資産5,831万円の年率リスクを計算したら11.4%。分散が効いていたのは、思っていたところではなかった
先日、日本株117銘柄のリスクを計算したら年率15.0%だった。1銘柄ずつだと平均27.1%あるのに、まとめると15.0%まで下がる。分散が効いているのがはっきり見えて、けっこううれしかった。
でも、あれは日本株1,315万円だけの数字だ。わたしの資産はそれだけではない。インデックス、債券、ビットコイン、現金もある。
全部あわせたら、いくつになるんだろう。
気になったので、クロちゃん(わたしはClaudeをこう呼んでいる)にまとめて計算してもらった。都合の悪い数字も出たので、そこも含めて書いておく。
0. 先に、測り方の話をひとつだけ
本題に入る前に、断っておきたいことがある。この記事には2種類の数字が出てくる。
なぜ相関だけ長い期間を使うのか。時差があるからだ。
日本の朝の相場は、前の晩のアメリカを受けて動いている。「昨日ニューヨークが下げたから、今朝の日本株も安い」というのは、よくあることだ。
ということは、同じ日付どうしで比べると、この関係が見えなくなる。日本の「今日」と、アメリカの「今日」は、実際には別のタイミングの出来事だからだ。
実際に、区切る長さを変えて測ってみたら、はっきり出た。
日本の高配当株は0.09 → 0.30 → 0.39と上がっていく。区切りを長くするほど、時差のズレが中に吸収されるからだ。一方オルカンは0.96のまま動かない。アメリカと同じ時間帯で動いているので、そもそもズレがない。
低いほうの0.09を採って「分散できています」と書くのは、さすがにずるいと思った。なので相関は、いちばん落ち着いた1か月ごと・5年ぶんの数字を使う。
1. まず、単純に足してみる
いま持っているものを全部並べる。
表のいちばん下が15.0%だ。これはそれぞれのリスクに、金額の大きさをかけて足しただけの数字になる。S&P500のリスクとたまたま同じ数字になっているけれど、別のものだ。
こうやって全部を足すと、15.0%になる。
つまり15.0%は、全部が足並みをそろえて動いたときの数字だ。
でも実際には、そんなことは起きていない。ある日はこっちが下がって、あっちが上がっている。それを計算に入れると、どうなるのか。
2. 打ち消し合いを入れると、11.4%になった
実際の値動きを計算に入れるには、足し算ではなく、毎日の動きそのものを合成する必要がある。手順はこうだ。
上の例でいうと、S&P500が−1.0%でも日本株が+0.5%なので、資産全体としては−1.0%より小さく済んでいる。こういう日が積み重なる。
その結果が、これだった。
3.6ポイントぶんが、分散で消えている。持っているものが、同じタイミングでは動いていないからだ。
金額にすると、1年後の目安はこうなる。
±667万円。日本株だけのときは±200万円だったので、金額としては大きくなった。持っている総額が増えれば当然だ。
でも割合としては下がっている。ここが今回いちばん知りたかったところだった。
では、どれとどれが打ち消し合っていたのか。
3. 効いていたのは、日本の高配当株だった
一緒に動くかどうかは、相関という数字で表す。
わたしの資産で測った結果が、これだ。
いちばん上の行を見てほしい。日本の高配当株は、どれと比べても0.34〜0.48にとどまっている。S&P500とは0.39、BNDとは0.34しかない。
日本の高配当株が入らない組み合わせは0.43〜0.97なので、ここだけ明らかに別の動きをしている。
日経平均やTOPIXと比べると、もっとはっきりする
「日本株だから、アメリカと離れているのは当たり前では」とも思ったので、日本の指数とも比べてみた。
日経平均が0.64、TOPIXが0.59。それに対してわたしの117銘柄は0.39だった。
つまり「日本株だから」ではなく「わたしの選んだ日本株が、指数よりさらにアメリカから離れている」ということになる。日経平均は値がさのハイテク株の影響が大きく、アメリカと一緒に動きやすい。一方わたしの117銘柄は、国内で商売をしている中小型の会社が多い。その差が出たのだと思う。
7月の月次レポートで「日本の高配当株が伸びて、インデックスのマイナスを打ち消した」と書いた。あのときは今月はたまたまそうなったくらいに思っていた。
でも数字で見ると、たまたまではなかった。日本の高配当株は、配当を受け取るために持っているつもりだったけれど、資産全体を揺れにくくする役目も、同時に果たしていたことになる。
4. 都合の悪い数字①:オルカンとS&P500は、ほぼ同じものだった
ここからが正直に書いておきたい部分だ。
表のなかで、いちばん高い相関が0.97だった。オルカンとS&P500の組み合わせだ。
1.00がぴったり同じ動きなので、0.97はほとんど同じものということになる。
理由ははっきりしている。以前の記事でも書いたけれど、オルカンの中身の6割超はアメリカの会社だ。世界中に分散していると言っても、いちばん大きい部分がアメリカなので、S&P500とほぼ同じ動きになる。
つまりわたしが持っているオルカン193万円は、分散という点ではほとんど働いていない。S&P500を193万円ぶん多く持っているのと、ほぼ変わらない。
これは知らなかったわけではない。ただ0.97という数字にしてみると、思っていた以上に同じ動きをしていた。
5. 都合の悪い数字②:債券なのに、株と6割ほど一緒に動いていた
もうひとつ。米国債券BNDと、S&P500の相関が0.64だった。
債券は本来、株が下がったときに支えてくれる存在として持っている。だから相関は低いほどありがたい。それが0.64ということは、6割ほどは株と一緒に動いていることになる。
原因は為替だ。
BNDはドル建ての商品なので、円で見ると「債券の値動き」と「ドル円の値動き」が両方乗る。そしてS&P500にも同じドル円が乗っている。共通の要素が入っているぶん、一緒に動いてしまう。
数字で見ると、はっきりする。BNDはドルで見れば年率6.2%しか動かない、とても穏やかな資産だ。それが円で持つと8.6%になる。ドル円そのものが10.6%動いているので、そのぶんが乗っている。
銘柄も国も分けているつもりだったけれど、通貨という一本の軸では、かなり集中していることになる。
ここまで来て、3章の答えがつながった。日本の高配当株が効いていたのは、ドル円が乗っていない資産だからだ。現金300万円も同じで、円のまま置いてある。
わたしの資産で「ドル円の影響を受けない」のは、日本株1,315万円と現金300万円だけ。全体の27.7%にあたる。この2つが、残りの7割を支える形になっている。
これは前から自覚していて、通貨の記事にも書いた。それでもいまのドル中心でいいと思っているので、変えるつもりはない。ただ「分散できている」と思いすぎないようにしようとは思った。
6. ビットコイン47.7%と、現金300万円
残りの2つについても書いておく。
ビットコインの年率リスクは47.7%だった。表のなかで断トツに荒い。S&P500の3倍以上だ。
それでも困っていないのは、保有額が99万円で、全体の1.7%しかないからだ。1.7%が半分になっても、全体では0.85%減るだけになる。荒いものは、小さく持てば効かない。前回、117銘柄のなかでいちばん荒い銘柄が62%でも全体に響かなかったのと、同じ理屈だ。
ちなみにビットコインは、日本の高配当株との相関が−0.02とほぼゼロだった。分散という意味では、実はいちばん独立して動いている。ただし荒すぎるので、増やす気にはならない。
逆に効いていたのが現金300万円だ。
現金はリスク0%なので、持っているだけで全体の数字を下げる。実際に計算すると、現金を除いたリスク資産だけなら12.1%、現金を入れると11.4%だった。0.7ポイント下げていることになる。
生活防衛資金として置いている300万円は、数字のうえでも、ちゃんと仕事をしていた。
7. わかったこと
計算してみて、いちばん変わったのは分散という言葉の意味だった。
とくに②が意外だった。
前の晩のアメリカが好調だと、翌朝の日本株も上がることが多い。だから、もっと連動しているものだと思っていた。実際に測ってみて0.39なら、たしかに関係はある。でも日経平均0.64・TOPIX0.59と比べると、はっきり低い。
日本の高配当株は、効率だけを考えればインデックス1本のほうがいいと言われることが多い。わたし自身もそう書いてきた。それでも持っているのは、毎月お金が入ってくるほうが自分には続けやすいからだった。
でも今回、効率とは別のところで、ちゃんと仕事をしていたことがわかった。しかも狙ってそうしたわけではない。リベシティで紹介された銘柄を組み合わせていったら、結果的にそうなっていた。
8. この数字の限界
最後に、この数字からは言えないことも書いておく。
2つ目がいちばん大事だと思っている。いま0.39の相関も、本当の暴落が来れば1に近づく。そのときは日本株もインデックスも一緒に落ちる。今回の11.4%は「ふつうの1年」の話でしかない。
それでも、測ってよかった。自分の資産がどれくらい動くのか、そして何が効いていて何が効いていないのかが、はじめてはっきりした。
±667万円という数字は、見た瞬間はやっぱり大きい。でも取り崩さない設計にしているので、動いても売らなくていい。わかっていれば、動いた日も慌てずに済む。それがいちばんの収穫だった。
まとめ
- 資産5,831万円のリスクを、単純に足すと15.0%。それが実際に測ると11.4%だった。差の3.6ポイントが分散の効果
- 1年後の目安は、ふつうの年で±667万円、荒れた年で±1,335万円
- 日本とアメリカは市場が開く時間が違うので、同じ日付で比べると連動が見えない。日本株とS&P500の連動ぐあいは、日ごと0.09 → 週ごと0.30 → 月ごと5年で0.39と上がる。低いほうを採るのはずるいので、相関は月ごと5年の数字を使った
- いちばん効いていたのは日本の高配当株。S&P500との相関は0.39で、ほかの組み合わせ(0.43〜0.97)より明らかに低い
- しかも日経平均0.64・TOPIX0.59よりも低い。「日本株だから」ではなく「選んだ日本株が、指数以上にアメリカから離れていた」ということだった
- 逆にオルカンはS&P500と相関0.97でほぼ同じもの。中身の6割超がアメリカなので前から知ってはいたが、数字で確認できた
- 債券BNDもS&P500と0.64。ドルで見れば年率6.2%しか動かないのに、円で持つと8.6%になる。ドル円そのものが10.6%動いているから
- 資産の70.6%がドル建て。ドル円の影響を受けないのは日本株と現金だけで27.7%。この2つが残りの7割を支えていた
- ビットコインは年率47.7%と断トツに荒いが、全体の1.7%しかないので響かない。現金300万円は持っているだけで全体を0.7ポイント下げていた
- ただし本当の暴落では相関が1に近づく。今回の数字は「ふつうの1年」の話でしかない
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