荒れた日に降りると、逃すのは悪い日ではなく、いちばんいい日。日経平均10年の2,441日を数えてみた
9月8日の日経平均は、1,131円安の65,269円。前日の7日は1,379円高。先週の2日には1,890円安の日もあった。円は1週間で1ドル160円から154円へ。荒れ模様、という言葉がよく合う1週間だ。こう思った人も、いるはずだ。
😤「こんなときに買うのは危ない」
🤔「積立、いったん止めたほうがいい?」
😮💨「底になったら買えばいいよね」
わたしの持ち物は、オルカン(全世界の株の投資信託)の積立と、S&P500と、日本の高配当株119銘柄と、BND(米国の債券ETF)。9月2日の1,890円安の日も、今日も、何もしていない。
結論から言うと、わたしは荒れた日に降りない。降りる、というのは、売って現金にすることだ。理由は、降りた人が逃すのは悪い日ではなく、いちばんいい日だからだ。日経平均の10年ぶん、営業日2,441日をクロちゃん(Claude)に数えてもらったら、ずっと持てば3.85倍、いちばん上がった10日(ベスト10日)を逃すだけで1.99倍。しかもベスト10日のうち6日は、いちばん下がった10日(ワースト10日)から2週間以内に来ている。
順番に見ていく。
1. 今年の日経平均は、どれくらい荒れているのか
まず、「荒れ模様」を数字にする。1日に2%以上動いた日を「荒れた日」と呼ぶことにして、年ごとに数えた。2%は、いまの水準では1,300円だ。
10年の平均では、荒れた日は10日に1日。今年は3.5日に1日。コロナの2020年でも6日に1日だったから、今年のほうが頻繁だ。しかも今年はまだ8か月しかたっていないのに、日数では過去10年でいちばん多い。「また1,000円動いた」は、今年は普通の日だ。1,000円は1.5%で、荒れた日にすら入らない。
同じ1,890円安が10年前(17,000円)なら → 11%。2024年8月5日の大暴落(4,451円安、12.4%)に近い
いまの1,000円 → 1.5%。10年前の260円と同じ重さ
2. 10年、2,441日を数えた
では、荒れた日に降りると何が起きるか。「いちばん上がった日を逃すと、増え方が半分になる」という話は、本でも動画でも、S&P500の数字で何度も見てきた。8月には、JPモルガンの試算(S&P500は20年で8.1倍、ベスト10日を逃すと3.6倍)をこのブログでも書いた。でも、日経平均ではまだ見ていない。だから、クロちゃんに数えてもらった。2016年9月8日から2026年9月8日までの2,441営業日。全部持ち続けた場合と、いちばん上がった日を何日か逃した場合で、何倍になったかを並べる。
2,441日のうち、たった30日を逃すだけで、10年持ってもマイナスになる。30日は、1年に3日。逃したのが10日なら、3.85倍が1.99倍。増え方が、ほぼ半分になる。
ここで、こう思う人がいるはずだ。「悪い日に降りて、いい日に戻ればいいのでは」。次の章で、なぜそれができないかを見る。
3. いちばんいい日は、いちばん悪い日の隣で光る
ベスト10日とワースト10日の日付を並べたら、こうなっていた。
表で緑になっている6日が、それだ。ベスト10日のうち6日が、ワースト10日から2週間以内。そのうち3日は翌日だ。2024年8月5日は、日経平均が4,451円下がった過去最大の日で、翌日は3,217円上がった過去最大の日。この2日は、隣どうしだった。
これが、「悪い日に降りて、いい日に戻る」ができない理由だ。悪い日に降りた人が、戻ろうと思ったときには、いちばんいい日は終わっている。だから、悪い日を避けようとした人は、いちばんいい日も逃してしまう。
A. 5日に何もしない 翌6日には110万円(1日で+10万円)。今日(65,269円)には207万円
B. 5日の終値で現金にして、翌6日の終値で戻る 100万円のまま6日に戻り、今日188万円。1日外にいただけで、19万円の差
C. 5日の終値で現金にして、「落ち着いた」2週間後の8月19日の終値で戻る 戻った日の終値は37,389円。今日175万円。Aとの差は33万円
4. 4つの声に、数字で返す
冒頭の4つの声に、数字で返すと、こうなる。
答え 落ち着いた日を待つあいだに、いちばんいい日は来る。ベスト10日のうち6日は、ワースト10日から2週間以内。「戻ろう」と思える頃には終わっている
答え 次の日にもっと下がるかもしれない、はそのとおり。それが分からないから、わたしは買う日を選ばない
答え 一度止めると、再開する日を自分で決めることになる。下がれば「まだ下がるかも」、上がれば「もう遅いかも」で、買えない時間が延び、機会損失となる
答え 底は、過ぎてから分かる。2024年8月5日が底だったと分かったのは、翌日に10.2%上がったあと。底の日の朝に「今日が底」と分かった人はいない。買えるのは、上がったあとの値段
5. わたしは、どう見ているか
荒れた日に、わたしがやることは変わらない。オルカンの積立は同じ日に同じ額。高配当株119銘柄は、買い増すなら割安なときだけで、ニュースで売り買いはしない。
これは日本株だけの話ではない。同じ10年をS&P500で数えると、ずっと持てば3.54倍、ベスト10日を逃すと1.84倍。ベスト10日のうち、ワースト10日から2週間以内に来たのは8日(日経平均は6日)。オルカンは中身の6割ほどがアメリカの株なので、形は同じだと思っている。
チャールズ・エリス『敗者のゲーム』
エリスはこの言葉に続けて、「だから、売買のタイミングを計るのは本当にたちの悪い考えだ。やらないこと」と書いている。市場の上昇のほとんどは、ごく少ない日に集中していて、その日は前もって分からない、という意味だ。
今回、日経平均で数えてもらって分かったのは、その稲妻がいちばん悪い日の隣で光るということだった。荒れた日に降りると、ちょうど光る瞬間に、外にいることになる。だからわたしは、荒れた日ほど何もしない。わたしにできるのは「その場にいる」ことだけだ。
荒れた日に、わたしがやることは変わりません。オルカンの積立も、日本の高配当株119銘柄も、8年以上SBI証券の口座です。積立は、同じ日に同じ額で続きます。
SBI証券の公式サイトを見る →6. まとめ
- 今年の日経平均は、1日2%以上動いた「荒れた日」が167日のうち48日。3.5日に1日で、10年平均(10日に1日)の3倍の頻度。1,000円の動きは1.5%で、もう普通の日
- 10年2,441日をずっと持てば3.85倍。ベスト10日を逃すと1.99倍、30日を逃すと0.94倍でマイナス
- ベスト10日のうち6日は、ワースト10日から2週間以内。2024年8月5日の−12.4%の翌日が+10.2%
- 悪い日に降りた人が、戻ろうと思ったときには、いちばんいい日は終わっている
- S&P500も同じ形(3.54倍→1.84倍。ベスト10日のうち8日がワーストの2週間以内)
- わたしは荒れた日ほど何もしない。積立は同じ日に同じ額。わたしにできるのは「その場にいる」ことだけ
・9月8日の終値65,269円(1,131円安)、7日66,400円(1,379円高)、2日64,326円(1,890円安):同じくYahoo Financeの終値
・為替(1ドル160円→154円):Yahoo Finance JPY=X の日次値(9月1日160.20円→9月8日は日本時間夜の途中値で154円台)
・2024年8月5日の4,451円安と翌6日の3,217円高が、それぞれ下げ幅・上げ幅の過去最大:日本経済新聞など各社の報道
・オルカンの中身の6割ほどがアメリカの株:eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)月報 2026年7月(アメリカ 63.1%)
・チャールズ・エリスの言葉:Charles D. Ellis, Winning the Loser's Game(邦訳『敗者のゲーム』日本経済新聞出版)「You have to be there when lightning strikes. That's why market timing is a truly wicked idea. Don't try it.」訳はわたし




