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新しいFRB議長のひとことで、円は160円に戻った。9月は、日本とアメリカが同じ週に利上げするかもしれない
ニュース2026-08-29📖 約9分で読めます

新しいFRB議長のひとことで、円は160円に戻った。9月は、日本とアメリカが同じ週に利上げするかもしれない

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ごまもち
🐾 ごまもち
えん、またやすくなったの?🐾
あずき
あずき
うん。海の向こうの、ひとことでね。

昨夜、日本時間の23時。アメリカの中央銀行FRBのウォーシュ議長が、就任後初めての大きな講演をした。

「基調的なインフレ率が目標に向かっていると確信できなければ、まだやるべきことがある

中央銀行の言葉としてはずいぶん遠回しだけれど、市場は即座に翻訳した。「利上げがあり得る」。市場が見込む9月の米利上げの確率(織り込み)は3割台から5割超に跳ね、円は一時、約1か月ぶりの160円台まで下がった。

9月の予定はこうなっている。15〜16日にアメリカの会合(FOMC)、17〜18日に日銀の会合。同じ週に、日米がそろって利上げをするかもしれない。そんな9月が見えてきた。


1. 昨夜、何が語られたか

まず、講演の中身から。

📊 ウォーシュFRB議長の講演(2026年8月28日、要旨から)
・基調インフレ率が目標に向かっていると確信できなければ「まだやるべきことがある
・いまの金融環境を「引き締め的」と表現するのは「難しい」
・個人消費は健全で、労働市場は安定している。現在最も重視すべきなのは物価
・今夏のインフレ指標は予想より良好だったが、基調が大きく変わったとは言えない
・FRBのインフレ目標2%は揺るぎない
ロイターの講演要旨(8月28日)から。ジャクソンホール会議は、毎年8月に米ワイオミング州の山あいで開かれる中央銀行の会議で、ここでの議長講演は世界中の市場が注視する

中央銀行の言葉は、わざと遠回しにできている。だから、わたしなりに日本語に直してみる。前提はひとつだけ。利上げは、経済のブレーキだ。物価が上がりすぎたとき、金利を上げて、お金の巡りを冷ます。

  • 「まだやるべきことがある」→ ブレーキを、まだ踏むかもしれない
  • 「引き締め的と表現するのは難しい」→ いまの金利では、ブレーキがまだ効いていない
  • 「個人消費は健全で、労働市場は安定」→ 景気は強いから、踏んでも壊れにくい

つまり、どの言葉も利上げのほうを向いている。向きだけは、はっきりした講演だった。

背景には、2日前の数字がある。アメリカの物価の統計(PCEという、FRBがいちばん大事にしている物価のものさし)が26日に出て、前年比3.7%。加速しているというより、目標2%のほぼ倍のところで高止まりして、下がってこない。物価が下がらないなら、ブレーキを踏む。講演は、その数字への返事として聞かれた。

ちなみにウォーシュ氏は今年就任したばかりの新しい議長で、就任後は多くを語らないスタイルが市場を落ち着かなくさせていた。だから初めての大舞台のひとことに、これだけの重みが乗った。


2. 市場は、こう動いた

⚠ 講演のあと、動いたもの
・市場が織り込む9月の米利上げ確率 3割台 → 5割超(年末まで据え置きの確率は25.9%→14.8%に低下)
・アメリカの国債の金利も上昇。2年ものは4.3%台(約1か月ぶりの高さ)、30年ものは5.1%台
・円は一時1ドル=160円台。7月末に日米がそろって円を買い支えた「協調介入」のころ以来、約1か月ぶりの円安水準
確率と金利はロイター・Bloombergの報道から。ドル円の28日終値は160.04円(Yahoo Financeからわたしが取得)

円について、皮肉な偶然があった。同じ28日の夕方、財務省は、7月末の協調介入から8月にかけての円買い介入が合計15兆3,993億円と、ひと月あたりとして過去最大だったことを公表したばかりだった。

15兆円というお金で買い支えた円が、その日の夜、海の向こうの講演ひとつで160円台に戻った。介入は時間を買えるけれど、向きを決めるのは金利。そういう教科書どおりの景色が、1日に収まっていた。


3. 9月の第3週に、日米がそろうかもしれない

カレンダーを並べる。

💡 9月の第3週
9月15〜16日 米FOMC。利上げの織り込みは5割超に上昇中
9月17〜18日 日銀の金融政策決定会合。利上げの織り込みは約9割
織り込みはロイターおよび報道から(8月28〜29日時点)。実際に利上げされるかどうかは、どちらも決まっていない

もし両方が動けば、同じ週に、日米そろって利上げという珍しい形になる。

ここで、円の話がややこしくなる。お金は、金利の高い通貨のほうへ流れやすい。だから「日本が利上げして日米の金利の差が縮まれば、円高」というのが、よく聞く説明だ。でも、同じ週にアメリカも利上げしたら、差は縮まらない。日本だけが動くのか、両方が動くのか。円の向きは、2つの会合の組み合わせで決まる。だから、どちらに転ぶかは分からない。

オーストラリアの年金の記事のルーカ氏は「市場は日銀の利上げを過小評価している」と言って、円を買い増していた。あの時点の日銀の織り込みは約8割。それがいま約9割。読みの答え合わせは、9月18日に出る。


4. その週、わたしは何をするか

答えを先に書くと、何もしない。ただ、「何もしない」の中身は、この夏に書いてきた記事で全部確かめてある。

積立は、同じ日に同じ額。オルカン(全世界の株にまとめて投資する投信)の積立は、日米が利上げしようがしまいが、同じ日に同じ額で続く。オーストラリアの年金の記事で書いたとおり、円高に振れれば、円安でかさ上げされていた評価額のゲタが外れるけれど、同じ積立額で多くの口数が買えるようになるだけだ。

債券は、シーソーの沈む側を覚悟しておく。金利が上がれば、債券の値段は下がる。米国の債券をまとめて持てるETFのBNDには向かい風が続くし、信用金庫の記事で見た、売る前の帳簿の損(含み損)の世界も続く。それでもBNDの役割(株と違う動きをする、毎月分配金が来る)は変わらないので、売らない。

高配当株は、見る場所を変えない。利上げの週は株価が荒れやすい。でも、わたしが定期的にチェックしているのは、配当と、それを支える稼ぐ力や財務のほうだ。何度も書いてきたとおり、株価が下がっても、配当がほしいという買った理由は壊れない。壊れるのは、配当が削られた(減配の)ときだ。会合の結果そのもので、配当は変わらない。

預ける側も、少しだけ変わる。利上げが実現すれば、個人向け国債や預金の金利は、もう少し上がるかもしれない。買う予定はなくても、風景の変わり方は見ておく。

人間の不幸はどれも、
部屋のなかに静かに座っていられないことから
生まれる
ブレーズ・パスカル『パンセ』(1670年)

350年前の哲学者の言葉だけれど、投資の世界でもよく引用される。世界中が動く週ほど、何かしたくなる。売る、買う、乗り換える。でもこの夏、円安のゲタも、シーソーも、減配の見方も、ひととおり数えて確かめてきた。確かめてあるから、座っていられる。9月の第3週は、その練習の成果を試す週になると思っている。


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5. まとめ

🐾 この記事のまとめ
  • ウォーシュFRB議長が就任後初の大きな講演で「インフレが目標に向かうと確信できなければ、まだやるべきことがある」。9月の米利上げの織り込みは3割台から5割超
  • 円は一時160円台と約1か月ぶりの円安。同じ日の夕方、財務省は15兆3,993億円(月間過去最大)の円買い介入を公表したばかりだった
  • 9月は15〜16日にFOMC、17〜18日に日銀。日銀は約9割、米は五分五分の織り込みで、同じ週に日米そろって利上げがあり得る
  • 「日本が利上げすれば円高」とは限らない。アメリカも同時に上げれば金利差は縮まらない。円の向きは組み合わせ次第で、分からない
  • その週、わたしは何もしない。積立は同じ日に同じ額、債券はシーソーの覚悟、高配当株は配当と稼ぐ力を見る。確かめてあるから、座っていられる
📚 参考にした情報源 ・講演の要旨:ロイター「ウォーシュ米FRB議長の『ジャクソンホール会議』講演要旨」(2026年8月28日)。カードの発言はすべてここから
・9月利上げの織り込み(3割台→5割超、年末据え置き25.9%→14.8%)と米金利(2年債4.3%台・30年債5.1%台):ロイター・Bloombergの報道(8月28〜29日)
・円買い介入15兆3,993億円(月間過去最大):財務省公表を受けた各社報道(テレビ朝日・共同通信、8月28日)
・円の一時160円台(約1か月ぶり):時事通信・FNNほか(8月29日未明)。ドル円の終値160.04円はYahoo Financeからわたしが取得
・米PCE(7月、前年比3.7%・コア3.3%):米商務省発表(8月26日)を受けた各社報道(27日)
・FOMC(9月15〜16日)・日銀会合(9月17〜18日)の日程と日銀の織り込み約9割:各社報道から
・パスカルの言葉:Blaise Pascal『Pensées』(1670)。訳はわたし
⚠ 免責事項 この記事はあずき個人の見解のシェアであり、特定の通貨・銘柄・投資信託の売買を推奨・勧誘するものではありません。9月の利上げの「織り込み」は市場が見込む確率であって、実際に利上げされるかどうかは決まっていません。為替や金利の見通しは外れることがあります。記載のレート・確率は2026年8月28〜29日時点のもので、その後変動します。投資は価格が変動し、元本を割り込む可能性があります。必ずご自身の判断と責任で行ってください。

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