG」ではない。賃貸は収入が家賃の3倍、住宅ローンは確定申告3期分(フラット35なら1期分)、クレカは流通系なら通りやすい
- 住宅ローンは「通るか」より「いくら借りられるか」の壁が大きい。所得400万円なら目安2,000万〜2,800万円で、東京23区の相場には届かない。これは信用ではなく所得の問題
- これから始める人へ:①使うカードは会社員のうちに作る(ランクも)②引っ越し予定は先に済ませる③家を買う計画があるなら独立前のほうが動きやすい
- すでに独立している人は、確定申告を継続して実績を積み上げるのが基本の対策
- 資産は審査の材料になる。賃貸には収入ではなく残高で示せる「預貯金審査」があり(目安は家賃の1〜2年分、URなら100倍)、住宅ローンでは頭金として返済負担率を下げられる。ただし素直に認められるのは主に現金・預金で、株や投信は評価されにくいことも
- いま新規審査を受けたら通るかは、実際には試していないのでわからない。でも確定申告3期分・課税所得400万円ベースなど、自分の実績で示せる材料は増え続けている




