円高でわたしの資産は170万円減った。それでも何もしない理由
9月8日、円が一時1ドル152円台まで上がった。数字は下がっているけれど、1ドルを買うのに必要な円が減った、つまり円の値打ちが上がったので「円高」と言う。2月以来、7か月ぶりの円高だ。8月末は159円75銭で、この記事を書いている9日の朝は153円40銭。1週間ちょっとで6円動いた。こう思った人も、いるはずだ。
🤔「日本株に乗り換えたほうがいい?」
😊「ドルが安いなら、いま買い時?」
😑「そもそも、円高で何が変わるの?」
わたしの持ち物は、オルカン(全世界の株の投資信託)と、S&P500(アメリカの株の投資信託)と、BND(米国の債券ETF)と、日本の高配当株119銘柄と、現金300万円。ほかに、お遊び枠のビットコインが少し。このうち最初の3つは、中身がドルだ。オルカンは世界中の株で円も少し入っているけれど、大ざっぱにドル資産として考える。8月末の資産6,067万円のうち、7割がこの「ドルの箱」に入っている。
結論から言うと、わたしは何もしない。株が1円も動かなくても、この円高でドルの箱は約170万円縮んだ計算になる。それでも動かないのは、大前提として為替は読まない、上がっても下がっても積立は止めない、市場から降りない、と決めているからだ。
順番に見ていく。
1. そもそも、円高で何が変わるのか
まず、いちばん最初の声から。「円高で何が変わるの?」。変わるのは、ドルで持っているものを、円で数えたときの値段だ。
9月9日、1ドル153円40銭。中身のドルは1ドルも減っていない。
8月末の100万円は、ドルにすると 100万円 ÷ 159.75 = 約6,260ドル
その6,260ドルを9月9日の値段で円に直すと 6,260ドル × 153.40 = 96万円
株価が動かなくても、円で見た値段は4万円減る。逆に円安になれば、同じだけ増えて見える
これが、円高で起きることの全部だ。円で数えたときの大きさが、縮んだり、ふくらんだりする。
8月は逆だった。8月の月次レポートで、8月に増えた236万円の主役は「円安と株高で運ばれたインデックス(オルカンとS&P500)の140万円」と書いている。そのときに添えた一言が「円高になれば同じだけ減って見える」。今回は、その答え合わせだ。
なぜ急に円高になったのかは、報道の要点だけ置いておく。
② ベッセント米財務長官が日銀の植田総裁に「利上げが必要」と伝えたことが9月1日に公表されるなど、日米の当局者の発言が続いた
③ その結果、日米の金利差が縮む方向が意識された。金利差が縮むと、ドルを持つ理由が薄れて円が買われ、円高になる
2. わたしの持ち物を、2つの箱に分ける
8月末の資産を、ドルの箱と円の箱に分けると、こうなる。
ドルの箱は4,251万円。8月末の1ドル159円75銭で割ると、中身は約26万6,000ドル。1ドルが1円動くと、26万6,000ドル × 1円で、約27万円。つまり、1ドルが1円動くと、わたしの資産は約27万円動く。円高でも円安でも、株が動かなくても、だ。
8月末の159円75銭から、9月9日の153円40銭まで、6円35銭の円高。27万円 × 6.35 で、約170万円。これが「株が1円も動かなくても減った」ぶんだ。もちろん実際には株も動いているので、月末の数字はこの通りにはならない。
3. 円の箱は動かず、生活は円で回る
ドルの箱が縮むあいだ、円の箱は何も起きていない。高配当株119銘柄は日本の会社で、配当も円で来る。現金300万円は300万円のままだ。
そして、生活のほうも円で回っている。円高は輸入品の値段を下げる方向に働くけれど、店の値札にすぐ出るものではないので、ここでは当てにしない。
つまり、こういうことだ。
生活の側 家賃も食費も生活防衛資金も円。使うお金は全部円なので、来月の生活は変わらない
昨日の記事でも、「同じ人の中に、実感がある側とない側がある」と書いた。円高も同じで、減って見える側と、何も変わらない側が、同じ人の中にある。ドルの箱だけを見ると「円高は損」に振れてしまう。円の箱と生活を一緒に見るから、わたしは振れない。
4. 4つの声に、数字で返す
冒頭の4つの声に、数字で返すと、こうなる。
答え 円で数えると減る。100万円が96万円。ただし中身のドルは減っていない。8月に円安で増えて見えた側が、9月は減って見えているだけ
答え 為替の影響を受けたくないなら、日本株という選択はある。わたしの119銘柄は配当のために持っていて、為替よけではない。一方で、円高のいまは、同じ1万円で外国の株を多く買えるときでもある。正解はない
答え 同じ1万円で、8月末より4%多くドルが買える(159.75 ÷ 153.40)。それは事実。でも、わたしのオルカンの積立は毎月淡々と続けるだけで、為替は気にしない。同じ日に同じ額の積立が、円高の月は勝手に多く買ってくれる
答え 円の価値が上がる、ということ。同じ円で買える外国のものが増える。持っている人には減って見え、これから買う人には安い。積立を続けている人は、毎月その両方の立場にいる
5. わたしは、どう見ているか
わたしがやることは変わらない。理由は3つ。
1年で見ると、円は146円から164円まで動いた。読めないものは、読まない
オルカンの積立は同じ日に同じ額。円安なら円で見た評価額が上がり、円高なら、同じ1万円でそのぶん多くの口数(投資信託の持ち分)が買える
300万円の生活防衛資金は円。ドルの箱が縮んでも、生活には影響がない。ドルの箱は、使う日まで円で数えなくていい
アラン・グリーンスパン(2004年、フランクフルトでの講演)
FRB(アメリカの中央銀行)の議長だったグリーンスパンが、任期の終わりに近い2004年に言った言葉だ。続けて「何千人もの中には、うまく当てる人もいる。コイン投げ大会の優勝者と同じように」とも言っている。コイン投げ大会というのは、コインを投げて裏か表かを当てる遊びのこと。何千人で当てっこをすれば、10回続けて当てる人が必ず何人か出る。為替を当て続けた人もそれと同じ、というのがグリーンスパンの言い分で、世界でいちばん金利の情報を持っていた人が、為替は当てられない、と言い切った。
だから、わたしはドルの箱を円で数えて一喜一憂はしない。減る月が来ても、やることは変わらない。円で数えるのは、月に1回、月次レポートを書くときだけでいい。
円高でも、わたしがやることは変わりません。オルカンの積立も、日本の高配当株119銘柄も、BNDも、8年以上SBI証券の口座です。積立は、同じ日に同じ額で続きます。
SBI証券の公式サイトを見る →6. まとめ
- 9月8日に円が一時152円台、7か月ぶりの円高。8月末の159円75銭から1週間ちょっとで6円
- 円高で変わるのは、ドルで持っているものを円で数えたときの大きさだけ。100万円のオルカンは96万円に見えるが、中身のドルは減っていない
- わたしの資産は、ドルの箱4,251万円(70%)と円の箱1,691万円(28%)。1ドルが1円動くと約27万円、今回の6円35銭で約170万円縮んだ計算
- 円の箱と、円で回る生活は変わらない。生活防衛資金300万円も円。減って見える側と、変わらない側が、同じ人の中にある
- 大前提は、為替は読まない・積立は止めない・市場から降りない。円安なら評価額が上がり、円高なら多くの口数が買える
- 為替は当てられない(グリーンスパン)。わたしは何も変えない。ドルの箱を円で数えるのは、月次レポートのときだけ
・円高の理由(利上げ観測の加速、日米当局者の発言、金利差縮小):同じ9月8日の市況報道の説明をまとめたもの。ベッセント財務長官が8月30日の会談で伝え、9月1日に米財務省が公表した経緯は9月3日の記事に記載
・オルカンの中身(アメリカ63.1%):eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)月報 2026年7月
・わたしの資産の内訳:8月の月次レポート(インデックス3,934万円、BND・外国株317万円、日本高配当株1,391万円、現金300万円、ビットコイン125万円、合計6,067万円)。「ドル建てが資産の7割」は相関の記事でも70.6%と計算済み
・170万円・27万円・96万円:上の内訳と為替からクロちゃん(Claude)に計算してもらった目安。株価の変動は含まない
・グリーンスパンの言葉:Alan Greenspan, "Euro in wider circles", European Banking Congress, Frankfurt, 2004年11月19日(BISに掲載の講演録)。「to my knowledge, no model projecting directional movements in exchange rates is significantly superior to tossing a coin」「So are winners of coin-tossing contests」(講演録の注2)。訳はわたし




