「暴落が来たら詰む」は本当か。3つの下落経験と、リーマン級の想定で答える【サイドFIREの疑問②】
「サイドFIREなんて、暴落が来たら一発で詰むでしょ」。これも、高収入じゃないと無理説と並んでよく聞く疑問だ。資産を作っても、相場が崩れたら終わりなんじゃないか、と。
答え合わせシリーズの2回目は、このお題にする。わたしは2018年から投資をしていて、コロナショックも2022年の停滞相場も経験している。結論から書くと、「詰む」という言葉が指しているものを分解すると、答えは変わる。順番に書いていく。
1. 「詰む」を3つの層に分解する
「暴落が来たら詰む」というとき、そこにはレベルの違う3つの事態が混ざっていると思う。
このうち①は、投資をしている以上ぜったいに起きる。ここを「詰まない」とは言わない。問題は②と③で、ここは設計と習慣でかなり防げるというのが、わたしの答えだ。
2. 答え合わせ:①は初期に直面。でも②③は防げた
まず、①が実際にどれくらい起きたか、数字で書く。
コロナショックは、投資2年目にしていきなり資産が3割ほど減る洗礼だった。ただ幸いにも回復は早く、大きなストレスを抱えることなく乗り越えられた。正確に言うと、当時のわたしはまだサイドFIREどころか独立もしていない会社員で、毎月かならず給料が振り込まれるという安心感があった。この安心感があったからこそ、乗り越えやすかった面はあったと思う。
次が2022年。規模でいえばコロナよりずっと小さいけれど、実はこっちのほうが気持ち的にはしんどかったかもしれない。毎月せっせと積み立てているのに、総資産がなかなか増えていかない。新しく入れたお金のぶんを、相場の下落がそのまま吸収していく。買っても買っても、増えない。口座を開くたびに資産が減っていくので、「口座を見ない技術」を身につけたのも、このころだ。
そして3つめが、いちばん本題に近い。2026年4月にサイドFIREを達成した、そのわずか1ヶ月後、中東危機の影響で資産は約300万円下落した。コロナに比べれば規模はずっと小さいけれど、達成直後というタイミングの悪さはあった。それでも、コロナを乗り越えた経験があったから、慌てず「航路を守る」基本動作(積立を止めない・数字を毎日見ない)を淡々となぞるだけで済んだ。
つまり①は、会社員時代もサイドFIRE達成後も、形を変えて何度も起きている。でも3回とも、わたしの生活は詰まなかった。理由は、②と③をあらかじめ防ぐ設計をしていたからだ。
3. 批判が当たっている部分も、認めておく
答え合わせなので、この疑問の「当たっている」ところも正直に認めておきたい。
つまり、「暴落が来たら詰む」は備えのない状態なら、本当にそのとおりだと思う。ここは否定しない。
4. 生活を守った、わたしの3段の防衛線
わたしが3回とも乗り越えられたのは、②と③を防ぐ3段の防衛線を組んでいたからだ。
① 資産を取り崩さない設計にしている。ここがいちばん大きい。わたしは資産を売って生活費に充てるのではなく、配当金と仕事の収入で生活を回している。暴落は資産の評価額を減らすけれど、売らなければ、含み損は「痛み」であって「損失の確定」ではない。取り崩す予定がないお金は、暴落中もただ静かに待っていればいい。
② 生活防衛資金300万円が、生活費と資産を切り離してくれる。わたしの生活防衛資金は現金300万円。月の生活費は約15万円なので、これだけで約20ヶ月分の生活費をまかなえる計算になる。この300万円は株でも投資信託でもなく、ただの普通預金だ。暴落で株価が半分になっても、この300万円の価値は1円も変わらない。「資産が減る恐怖」と「生活が壊れる恐怖」を、別の財布に分けているイメージだ。
③ 仕事の収入があるので、資産に頼りきらない。サイドFIREはフルFIREと違って、仕事を続ける前提。暴落が来ても、収入源がまるごと消えるわけではない。むしろ暴落中は、積み立てる金額を増やして「安く買えるチャンス」に変えることもできる。資産だけに全部を背負わせないぶん、選択肢が残る。
暴落そのものは、この3段のどこも止められない。でも①〜③がそろっていれば、暴落は「評価額が一時的に凹む出来事」で終わって、「生活が壊れる出来事」にはならない。詰むかどうかを決めるのは、暴落の大きさではなく、こちらの設計だと思う。
5. でも、リーマン級が来たらどうか。もっと厳しく想定してみる
ここまでの実例は、2022年の停滞にしても、中東ショックの5〜6%にしても、そこまで大きな下落ではない。「そのくらいなら乗り越えられて当然」と思われても仕方がない。だから、もっと厳しい前提でも耐えられるのか、自分の設計を疑ってみる。
想定するのは、リーマンショック級の暴落+長期の低迷だ。実際の数字で振り返ると、S&P500は2007年10月から2009年3月にかけて約57%下落し、暴落前の水準を回復するまで約4〜5年かかった。日経平均はわずか1ヶ月半で約4割下落し、回復には7年前後を要している。2022年の停滞どころではない、桁違いの規模と長さだ。
これを自分の3段の防衛線に当てはめると、どこが弱いか見えてくる。
つまり、わたしの生活を支えている配当と仕事収入は、同時に弱くなりうる。生活防衛資金300万円は「約20ヶ月分」と書いたけれど、これは収入がゼロになる前提の数字だ。実際には収入が半分くらいに減った状態が数年続く、というほうがリアルな想定で、そうなると300万円は思ったより早く目減りしていく。
それでも、詰む・詰まないの分かれ目は変わらないと思っている。資産は、それでも売らない。含み損がどれだけ長引いても、売らなければ確定しない。過去のリーマンショックも、売らずに持ち続けた人は、時間はかかっても回復の恩恵を受けている。売ってしまった人だけが、本当の意味で損失を確定させた。長期の低迷では、生活費の見直しをさらに一段厳しくする、貯金や投資のペースを一時的に落とす、といった追加の対応は必要になると思う。でも、それは「詰む」ではなく「調整する」だ。
本当にリーマン級が来たら、苦しい期間が数年続くのは間違いない。そこは強がらずに認めておきたい。それでも生活そのものが崩壊するところまでは、備えと調整でぎりぎり踏みとどまれる設計にしているつもりだ。この想定は、まだ実際に試されたことのない仮説にすぎないけど……。
もうひとつ、楽観できる材料もある。年齢は決して若いとは言わないけれど、まだ働き盛りで、いまのところ体は元気に動く。仕事が減って生活が本当に苦しくなったら、アルバイトでも何でもして、自分ひとりが暮らすぶんくらいはどうにかなるという感覚がある。独身で、身軽であるゆえの楽観だ。
6. それでも「見ない」を支えているのは、備えへの信頼
最後に、大事な話をひとつ。
わたしは暴落中、資産を「見ない」ようにしているといろんな記事で書いてきた。でもこれは、鈍感だからできることではない。生活費20ヶ月分、300万円の蓄えがある。配当もある。仕事の収入もある。だから資産は売らない。この3つがあるとわかっているからこそ、通帳を開かなくても不安にならずにいられる。
逆にいうと、この備えがない状態で「見なければ大丈夫」をやるのは、ただの現実逃避だと思う。備えがあるから見なくて済むのであって、見ないことが備えになるわけではない。順番を間違えないようにしたい。
次に暴落が来たとき、わたしの資産もまた評価額だけは大きく凹むと思う。それでも生活は詰まないと言えるのは、根拠のない自信ではなく、この3段の防衛線があるからだ。
まとめ
- 「暴落が来たら詰む」への答え:資産が減るのは事実、避けられない。でも「詰む」を3つの層(①評価額が減る②生活費が払えなくなる③心が折れる)に分けると、②③はかなり防げる
- コロナショックで資産は約3割減、2022年は評価益が296万円→246万円に縮小。サイドFIRE達成の1ヶ月後にも中東ショックで約300万円(5〜6%)下落したが、3回とも乗り越えた
- 当たっている批判も認める:資産だけで生活する設計なら本当に詰みかねない。フルFIREならもっと深刻。コロナ級の本格的な暴落は、サイドFIRE状態ではまだ経験していない
- 詰まなかったのは3段の防衛線があったから。①資産は取り崩さない②生活防衛資金300万円(生活費の約20ヶ月分)③仕事の収入で資産に頼りきらない
- もっと厳しく、リーマン級(S&P500約57%下落・回復に4〜5年)を想定すると、配当減と仕事の減少が同時に来る可能性はある。それでも資産を売らないことは変えない。長期戦になれば支出の見直しなど「調整」は必要になる
- 暴落を「見ない」でいられるのは、鈍感だからではなく、備えを頭で分かっているから。順番は備えが先、見ないのはその結果
- 詰むかどうかを決めるのは、暴落の大きさではなく、こちらの設計しだい
わたしが暴落中も詰まなかったのは、資産を取り崩さない設計と、コツコツ積み立ててきた土台があったからです。SBI証券ならNISA口座でのインデックス積立から高配当株まで一気通貫。暴落が来る前に、備えを整えておきませんか。わたしが8年使っているメイン口座です。
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