「サイドFIREは高収入じゃないと無理」は本当か。貯金500万円の会社員から始めたわたしの答え合わせ【サイドFIREの疑問①】
「FIREなんて、外資系とかエンジニアとか、高収入のエリートだけの話でしょ」。サイドFIREの話をすると、いちばんよく返ってくる言葉だ。検索してもSNSでも、この疑問は定番中の定番だと思う。
先日からフリーランスの後悔シリーズを始めたけれど、今日はその姉妹編。サイドFIREにまつわる世間の疑問に、達成したわたしが実数で答え合わせしていくシリーズの1回目。お題は、この「高収入じゃないと無理」説だ。
先に結論を書いておく。収入が高いほうが有利なのは、本当。そこは否定しない。でも「高収入じゃないと無理」は違う、というのがわたしの答えだ。カギは収入の高さではなく、「収入−支出」と時間にある。順番に書いていく。
1. わたしのスタート地点。26歳・貯金500万円・普通の会社員
まず、わたしがどこから始めたかを正直に書いておく。
投資を始めた2018年、わたしは26歳。映像制作会社で働く、ごく普通の会社員だった。外資系でも、エンジニアでも、年収1,000万円プレーヤーでもない。手元にあったのは、貧乏学生時代からの倹約ぐせで貯めた貯金500万円。最初の投資は、そのうちのたった5万円だった。
そこから8年。2026年4月に資産5,463万円でサイドFIREを達成して、いまは約5,800万円になっている。
「500万が8年で5,000万超え」とだけ聞くと、なにか特別な魔法があったように見えるかもしれない。だから、その中身を分解してみる。
2. 答え合わせ:8年の中身を分解する
ポイントは2つある。
ひとつめ。いまの資産の半分近くは、自分で入れたお金ではなく評価益。S&P500を中心としたインデックスに8年居続けた結果、市場が増やしてくれた分だ。この分解は5年間の実数記事で全部公開している。つまり「稼ぐ力」だけで5,800万円を作ったわけではない。時間と複利が、半分やってくれた。
ふたつめ。自分で追加した約2,200万円は、月にならすと20万円ちょっと。これは決して小さい額ではない。でも、これを可能にしたのは高い年収ではなくて、低い支出だった。わたしの生活費は東京で月15万円。うち固定費は月9.2万円まで最適化してある。入金力は「収入−支出」で決まるから、支出が小さければ、人並みの給料でも入金力は作れる。
3. 批判が当たっている部分も、認めておく
答え合わせなので、「高収入じゃないと無理」説の当たっている部分も、ちゃんと認めておきたい。
とくに3つめは強調しておきたい。わたしは2020年のコロナショックで資産が3割減るのも経験したけれど、トータルで見ればこの8年の相場は明らかに追い風だった。だから「8年で11倍」という結果のほうは、再現を約束できない。
でも、それでも「高収入じゃないと無理」とは言えない理由がある。
4. それでも「高収入だけの話」ではない理由
理由は3つだ。
① 式のうち、支出は誰でも今日から動かせる。入金力=収入−支出。収入を倍にするのは難しいけれど、固定費の見直しは1日でできて、効果がずっと続く。携帯を格安SIMにする、使っていないサブスクを切る、保険を見直す。わたしの資産形成の土台は、派手な収入ではなくこの地味な部分だった。
② 時間が、収入の差をかなり埋めてくれる。わたしの資産の半分近くは市場が増やした分、つまり「居続けた時間」の産物だ。月の入金が半分でも、期間が長ければ複利は追いついてくる。逆に、どれだけ高収入でも、始めなければ複利はゼロのままだ。
③ サイドFIREは、フルFIREより目標がずっと低い。完全に仕事を辞めるFIREは億単位の資産が要る世界だけど、サイドFIREは「資産所得+好きな仕事の収入」で暮らす設計。目標額がぐっと下がるぶん、普通の収入でも射程に入る。わたしが達成できたのも、こちらだったからだ。
まとめると、こうなる。高収入は「速度」を上げてくれる。でも、サイドFIREの成否を分けるのは速度より、支出の設計と、続けた時間。500万円の貯金と人並みの給料から始めたわたしの8年は、その実例のひとつだと思っている。
5. わたしの考えるサイドFIREは、「辞めること」じゃない
最後に、この答え合わせの前提になっている、わたしにとってのサイドFIREを書いておきたい。
わたしの考えるサイドFIREは、仕事を辞めて遊んで暮らすことじゃない。配当という下支えを育てて、お金のためだけに働かなくていい状態を作り、そのうえで好きな仕事を、無理のないペースで続ける生き方だ。実際、達成して2ヶ月たったいまも、映像の仕事は続けている。配当は月にならすと約4万円で、生活費の月15万円をぜんぶまかなえるわけではない。でも、この下支えと低い固定費があるから、仕事を「食べるため」ではなく「やりたいから」で選べるようになった。
つまり、わたしにとってサイドFIREのゴールは、辞めることではなく「選べるようになること」。どんな仕事をするか、どこに住むか、どう暮らすか。それを自分のタイミングで決められる選択肢を、お金の設計で先に用意しておく。そういう話だと思っている。
ちなみに、FIREの世界には「年間支出の25倍の資産があればFIRE可能」という有名な目安もある。資産を年4%ずつ取り崩していく前提の考え方だ。わたしの生活費は年間およそ180万円なので、25倍なら4,500万円。数字の上では、いまの資産はすでにこれを超えていて、「サイドFIREどころか、FIREもできている」と言えなくもない。
ただし、この目安は米国市場の過去データにもとづく試算だし、税金や社会保険をどこまで含めるか、この先何十年暮らすか、相場のめぐり合わせでも必要額は大きく変わる。どこからがFIREなのかは、結局その人の生活費と安心のラインしだいで、かなり個人差のある話だと思う。そのうえでわたしは、資産を取り崩すのではなく、配当と好きな仕事で回すサイドFIREの形を選んでいる。残高が減っていくのを眺めるより、このほうが性に合っているからだ。
だからこそ、これは高収入のエリートだけの特権ではない。目指すものが「億の資産で完全リタイア」ではなく「選択肢」なら、必要な数字はぐっと現実的になる。貯金500万円から始めたわたしがたどり着けたのが、その証拠のひとつだ。
まとめ
- 「サイドFIREは高収入じゃないと無理」への答え:収入が高いほうが有利なのは本当。でも「無理」ではない
- わたしのスタートは26歳・貯金500万円・映像制作会社の普通の会社員。最初の投資は5万円だった
- 約5,800万円の中身を分解すると、半分近くは市場と時間が増やした評価益。自分の稼ぎだけで作った数字ではない
- 8年の追加入金は月ならし20万円ちょっと。可能にしたのは高い年収ではなく、生活費月15万円という低い支出
- 当たっている批判も認める:収入は高いほど早い/わたしにも有利な条件はあった/この8年は相場が追い風だった
- それでも成否を分けるのは、支出の設計と続けた時間。そしてサイドFIREはフルFIREより目標がずっと低い
- わたしの考えるサイドFIREは「辞めること」ではなく「選べるようになること」。配当の下支え+好きな仕事を無理のないペースで続ける生き方
- 「年間支出の25倍」の目安なら、生活費年180万円×25=4,500万円。数字上はFIREとも言えなくもないが、必要額は個人差が大きい。わたしは取り崩さず配当+仕事で回す形を選んでいる
- 高収入は「速度」。でも速度がなくても、コースの設計と時間でゴールには届く
わたしの資産の土台は、SBI証券で8年続けてきた機械的な積立です。NISA口座でオルカン・S&P500を自動積立、成長投資枠で高配当株。高収入じゃなくても、低コストの積立を長く続けることが複利の入口になります。貯金500万円から始めたわたしのメイン口座です。
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