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景気敏感株を0%から100%まで増やしても、リターンは年1ポイントしか増えなかった。増えたのは揺れと、暴落の深さだけ【後編】
サイドFIRE2026-08-14📖 約15分で読めます

景気敏感株を0%から100%まで増やしても、リターンは年1ポイントしか増えなかった。増えたのは揺れと、暴落の深さだけ【後編】

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📚 SERIES景気敏感株とディフェンシブ株(全2回)
  1. 1. 景気敏感株とディフェンシブ株、18年でどっちが増えたのか。測りはじめを数か月ずらすだけで、答えが変わった【前編】
  2. 2. 景気敏感株を0%から100%まで増やしても、リターンは年1ポイントしか増えなかった。増えたのは揺れと、暴落の深さだけ【後編】
ごまもち
🐾 ごまもち
こんどは おちる はなし?🐾
あずき
あずき
そう。増える話はもう見たから、こんどは落ちる話。ここが本題だと思う。

前編では、景気敏感株とディフェンシブ株が18年でどれだけ増えたのかを見た。年率でTOPIX7.6%・景気敏感7.0%・ディフェンシブ6.0%。ただしその差は手数料や除外した業種で説明がついてしまい、「業種を選んだ見返りは、確かめられなかった」というのが結論だった。測りはじめを数か月ずらすだけで順位が入れ替わることも分かった。

ここからが後編。落ちるときはどこまで落ちるのか。そして結局、何割ずつ持てばいいのか

わたし自身の話でいうと、日本の高配当株117銘柄のうち金額でみて74.3%が景気敏感株だ。この数字をどうするかを、最後に決める。


1. 落ちるときは落ちるし、一緒に落ちる

リターンではTOPIX、次いで景気敏感だった。では、ディフェンシブがその差を譲るかわりに何を受け取っていたのか。落ちるときの数字を見る。

📉 揺れの大きさと、暴落したとき
景気敏感
ディフェンシブ
TOPIX
年率の揺れ
20.0%
14.2%
17.0%
リーマン(2008〜2009年)
−58.9%
−36.7%
−51.3%
コロナ(2020年)
−32.6%
−26.3%
−29.3%
※表は横にスクロールできます
年率の揺れは、1年のあいだに上下しやすい幅のこと。数字が大きいほど動きが荒くなります。3者とも同じ18年で、業種ETFをまとめて1つとして持った場合の揺れです(前編で出した単純平均とは計算が別で、まとめて持つと業種どうしの打ち消し合いが入ります)。暴落の数字は、その期間の高値から安値までの下落幅です(リーマンは2008年6月〜2009年3月

リーマンのとき、景気敏感は−58.9%。ディフェンシブでも−36.7%なので、安全なほうでも3割半ばは落ちる

ただ、ここでいちばん大事なのはTOPIXの−51.3%だと思う。景気敏感との差は7.6ポイントしかない。つまり「景気敏感だけが危ない」わけではない。日本株を持っていること自体に、この下落幅がついてくる。

日本株だから深かった、というわけでもない。同じ期間のアメリカの株(S&P500)はドルのままで−51.8%、円に直すと−54.6%。全世界株も円で−53.9%だった。TOPIXの−51.3%とほとんど変わらない。国を分けても、株である以上は半分ぐらい落ちたということになる。

※円に直した数字には、当時の急な円高のぶんが乗っています。日本円で持っていた人から見ると、外国株のほうがむしろ深く見えた、ということです。

逆に見ると、ディフェンシブだけがTOPIXより14.6ポイント浅い。前編と合わせると、TOPIXのかわりにディフェンシブを選ぶというのは、リターンを年1.6ポイント譲って、暴落を15ポイントぶん浅くする取引だったことになる。

混ぜたときの効きも見ておく。この2つの値動きの連動ぐあいは0.70だった。1.00がぴったり同じ動きなので、かなり近い。

ふだんの値動きなら少しは打ち消し合うので、混ぜれば揺れは下がる(次の章で見る)。ただし暴落では、深さは違っても両方とも落ちる。−36.7%と−58.9%で22ポイントの差はあるが、片方がプラスになって支えてくれることはない。性格がいちばん遠いはずの2つで0.70なのだから、日本株どうしである以上はクッションにはなっても、逃げ場にはならない。逃げ場がほしいなら、業種を混ぜるより国や資産をまたぐほうが筋がいい。


2. では、何割持てばいいのか

景気敏感を何%持つのが最適なのか

比率を変えて計算してもらった。年率のリターンと、年率の揺れと、リーマン級が来たときの下落幅を並べる。

📊 景気敏感の比率を変えると
景気敏感
年率リターン
年率の揺れ
リーマン時
0%
6.0%
14.2%
−36.7%
25%
6.2%
14.6%
−42.3%
50%
6.5%
15.8%
−47.8%
75%
6.7%
17.7%
−53.3%
100%
7.0%
20.0%
−58.9%
(TOPIX)
7.6%
17.0%
−51.3%
※表は横にスクロールできます
色をつけた75%の行が、わたしのいまの位置(74.3%)にいちばん近い比率です。いちばん下のTOPIXは業種を選ばなかった場合で、比率の話とは別の選択肢として並べています。リーマン時の欄は、2つの下落幅を比率で混ぜた計算です(実際は底を打つ時期がずれるので、もう少し浅く済んだ可能性があります)。TOPIXの−51.3%だけは実際に測った下落幅なので、比率の行と直接くらべることはできません。またTOPIXは、除いた2業種も含めて会社の大きさで持つもので、こちらは業種を同じ重さで持っています。配当を目的にした持ち方でもないので、この表は値動きと下落幅だけの比較です

景気敏感を0%から100%まで増やしても、リターンは年6.0%から7.0%まで、たった1ポイントしか増えない。その1ポイントのために、揺れは14.2%から20.0%へ5.8ポイント、暴落の深さは−36.7%から−58.9%へ22ポイント深くなる。

しかもいちばん下のTOPIXが、どの行よりリターンが高い。7.6%だ。揺れは17.0%で、50%と75%のあいだにおさまっている。リターンは全部より上、揺れは真ん中ということになる。

前編で書いたとおり、この差には手数料と商社・卸売の除外が効いているので、「TOPIXの勝ち」とまでは言えない。それでも「業種を選んだほうが有利だった」とは言えなかったことは、そのまま受け取っておきたい。

比率の話に入る。リターンの列とリーマン時の列は、混ぜ方だけで自動的に決まる。買ったまま持ち続ける前提なので、2つの数字を比率で混ぜれば必ずこうなる。25%の行の−42.3%は、−58.9%と−36.7%を1対3で混ぜた値そのものだ。

これは「発見がない」という意味ではない。逃げ道がないという意味だ。揺れは混ぜれば打ち消し合うぶん割引が効くが、暴落の深さだけは割引が一切効かず、比率がそのまま自分の損失になる

1列だけ、混ぜ方では決まらない列がある

年率の揺れの列だけは違う。ここは2つの連動ぐあい(0.70)が効くので、実際に計算しないと出ない。そして、増やす区間によって値段がまるで違った。

🎯 25%ずつ増やしたときの「値段」
もらえるリターンは、どの区間も年0.2〜0.3ポイントで横ばい。
払う揺れは、+0.4 → +1.2 → +1.9 → +2.3ポイントと増えていく。
そして暴落の深さは、どの区間でも5〜6ポイントずつ深くなる。
上の表の数字を引き算しただけです。増やすほど、同じ見返りに払うものが増えていきます

最初の25%がいちばん安く、そこから先はどんどん高くつく。ただし「だから25%が正解」ということにはならない。リターンを揺れで割った効率は、0%が0.423、25%が0.425で丸めの中に収まる差だ。どこかに山があるのではなく、坂がなだらかに急になっていくだけで、「ここが頂上」という点は出てこない。

そのうえこれは平常時の揺れの話で、暴落には効かない。25%混ぜただけで、下落幅は−36.7%から−42.3%まで素直に深くなる。そして暴落で売ってしまえば効率の話は全部消える。だから最後に残る基準は「どこまでの下落に耐えられるか」になる。

※これは「買ったら動かさない」と決めた人の話です。毎月積み立てている人や年に1回比率を戻している人は、むしろ比率を保ち続けている側にいて、教科書の「効率のいい比率を探す」という考え方がそのまま生きています。「最適な比率がない」のは、売らないと決めた人にとって、ということです。

金額にすると分かりやすい。1,000万円を持っていてリーマン級が来たとき、全部ディフェンシブなら633万円、いまのわたしの位置(75%)なら467万円、全部景気敏感なら411万円まで減る。いちばん下がったときの数字だ。

この金額を見て、売らずにいられるか。比率を決める材料は、結局それだと思う。逆から引くこともできて、「ここまでなら耐えられる」を先に決めて比率に戻すこともできる。

🎯 耐えられる下落幅から、比率を決める
暴落で4割減までなら耐えられる → 景気敏感は15%まで
4割半までなら → 37%まで
5割までなら → 60%まで
リーマン級(景気敏感−58.9%・ディフェンシブ−36.7%)が来た場合の目安です

出発点になる数字もある。この記事で使った15業種を会社の数で数えると、景気敏感とディフェンシブはほぼ半々(52%対48%)だった。「市場の正解」ではないが、ここを基準にして耐えられる下落幅のぶんだけずらすと決めておけば、迷ったときに戻る場所ができる。

※社数で数えた比率で、除いた2業種(情報通信・サービスその他/運輸・物流)は入っていません。この2業種は社数が多いので、戻せば比率は動きます。金額(時価総額)で数えた市場の比率は、この記事では出していません。

これは、業種だけの話ではない

同じかたちの選択は、インデックスを1本だけ持っている人にもある。その場合の比率は「株と現金をどれくらいずつ持つか」だ。株を増やせばリターンも下落幅も一直線に増えて、「ここが一番おいしい」という点は出てこない。持っているものが違っても、決め方は変わらないのだと思う。

ごまもち
🐾 ごまもち
せいかいが ないの?🐾
あずき
あずき
半々から始めて、どこまで下がっても平気かで動かす。それくらいかな。

3. わたしの場合は74.3%だった

景気敏感74.3%は、表でいえば75%の行だ。リーマン級が来たら5割強落ちる位置にいる。1,000万円あたり467万円まで減る計算になる。

その行を、いちばん下のTOPIXと並べてみる。リターンは低く(6.7%対7.6%)、揺れは大きく(17.7%対17.0%)、下落幅は深い(−53.3%対−51.3%)比率を探していたわたしは、その直線の上でいちばん割の悪いあたりに立っていたことになる。

なぜこうなったのか。

最初に買ったのは、リベシティの「学長高配当株マガジン」で紹介されている30〜40銘柄だった。利回りだけでなく業種のバランスまで考えて選ばれている。それをほぼそのまま揃えて買った。

問題はそのあとで、マガジンのなかで個別に紹介されていた銘柄自分で気になった銘柄を足していった。買う金額もそのときの余裕次第だ。こうして117銘柄になった。

足すときに見ていたのは利回りだけで、業種は見ていなかった。日本の高配当株で利回りが高くなりやすいのは、素材・商社・機械・金融といった成熟した産業だ。利回りだけで足していけば、そちらに寄る

実際、買ったときの利回りは景気敏感4.93%・ディフェンシブ4.54%だった。平均どうしの差は0.39ポイントしかない。それでも寄ったのは、利回りが見合う候補そのものが景気敏感側に多かったからだと思う。

2章で出した市場の比率(社数で52%対48%)とくらべると、わたしは社数で66.7%。市場よりはっきり景気敏感に寄っている。金額で見ると74.3%とさらに高い。

※数え方は完全にはそろっていません。市場側の52%は2業種を除いた15業種で数えたもので、わたしの117銘柄のほうはその2業種の銘柄も近いほうに振り分けています。金額で数えた市場側の比率は出していないので、金額どうしの比較もしていません。

バランスを取ってくれていた土台から離れて、利回りだけで足していった結果が74.3%だ。崩したのはわたしのほうだった。

では、どうするか

方針は変えない。売らない

74.3%を無理に半分にするようなことはしない。そのうえで、買い増しのときの決め方だけ足すことにした。

🎯 これからの買い方
1. これまでどおり、割安だと判断できたときだけ買う
2. 候補が複数あって条件が近いなら、いま薄いディフェンシブ側(25.7%しかない)を選ぶ
目標の比率は決めません。決めると、達成するために売る必要が出てくるからです

「薄いから買う」ではない。あくまで割安だと判断できたときに、迷ったら薄いほうを選ぶという順番だ。逆にすると、割高なものを比率のために買うことになる。

なお「値段が下がった=割安」ではない。株価が下がっているときは業績が落ちていたり減配が近かったりもするので、利回り・業績・配当を続けられそうかを合わせて見る。条件が合うまで待つことになるので、何年かかけてゆっくり寄せていければいい。

そして74.3%のままでも、それは失敗ではないと思っている。ただし理由は、調べる前に思っていたものとは違う。

18年の数字で見るかぎり、景気敏感に寄っていたことは電力・ガスを含んだディフェンシブに寄せた場合よりは資産を増やす方向に働いた。配当のほうも、8年でたどり着く額はほとんど同じで、違ったのは減配の起きやすさだけだった(前編)。だから「寄っていたせいで損をした」わけではない

でも電力・ガスを外した3業種とはほぼ互角(7.0%対7.1%)だったし、業種を選ばずに市場をまるごと持つ場合には届かなかった

つまり寄っていたことが良かったのか悪かったのかは、この18年の数字では決まらない。言えるのは「わざわざ寄せた見返りは、確かめられなかった」までだ。

それでも直さないのは、直すのに売る必要があるから。売れば税金がかかり、配当が減る。確かめられなかった程度の差のために払うものではない。わたしが引き受けているのは「リーマン級で5割落ちても売らない」という約束だけだ。取り崩さない設計にしてあるので、そこは守れると思っている。

ごまもち
🐾 ごまもち
あずきは 5わり おちても へいき?🐾
あずき
あずき
平気ではないよ。配当も一緒に減るしね。それでも、売らずに済む形にしてあるから。そこだけが支えかな。

この数字の限界

⚠️ 気をつけていること
過去18年がこうだった、というだけ。次も同じとはかぎらないし、前編で見たとおりどこから測るかで数字は変わる
本当の高値からは測れていない。業種ETFの値が2008年3月からしかないため、下落幅は実際よりも浅く出ている
比率ごとの数字は、買ったまま持ち続ける場合の計算。毎年比率を戻す(リバランスする)ことは考えていない
商社・卸売を値動きの計算から除いている(ETFが2009年1月開始のため)。わたしの2番目に大きい業種なので、そのぶん自分の実態とはずれる
「情報通信・サービスその他」と「運輸・物流」を除いたぶん、全体像が欠けている。なおわたしの117銘柄のほうは、この2業種も近いほうに振り分けているので、市場の数字とは土台が少し違う

未来が読めないうえに、過去すら測り方で動く。だから比率はリターンの予想ではなく自分が耐えられる下落幅から決めるしかない、というのが調べた結論だ。


まとめ(後編)

🐾 後編のまとめ
  • リーマンでは景気敏感−58.9%・TOPIX−51.3%・ディフェンシブ−36.7%。景気敏感とTOPIXの差は7.6ポイントしかなく、株を持っていること自体にこの下落幅がついてくる(同じ期間のS&P500はドルで−51.8%、円で−54.6%)
  • 2つの連動ぐあいは0.70。混ぜてもクッションにはなるが、逃げ場にはならない。逃げ場がほしいなら業種より国や資産をまたぐほうが筋がいい
  • 景気敏感を0%から100%まで増やしても、リターンは年6.0%から7.0%へ1ポイントしか増えない。そのために揺れは5.8ポイント、暴落の深さは22ポイント深くなる
  • 払う値段は増やすほど高くなる。最初の25%は揺れ+0.4ポイント、最後の25%は+2.3ポイントで6倍近い差。ただし「ここが頂上」という点は出てこないので、最後に残る基準は「どこまでの下落に耐えられるか」
  • 金額にすると、1,000万円がリーマン級で633万円(全部ディフェンシブ)から411万円(全部景気敏感)まで。この数字を見て売らずにいられるかで決める
  • わたしは74.3%。売らずに買い増しだけで、割安だと判断できたときに、迷ったら薄いほうを選ぶ。目標の比率は決めない(決めると売る必要が出るから)
  • ただしこれは売らないと決めた人の話。毎月積み立てている人や年1回比率を戻す人には、教科書の考え方がいまも生きている

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この記事はあずき個人の見解・体験のシェアです。特定の銘柄・金融商品への投資を推奨・勧誘するものではありません。景気敏感株とディフェンシブ株の分類は東証の業種区分をもとにした自分なりの分け方で、公式なものではありません。リターン・下落幅・減配などの数値は、東証業種別ETFと自分の保有銘柄の実データをもとにClaude(クロちゃん)に計算してもらった目安で、正確性を保証するものではなく、期間や計算方法を変えれば結果は変わります。過去の実績は将来の成果を約束するものではありません。投資は価格が変動し、元本を割り込む可能性があります。必ずご自身の判断と責任で行ってください。
TAGS#高配当株#日本株#ポートフォリオ
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