長期金利が3%を超えた。30年ぶりで、わたしが4歳のとき以来。前の日に「2.9%台」と書いたばかりだった
9月1日、長期金利(10年物国債の利回り)が、一時3.0%を超えた。1996年9月以来、約30年ぶりの高さだという。
8月31日、わたしは国の予算要求の記事で、こう書いた。「いまの長期金利は2.9%台。国が利払いの見積もりに置いた3.8%は、そこまで上がっても払えるようにという安全側の置き方だ」と。
その翌日、9月1日に3%が来た。予想していたわけではない。ただ、眺めていた数字が、1日で動いた。
1. 何が起きたか
・9月1日 一時3.0%を突破。夕方は3.005%
・3%台は1996年9月以来、約30年ぶり
長期金利は、国が10年お金を借りるときの金利だ。国の借金の利息の基準になり、信用金庫が抱える債券の値段を決め、そして住宅ローンの固定金利がこれに連動する。3%という数字そのものより、この線が家計のいろいろな場所につながっていることが、今回の話の中身になる。
2. なぜ上がったのか。理由は4つ重なっていた
② 原油高によるインフレ警戒。米軍のイラン攻撃で原油の供給リスクが高まった
③ 財政への懸念。8月31日に締め切られた来年度予算の要求(概算要求)が過去最大の143兆円規模に
④ 日銀の9月利上げ観測。17〜18日の会合で利上げに踏み切るとの見方が大勢
並べてみて、少し驚いた。4つのうち3つは、この1週間の記事に出てきた顔ぶれだ。①はウォーシュ議長の講演の記事、③は8月31日の予算要求の記事、④も同じ講演の記事で「9月の第3週に、日本とアメリカが同じ週に利上げするかもしれない」と書いた。新顔は②の原油だけだ。
つまり3%は、どこかから突然降ってきたのではなく、この1週間に出てきた材料が同じ日に重なった結果だった。
3. 8月31日の記事の、翌日
8月31日の記事で、わたしはひとつ習慣を決めた。「毎年8月末に、国の想定金利と利払い費の行をメモしておく」。想定金利というのは、国が利払いを見積もるときに置く金利で、今年度は3.0%、来年度の要求では3.8%。そう書いたその翌日に、メモに書き足す行ができてしまった。
長期金利、9月1日、一時3.0%。
つまり市場の金利は、今年度の想定3.0%に追いついた。来年度の3.8%までは、あと0.8ポイント。「安全側の置き方」と書いたその幅が、1日で0.06ポイントほど縮んだ。
これで投資の判断は変えない。ただ、記事に書いた数字が翌日には古くなる速さで、いま金利は動いている。
4. 家計は、こう動く
8月31日の記事で、金利のある世界の登場人物を4役に分けた。1日たったカードを、更新しておく。
借りる側 全期間固定の住宅ローン、フラット35は3.46%で、2018年の集計開始以来の最高。メガバンクの10年固定は3.84%。変動金利のローンもメガバンク・ネット銀行が引き上げ、地銀の1.23%が最安に
抱える側 金利が上がれば、昔の低い金利の債券の値段は下がる。国債を持つ金融機関の含み損(売る前の帳簿の損)は、深くなる
払う側 国。市場の金利が、今年度の想定金利3.0%に追いついた
借りる側の数字がいちばん動いた。フラット35が3.46%。わたしは賃貸なので直接の当事者ではないけれど、いま家を買おうとしている人の毎月の返済額は、この1年でかなり変わったはずだ。変動金利との差が2.23ポイントまで開いたのも、集計以来の最大だという。固定か変動か、という選択の重さが、金利のない時代とは別物になっている。
受け取る側の数字は、これから出る。個人向け国債の9月募集の利率が発表されたら、固定5年2%の記事の続きとして、また書く。
※9月3日追記:9月募集分が発表されたので、続きの記事を書いた。固定5年は2.24%で、3種類とも過去最高になった。
5. 30年前、わたしは4歳だった
1996年9月。長期金利が前回3%台にいた年、わたしは4歳だった。
だから、わたしは金利が3%ある世界を、生活として知らない。物心ついてからずっと、預金の利息はほぼゼロだった。この夏、金利の記事ばかり書いてきたのは、たぶんそのせいだ。初めて見る景色が、ひとつずつ気になって、確かめずにいられなかった。
しかし、備えることはできる
アメリカの投資家ハワード・マークスは、お客さんに向けて手紙を書き続けていることで知られる。これは、2001年の手紙につけた題名だ。3%が来ることを、わたしは予測していなかった。8月31日の記事にも、上がるとも下がるとも書いていない。予測はしなかった。でも、上がったら自分の家計のどこがどう動くかは、この1週間で確かめてきた。それがわたしの備えだ。
34歳のいまは、この数字が何につながっているかを、自分の言葉で言える。それが、この夏の収穫だった。
金利が3%の世界でも、わたしのやることは変わりません。オルカンの積立も高配当株もBNDも、8年以上SBI証券の口座です。積立は、同じ日に同じ額で続きます。
SBI証券の公式サイトを見る →6. まとめ
- 9月1日、長期金利が一時3.0%を突破。夕方は3.005%で、1996年9月以来約30年ぶりの高さ
- 理由は4つ。米金利上昇・原油高によるインフレ警戒・概算要求143兆円の財政懸念・日銀の9月利上げ観測。3つはこの1週間の記事の顔ぶれだった
- 8月31日の記事で「2.9%台、想定金利3.8%は安全側」と書いた翌日だった。市場の金利は今年度の想定3.0%に追いつき、3.8%まであと0.8ポイント
- 借りる側がいちばん動いた。フラット35は3.46%で集計開始以来の最高、変動との差2.23ポイントも最大。受け取る側の個人向け国債の利率は、出たらまた書く
- 予測はしなかった。上がったら何がどう動くかは、確かめてきた。判断は変えない
・9月1日夕方の3.005%:日本経済新聞(9月1日)
・8月28日・31日の長期金利(2.930%・2.943%):財務省「国債金利情報」からわたしが取得
・ベッセント米財務長官の伝達:NHK報道(9月1日朝)。「伝えたとされる」段階の報道で、公式発表ではありません
・住宅ローン金利(フラット35 3.46%・10年固定3.84%・変動1.23〜1.29%・差2.23ポイント):モゲチェック「住宅ローン金利2026年9月の最新動向」(9月1日更新)
・前日の記事の数字(2.9%台・想定金利3.8%・利払い16.6兆円):当ブログ8月31日の記事
・ハワード・マークスの言葉:Howard Marks, Oaktree Capital memo "You Can't Predict. You Can Prepare."(2001年)。訳はわたし




