世界最大のハイテクETF『QQQ』が東証上場。人気は出そう、でもわたしは買わない理由
ニュースで見た人も多いと思う。世界最大のETF「インベスコQQQ」が東京証券取引所に上場 した。
- 米国のハイテク株中心の ナスダック100指数 に連動するETF
- 運用資産額は 65兆円超で世界1位
- 米国では1999年から上場している老舗ETF
- 今回の東証上場で、東証の取引時間中に円建てで売買可能 に
- 折しもナスダック市場では「スペースX」など大型IPOが続々と控えるタイミング
「世界最大」「ハイテク」「円建てで買える」と、キャッチーな言葉が並ぶ。たぶん日本でも人気は出る と思う。
でも、先に結論を書いておく。わたしは買わない。その理由を、数字と一緒に正直に書いてみる。
1. QQQって何? 中身を見てみる
QQQは ナスダック100指数 に連動するETF。ナスダックに上場する金融を除く時価総額上位100社に投資する。
中身はこんな感じ。
円建てで買えることのメリットは確かにある。整理するとこんな感じ。
「米国ETFはハードルが高い」と感じていた人には朗報だと思う。
⚠️ ただし「円建て=為替リスクなし」ではない
ここはよくある誤解なので触れておきたい。円建てで買えても、為替リスクはなくならない。
QQQの中身は米国株なので、円高になれば基準価額は下がる(逆に円安なら上がる)。東証上場で変わったのは「売買の通貨と手数料」であって、投資対象がドル資産であることは変わらない。
ただ、これはQQQに限った話ではなく、オルカンもS&P500の投資信託もまったく同じ。円で買っていても中身は外国株なので、為替の影響は常に受けている。「円建てだから安心」ではなく、「ドル資産を持つ」ことを理解したうえで付き合う のが大事だと思う。
ちなみにわたしは BNDの記事 でも書いた通り、為替を「リスク」としてだけでなく、「ドルで資産を持つ」という分散の手段 とも捉えている。日本円だけで全資産を持つことにもリスクはある。だからわたしは、日本高配当株(円資産)と、オルカン・S&P500・BND(ドル資産)の両方 を持つ形にしている。為替に振り回されるのではなく、円とドルの両輪で構える イメージだ。
2. S&P500との10年比較。たしかにリターンはすごい
ここが気になる人も多いはず。QQQとS&P500、過去10年でどちらが増えたのか。
10年で5.2倍 vs 2.9倍。リターンだけ見ればQQQの圧勝だ。「QQQ最強説」が出てくるのも分かる。
でも、この表でわたしが見るのは下の2行。値動きはS&P500の1.3倍激しく、ITバブル崩壊時には-83% という歴史がある。100万円が17万円になる下落を、果たして耐えられるか?
では1999年(設定来)から比較すると? 「いつ買ったか」で景色が変わる
QQQは1999年3月に米国で上場した。せっかくなので 設定来27年の成績 も見てみる。これが面白い結果だった。
なんとトータルでも QQQ +627% vs S&P500 +265% で、QQQの圧勝。「ほら、やっぱり長期ならQQQ最強じゃん」と思うかもしれない。
でも、27年間の「道のり」を折れ線グラフにすると、また別の物語が見えてくる。
グラフを見ると、最後はQQQが大きく勝っている。でも 道のりに注目 してほしい。
- 1999年に買ったQQQは、2000年に一瞬2.3倍まで急騰したあと、-83%の大暴落
- その後、2014〜2015年頃までの約15年間、ずっとS&P500に負けていた
- QQQが圧勝に転じたのは、2010年代後半〜2020年代のテックラリー以降 の話
つまり「設定来+627%」という数字は、最後の10年だけで稼いだ数字 とも言える。
「切り取り方」で結論が変わる
ここまでで3つの期間を見てきた。同じQQQとS&P500なのに、こうなる。
投資商品の宣伝やSNSで見かける「○年で○倍!」という数字は、一番見栄えのいい期間を切り取っている ことが多い。嘘ではないけれど、全体の物語の一部でしかない。
同じ商品でも、買うタイミングで「人生最高の投資」にも「15年塩漬けの悪夢」にもなる。これがQQQの本当の姿だと思う。S&P500やオルカンより値動きの振れ幅が大きい分、タイミングの当たり外れも極端に出る。
ちなみに、いまのナスダックは AIブームで史上最高値圏。2000年と状況が同じとは言わないけれど、「高値圏で話題になった商品に飛びつく」という構図は、ちょっと既視感がある。
3. わたしが買わない4つの理由
人気は出そうだけど、わたしは買わない。理由は4つ。
理由①: 分散がそれほど効いていない
QQQは100銘柄に投資しているけれど、テック株比率が50%超。しかも時価総額加重なので、上位10銘柄(Apple・Microsoft・エヌビディアなど)で半分近くを占める。
「集中投資」とまでは言わないけれど、分散投資としては中途半端。インデックス投資の最大の武器である「分散」が、QQQでは弱い。
理由②: オルカン・S&P500とほとんど重複する
ここが一番大事なポイント。QQQの主要銘柄は、オルカンにもS&P500にも全部入っている。
Apple、Microsoft、エヌビディア、Amazon、Google。これらはS&P500の上位銘柄そのものだし、オルカンの上位もほぼ同じ顔ぶれ。つまり、すでにオルカンやS&P500を持っている人がQQQを買い足しても、「ハイテク系への投資を濃くする」だけ で、新しい分散にはならない。
理由③: コストはS&P500系より高め
経費率0.18%は、ETFとしては十分安い。でも比較対象を間違えてはいけない。
- eMAXIS Slim S&P500: 0.09372%
- eMAXIS Slim オルカン: 0.05775%
- QQQ(東証版): 0.18%
つまり オルカンの約3倍、S&P500の約2倍 のコスト。長期保有するほどこの差は効いてくる。
理由④: 「うまく付き合う」難易度が高い
QQQは「S&P500と組み合わせて、テック比率を自分で調整する」という使い方なら面白い商品だと思う。でもそれは 「自分のポートフォリオ全体のバランスを見ながら買う」上級者の使い方。
下落局面でホールドし続ける握力、リバランスの判断、テック市場への見立てなど、求められるものが多い。「人気だから」「リターンがすごいから」で買うと、暴落時に狼狽売りして終わるパターン が見えてしまう。
4. それでも「あり」な人もいる
買わない理由を並べたけれど、QQQが悪い商品だとは思っていない。世界最大のETFになったのには理由がある。こういう人には選択肢としてありだと思う。
特に強調したいのは最後の行。初心者ほどQQQに手を出す理由はない とわたしは思っている。
リターンの数字は魅力的に見えるけれど、それは 「過去10年がテックの黄金時代だった」 結果。次の10年も同じとは限らないし、ハイリターンの裏には必ずハイリスクがある。最初の1本は オルカン、物足りなければ S&P500。QQQを検討するのは、その後でも全然遅くない。
5. わたしの結論。ポートフォリオは変えない
今回の東証上場は「米国ETFへのアクセスが良くなった」という意味で、日本の投資環境にとって良いニュースだと思う。円建て・東証時間・NISA成長投資枠対応と、買いやすさは確実に上がった。
でも、買いやすくなったことと、買うべきかは別の話。
わたしのポートフォリオは引き続き、オルカン+S&P500(インデックスの核)+BND(気休めの債券)+日本高配当株(配当の柱)。この構成にQQQが入る余地は、いまのところない。
スペースXのIPOをはじめ、ナスダック市場の活況はこれからも続くかもしれない。でもその成長は、すでに持っているオルカンとS&P500を通じてちゃんと取り込める。慌てて新しい商品に飛びつかなくても、いまの航路で十分。これがわたしの結論だ。
とはいえ、正直に白状すると。こうやって調べて解説しているうちに、「ちょっと買ってもいい気がしてきた」 自分がいる 笑。リターンのグラフを眺めていると、どうしても心が動く。「何も考えずに航路を守る」とはよく言うけれど、欲はやっぱり出てしまうものだなと実感する。こういう気持ちになったときこそ、一晩寝かせて冷静になるのが、わたしなりの対処法だ。
まとめ
- 世界最大のETF 「インベスコQQQ」(運用資産65兆円超)が東証上場。円建て・東証時間・NISA成長投資枠で買えるように
- 過去10年のリターンは 年率約15%(S&P500は約12%) と圧倒的。ただし値動きはS&P500の1.3倍激しく、ITバブル崩壊時は -83% の歴史も
- わたしが買わない理由: ①分散が中途半端 ②オルカン・S&P500とほぼ重複 ③コストが約2〜3倍 ④うまく付き合う難易度が高い
- S&P500を核に 意図的にテック比率を上げたい中上級者 には選択肢としてあり
- 初心者ほど手を出す理由はない。最初の1本はオルカンかS&P500で十分
- わたしのポートフォリオは変更なし。買いやすくなったことと、買うべきかは別の話
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QQQをはじめ東証ETF・米国ETF・投資信託まで幅広く対応。オルカン・S&P500の積立もここから。わたしのメイン口座として8年以上愛用中。
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