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ボブの話とは?「世界最悪のタイミング」で投資した男が、それでも1.6億円を築けた理由
投資2026-07-25📖 約9分で読めます

ボブの話とは?「世界最悪のタイミング」で投資した男が、それでも1.6億円を築けた理由

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ごまもち
🐾 ごまもち
「せかいさいあくの ボブ」って、そんなに わるいこなの?🐾
あずき
あずき
ううん、むしろ超まじめ。ただ、株を買うタイミングだけが「世界最悪」だったの。今日は世界一くじ運の悪い投資家の話だよ。

前回、複利のたとえ話の古典「ジャックとジル」の記事を書いたら、思いのほか読んでもらえた。なので今日は、投資の原理原則を伝える有名な話の第2弾。「ボブ:世界最悪のタイミングで投資した男(Bob, the World's Worst Market Timer)」を紹介したい。

米国の資産運用会社の運用者ベン・カールソンさんが2014年にブログで紹介した思考実験で、海外では暴落のたびに引っぱり出される定番の話だ。ボブは架空の人物だけれど、使われている市場の数字は実際の米国株のもの。そして結論だけ先に言うと、買うタイミングが全部「歴史的な暴落の直前」だった男が、それでも約1.65億円(円換算の概算)の資産で引退する

なぜそんなことが起きるのか。順番に見ていく。


1. ボブの話とは

ボブの設定はこうだ。

👨 ボブの人物設定
1970年、22歳で働き始める。貯金だけは超まじめ。70年代は年2,000ドル、80年代は年4,000ドル…と、10年ごとに貯金額を増やしていく
ただし性格はとても臆病。貯めたお金を投資に回す勇気がなかなか出ない。「みんなが盛り上がっているとき」にようやく決心して、まとめて買う
買うのはS&P500のインデックスファンド1本だけ。配当は再投資。そして、いちど買ったら一度も売らない

「みんなが盛り上がっているときに買う」。つまりボブが買うのは、毎回、相場のてっぺんだ。そしてボブの43年間には、教科書に載るレベルの暴落が4回もやってくる。


2. ボブの買い物履歴。全部、暴落の直前

ボブが実際に買ったのは、この4回だけ。見事なまでに、全部てっぺんだ。

🛒 ボブの買い物履歴(S&P500・一括買い)
買った時期
投資額
直後に起きたこと
1972年末
(24歳)
6,000ドル
(約90万円)
オイルショック
−48%
1987年8月
(39歳)
4万6,000ドル
(約690万円)
ブラックマンデー
−34%
1999年末
(51歳)
6万8,000ドル
(約1,020万円)
ITバブル崩壊
−49%
2007年10月
(59歳)
6万4,000ドル
(約960万円)
リーマンショック
−52%
下落率は原典(ベン・カールソン氏のブログ・2014年)より、S&P500の高値からの下落の概算。円換算は1ドル150円の目安で、当時の為替や物価は考慮していない

投資した合計は18万4,000ドル(約2,760万円)。しかも4回とも、買った直後に資産が3割から5割も溶けている。ちなみにリーマンショックのあとはさすがに怖くなったのか、ボブが新しく買うことは二度となかった(引退までの貯金は現金のまま)。

ひとつ補足すると、この元本、当時の米国の物価を考えると、いまの感覚ではもっと重い。ざっくり2〜3倍、日本円でいえば5,000万円分以上を入金したイメージになる。年2,000ドルの貯金から始めたボブ、タイミング以外は本当に優等生なのだ。

タイミングだけ見れば、これ以上ないほど下手くそだ。「世界最悪」の名にふさわしい。

ごまもち
🐾 ごまもち
かうたびに はんぶんに なっちゃうの、かわいそう…🐾
あずき
あずき
ね。でもボブにはひとつだけ、誰にも負けない強みがあったの。それが次の話。

3. 結果。65歳のボブ、約1.65億円で引退する

2013年末、65歳になったボブは引退する。そのとき口座に残っていたのは。

🏁 43年間の結果(2013年末・65歳時点)
投資した元本の合計18万4,000ドル
(約2,760万円)
最終的な資産約110万ドル
(約1.65億円)
ふくらんだ倍率約6倍
配当再投資込み・税金や手数料は考慮しない概算。円換算は1ドル150円の目安

全部てっぺんで買ったのに、元本は約6倍。日本円の感覚で言えば、約2,760万円が約1.65億円だ。

理由は、ボブの唯一の強み。一度も売らなかったこと。

  • 最初の6,000ドルは、直後に半分になっても売らなかったので、41年間複利で転がり続けた
  • 4回の暴落は、どれも数年から十数年かけて回復し、その後さらに高値を更新した
  • ボブは下手なタイミングで「買った」けれど、最悪のタイミングで「売る」ことだけはしなかった

つまりこの話の主役は、ボブのくじ運の悪さではなく、「市場に居続けた時間」の強さだ。タイミングの下手さは、時間が全部帳消しにしてくれた。


4. この話の、もうひとつの顔

ここで話を終えると「持ち続ければ必ず勝てる」という美談になってしまうけれど、ジャックとジルのときと同じで、この話にももうひとつの顔がある。わたしはこっちのほうが本命の教訓だと思っている。

原典にはこんな計算も載っている。もしボブがタイミングを狙わず、同じ貯金ペースのまま、貯めたお金を毎年そのつど積み立てていたら、最終資産は約230万ドル(約3.45億円)。実際のボブの2倍以上だ。並べてみると、差は一目瞭然だ。

📊 65歳時点の資産くらべ(概算・同じ貯金ペース)
投資スタイル
65歳の資産
ひとこと
ボブ
てっぺんで一括買い
約110万ドル
(約1.65億円)
最悪のタイミングでも約6倍
淡々と毎年積立
約230万ドル 🏆
(約3.45億円)
待たなかっただけで2倍以上
原典(2014年)の計算にもとづく概算。積立は「年1回」とだけ記載があり、年内の時期は明記されていない。円換算は1ドル150円の目安

念のため、この積立が「年始に買うのか、年末に買うのか」も気になって原典を読み直したのだけど、そこまでは書かれていなかった。ただ、どちらで計算しても「ボブの2倍以上」という結論はひっくり返らない。1年分のズレは、43年の複利の前では誤差みたいなものだ。

⚠ ボブの話を「うのみにできない」ところ
ボブの本当の失敗は、タイミングの下手さではなく「待ちすぎたこと」。買い場を狙って現金を貯め込んでいた期間、お金はずっと働いていなかった。毎年積み立てていれば資産は2倍以上になっていた
「米国株の43年間が右肩上がりだった」という前提つきの話。日本株はバブルの高値を取り戻すのに30年以上かかった。1本の国に全部を賭けてこの結果が出る保証は、どこにもない
「半分になっても売らない」は、文章で読むほど簡単ではない。ボブは架空の人物だから耐えられた、とも言える。現実のわたしたちには生活があり、感情がある

だからわたしは、この話の教訓を「てっぺんで買っても大丈夫」とは読まない。読むべきは逆で、

タイミングを当てる才能は、資産づくりにほとんど要らない。それより「市場に居続けること」と「買い場を待たずに淡々と買うこと」のほうがずっと強い。

ということだと思う。世界最悪のタイミングですら勝てたのだから、タイミングを気にする理由がそもそもない。むしろタイミングを気にして待つことこそが、ボブがいちばん損をしたポイントだった。


5. わたしの中にも、ボブがいた

じつはこの話、わたしには他人事ではない。

わたしも投資を始めてから、3回の下落を経験している。会社員時代のコロナショックでは資産が約3割減った。2022年には1年以上の停滞が続いたし、サイドFIRE達成のわずか1ヶ月後、2026年5月には中東ショックが来た。そのときの気持ちの揺れ方は「暴落が来たら詰む」は本当かの記事に書いたとおりだ。

3回とも共通しているのは、売らなかったこと。かっこいい信念があったからではなくて、コロナショックのときに「航路を守れ」という言葉に出会って、「ここで売った人がいちばん損をする」と頭に叩き込まれていたからだ。ボブの話は、あのとき学んだことのデータ版だと思う。最悪のタイミングで買った人ですら、売らなければ報われた。ましてや淡々と積み立てている人が、暴落のたびに降りる必要なんてない。

そしてもうひとつ。わたしがオルカンを毎月同じ日に、機械的に積み立てているのは、自分の中のボブを信用していないからだ。「いまは高い気がする」「暴落を待ってから買おう」。そういう自分の相場観は、ボブと同じくらい当てにならないと思っている。だったら最初から、タイミングの判断を手放してしまったほうがいい。

ごまもち
🐾 ごまもち
ボブは うんが わるかったけど、にげなかったから かてたんだね🐾
あずき
あずき
そう。そしてボブより上手にやる方法は、意外とかんたん。タイミングを狙わずに、淡々と積み立てるだけだよ。

まとめ

🐾 この記事のまとめ
  • 「ボブ」とは、米国のベン・カールソン氏が2014年に紹介した思考実験。43年間で買ったのは4回だけ、しかも全部が歴史的な暴落(オイルショック−48%・ブラックマンデー−34%・ITバブル崩壊−49%・リーマンショック−52%)の直前だった
  • それでも一度も売らなかった結果、元本18万4,000ドル(約2,760万円)は65歳で約110万ドル(約1.65億円)、約6倍になった
  • 勝てた理由はタイミングではなく「市場に居続けた時間」。最初の6,000ドルは41年間複利で転がり続けた
  • ただしもうひとつの顔がある。毎年淡々と積み立てていれば資産は約230万ドルと、2倍以上になっていた。ボブの本当の失敗は買い場を「待ちすぎた」こと
  • 米国株が右肩上がりだった43年間という前提つきの話でもある。だからわたしは1つの国ではなく、オルカンで世界に分散している
  • わたし自身もコロナ・2022年・中東ショックの3回の下落で売らなかった側。「タイミングの判断を手放して、淡々と積み立てる」が、ボブの話から受け取るべき教訓だと思う
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⚠ 免責事項 この記事はあずき個人の見解・体験のシェアです。特定の銘柄・金融商品への投資を推奨・勧誘するものではありません。掲載している数字は執筆時点の情報にもとづく概算で、正確性を保証するものではなく、将来の運用成果を約束するものでもありません。過去の市場の実績は、将来も同じ結果になることを保証しません。投資は価格が変動し、元本を割り込む可能性があります。必ずご自身の判断と責任で行ってください。
TAGS#インデックス投資#市場の話
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