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円安で日本企業が「お買い得」に。外資が買いに来ると円高になるはずが、逆? を調べてみた
ニュース2026-07-24📖 約9分で読めます

円安で日本企業が「お買い得」に。外資が買いに来ると円高になるはずが、逆? を調べてみた

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ごまもち
🐾 ごまもち
にほんの 会社が、かいがいの 人に いっぱい かわれてるんだって?🐾
あずき
あずき
そうなの。しかもそのお金の流れが、教科書と逆のことを起こしてるらしいんだ。

日経新聞にこんな記事が出ていた。「外資の日本企業買収『むしろ円安要因にも』 円の先安観、定説揺らす」

話の前提はこうだ。いまは歴史的な円安。海外から見ると、日本の優良企業が バーゲン価格 に見える。だから海外マネーによる日本企業の買収が増えている。ここまでは分かる。

教科書どおりなら、この流れは 円高要因 のはずだ。外資が日本企業を買うには円が必要。だから円が買われて、円安に歯止めがかかる——。ところが記事によれば、実際の効果は限定的で、市場関係者からは 「むしろ円安要因になり得る」 という逆の声まで出ているという。

買われているのに、円高にならない。それどころか円安要因? キオクシアの記事の「売られたのに上がった」以来の、定説とあべこべの謎だ。調べてみた。


1. 何が起きているのか

📌 海外マネーの「日本買い」が過去最多ペース
件数:2026年1〜6月、海外企業による日本企業のM&Aは232件(前年同期比+27.5%)で過去最多を更新(ロイター集計)
市場全体:日本企業が関わるM&A全体でも、2025年は約35.7兆円(前年比+74.7%)と過去最高
事例:米ベイン・キャピタルによるキオクシア(旧東芝メモリ)の買収→上場→売却、米アポロによる日本板硝子への約3,000億円規模の支援・非公開化など
背景:歴史的な円安。M&A助言会社からは「優良な企業を割安に買える市場として、日本の注目度は非常に高まっている」という声

1ドル160円前後の円安で、ドルを持つ側から見た日本の「値札」は、数年前の3分の2ほどになった。優良企業がバーゲン棚に並んでいるようなものだから、買いに来るのは自然な流れだ。

問題は、ここからだ。


2. 教科書の定説:「日本買い」は円高要因のはず

素朴に考えると、こうなる。

米国のファンドが、日本の会社を1,000億円で買うとする。支払いは円だ。だからファンドは、手持ちの ドルを売って、円を買う 必要がある。両替所に大金を持ち込むのと同じで、円の需要が生まれ、円高方向に働く。

だから「対日投資が増えれば、円買い需要が生まれて、円安に歯止めがかかる」——これが教科書の定説で、政府が対日投資の拡大を後押しする理由のひとつでもあった。

ところが現実には、過去最多ペースの「日本買い」が起きているのに、円安には歯止めがかかっていない。なぜか。お金の流れを配管のようにたどっていくと、「両替」が起きない仕組み が見えてくる。


3. 謎解き:円買いが「消える」3つの配管

市場で指摘されている理由を、裏どりできたものから3つ紹介する。

配管①:そもそも、円は「両替」ではなく「借りて」用意する

大型の買収では、買収資金を全額手持ちのドルから両替するのではなく、日本の銀行から円で借りる のが一般的だ。理由はシンプルで、日本の金利は世界的に見てまだ低い から。日銀が利上げを進めているとはいえ、米国の金利と比べればまだ差があり、円で借りたほうが安上がりなのだ。

海外の人が日本で家を買うときに、母国からお金を持ち込まず、日本の銀行で住宅ローンを組むイメージに近い。この場合、ドル売り・円買いの両替は、そもそも発生しない

配管②:「ヘッジ」という保険が、円買いを打ち消す

これは、外資ファンドの悩みから考えると分かりやすい。日本の会社の値段は円建てだけど、ファンドの成績はドルで測られる。せっかく買った会社の価値が上がっても、円そのものが下がってしまったら、ドルに戻したときに損をする。会社選びは当たったのに、為替で負ける——それは避けたい。

そこで多くの外資は、円の資産を買うときに保険をかける。具体的には、「将来、いま決めたレートで円をドルに戻す」という予約 を同時に入れておく(これが為替ヘッジ)。予約さえしてあれば、この先どれだけ円安が進んでも、約束のレートでドルに戻せる。為替の心配を消してから、会社の中身に集中できるわけだ。

為替市場から見ると、この買い方は 「きょう円を買う」と「将来円を売る予約」がセット で入ってくる。行きの切符と帰りの切符を同時に買う旅行者 のようなもので、ずっと住みつく人ではない。だから、円を押し上げる力が残らない。

しかも、続きがある。保険は「持っている円資産の金額」に合わせてかけるので、資産が値上がりすると保険が足りなくなり、掛け増し(=追加の円売り予約)が必要になる。日本総研の試算では、海外投資家のヘッジ比率を30%とすると、日本の株価が1%上がるだけで約1兆円の円売り が発生し得るという。日本買いが盛り上がって株価が上がるほど、円売りが増える——定説と逆の回路が、ここにある。

ごまもち
🐾 ごまもち
行きの きっぷと 帰りの きっぷを いっしょに 買っちゃうから、まちの 人口は ふえないんだね🐾
あずき
あずき
そういうこと。円を買う力と売る力が打ち消し合って、押し上げるパワーが消えちゃうんだ。

配管③:入口は一度きり、出口はずっと続く

仮に円買いが起きたとしても、それは買収の瞬間の 一度きり だ。一方でその後は、買収した企業が生む利益が 配当として海外へ送金され続ける(=円売りが毎年続く)。さらに、会社を売った日本側の株主が、受け取った円を米国株などの海外資産に再投資すれば、それも円売りになる。入口の円買いは一瞬で、出口の円売りは長く続く

📊 「教科書の定説」と「実際の配管」の違い
項目 教科書の定説 実際の配管
資金の用意 ドルを売って円に両替する 日本の銀行で円を借りる(両替なし)
為替リスク そのまま円資産を持つ ヘッジ(将来の円売り予約)をかける
結果 強い円買い需要で円高圧力に 円買いは消え、むしろ円売りが続く
💡 まとめると:バーゲンセールの売上が、円を強くしない理由
①買い物客は、お金を両替せず店の国で借りて払う
②両替する場合も、同時に「保険」で円を売るので差し引きゼロ、むしろ資産が育つほど円売りが増える
③そして買った会社の利益は、毎年、海外へ持ち帰られていく
こうして「日本買いブーム=円高」という定説は、配管の中で消えてしまう。

念のために書いておくと、これらは市場関係者やシンクタンクが指摘している「見方」であって、為替が実際にどちらへ動くかを保証するものではない。ただ、「教科書の矢印どおりにお金は流れていない」ということだけは、確かなようだ。


4. わたしはどう受け止めたか

① 「日本が買われる」ことへの気持ちは、単純ではない

自分の国の看板企業が次々と外資に買われるのは、正直、少し寂しい。でもキオクシアの記事で学んだとおり、ファンドに買われた会社が立て直されて強くなり、市場に戻ってくる例もある。「買われる=負け」と単純には言えない。お金に国境がない時代の、これが普通の風景なのだと思う。

② 「円安はいずれ自動で止まる」という定説すら、揺らぐ

今回いちばん考えさせられたのはここ。「安くなれば買いが入って、下げ止まる」という、いかにもそれっぽい定説が、実際のお金の配管をたどると成り立っていなかった。GPIFの記事でも書いたけれど、為替は本当に、プロでも読めない世界だ。それっぽい理屈を信じて為替を予想することの危うさ を、また一つ教わった。

③ だから、予想ではなく「構え」で備える

円安が止まるのか、続くのか。わたしには分からないし、当てにいかない。できるのは、円だけで資産を持たないという構えだけだ。オルカンやS&P500の積立は、結果的に「日本が買われる側になった時代」への備えにもなっている。予想は外れるけれど、構えは裏切らない。


5. まとめ

  • 円安を背景に、海外マネーによる日本企業の買収が 過去最多ペース(2026年上半期232件・+27.5%)
  • 教科書の定説では「日本買い=円買い需要=円安の歯止め」のはず。ところが効果は限定的で、「むしろ円安要因」という声まで 出ている
  • 理由は3つの「配管」。①買収資金は両替ではなく日本で円を借りて用意する、②為替ヘッジが円買いを打ち消し、資産価値が上がるほど円売りが増える(株価1%上昇で約1兆円の円売りという試算も)、③入口の円買いは一度きり、利益送金という出口の円売りはずっと続く
  • 「安くなれば買いが入って下げ止まる」という定説すら揺らぐ。為替は予想せず、円だけで持たない「構え」で備える
ごまもち
🐾 ごまもち
おかねの みちすじって、見た目と ちがうんだね🐾
あずき
あずき
そうなの。だから予想はしない。どっちに流れてもいいように、構えておくんだ。
📚 参考にした情報源 ・きっかけの報道:日本経済新聞「外資の日本企業買収『むしろ円安要因にも』」(2026年7月23日)
・対日M&Aの件数:ロイター集計(ニューズウィーク日本版)
・ヘッジと円売りの試算:日本総研「海外投資家による為替ヘッジ行動が円売り圧力に」
⚠ 免責事項 この記事はあずき個人の見解・体験のシェアであり、特定の銘柄・金融商品への投資を推奨・勧誘するものではありません。記事中の為替や資金の流れに関する説明は、報道・シンクタンクのレポートにもとづく「市場の見方」であり、将来の為替の動きを保証するものではありません。投資は価格が変動し、元本を割り込む可能性があります。必ずご自身の判断と責任で行ってください。

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