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国の予算要求が過去最大の143兆円超になった。目が留まったのは、利払いだけで16.6兆円という1行だった
ニュース2026-08-31📖 約11分で読めます

国の予算要求が過去最大の143兆円超になった。目が留まったのは、利払いだけで16.6兆円という1行だった

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ごまもち
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あずき
あずき
うん。来年は、16兆円をこえる見積もりなの。

今日8月31日は、来年度(2027年度)予算の概算要求の締め切りだった。各省庁の「来年これだけ使いたい」という要求を集計すると、総額は過去最大の143兆円超になったという。

ニュースの見出しは、この総額だった。でも、内訳を眺めていたわたしの目は、別の1行で止まった。

利払い費、16兆5,888億円。前の年度から27.2%増。

国が借金に払う利息の見積もりが、1年で3割近く増える。この夏、わたしは金利の話ばかり書いてきた。家計が受け取る2%の金利債券を抱えて赤字になった信用金庫。その並びの最後に、いちばん大きな払う側が出てきた。順番に見ていく。


1. 何が出てきたか

📊 2027年度予算の概算要求(8月31日締め切り)
全省庁を合わせた要求の総額 143兆円超(過去最大。今年度の当初予算より20兆円ほど大きい)
 └ うち、財務省の要求 38兆6,948億円(15.1%増)
   └ うち、国債費(借金の元本返済と利息) 36兆6,386億円(過去最大)
     └ うち、利払い費(利息だけ) 16兆5,888億円(27.2%増) ←目が留まった1行
時事通信・共同通信・TBSほか(8月25〜31日)から。予算に新設された、上限のない「投資枠」(強く豊かな日本投資枠)への要求も10兆円超あった。概算要求は「要求」の段階で、年末にかけての査定で削られてから予算案になる。総額の正式発表は9月初旬

先にことわっておくと、これは願書のようなものだ。要求どおりに通るわけではなく、年末までに削られる。それでも、出発点が過去最大なのは事実で、そして利払い費は、査定で「なかったこと」にできる種類のお金ではない。

もうひとつ、国債費という言葉もほどいておく。これは新しく借金をする額ではない。過去に借りたぶんの、元本の返済と利息にあてる支出だ。36.6兆円のうち、利息(利払い費)が16.6兆円で、残りの約20兆円が元本の返済分にあたる。新しく借りる額(新規の国債発行)は別の項目だ。こちらは、40兆円がボーダーラインとして報じられている。つまり、20兆円を返し、16.6兆円の利息を払い、その横で40兆円前後を新しく借りる。差し引きでは、借金は増える方向だ。


2. 国が置いた金利は、3.8%だった

利払いが27.2%も増えるのは、借金が急に3割増えたからではない。見積もりに使う金利を引き上げたからだ。

⚠ 利払い費の見積もりに使う「想定金利」
今年度 3.0%
来年度の要求 3.8% ←29年ぶりの高さ
時事通信(8月25日)・テレビ朝日(8月28日)から

いまの長期金利(国が10年借りるときの金利)は2.9%台だ。8月28日に2.93%、今日は一時2.95%まで上がった。想定金利の3.8%はそれより高い。「そこまで上がっても払えるように」という、安全側の置き方だと理解している。それでも、置いた瞬間に3.5兆円の増額になる。

16.6兆円という金額に、ものさしを当ててみる。きのう書いた日本の医療費は年49.2兆円だった。その3分の1にあたるお金が、治療でも年金でもなく、過去の借金の利息として出ていく。金利のある世界とは、こういう世界だ。


3. 国の3.8%と、わたしの2.0%

ここで、この夏の自分の記事を並べたくなった。

個人向け国債の記事で書いたとおり、わたしたち家計が固定5年で受け取れる金利は2.06%。わたしのメインバンクの普通預金は0.4%。いっぽう、住宅ローンを変動型で返している人の平均金利は1.55%。この夏は、その金利を引き上げる銀行のニュースが並んだ。預ける人には追い風、借りる人には向かい風だ。

その裏側で、信用金庫は赤字になった。昔の低い金利で買った債券は、金利が上がると値下がりするからだ。そして国は、3.8%まで見込んで利払いの備えを積んだ

同じ「金利上昇」という現象を、立ち位置ごとに並べるとこうなる。

💡 この夏の「金利のある世界」の登場人物
受け取る側 預ける家計。固定5年2.06%、普通預金0.4%
借りる側 ローンや奨学金を返す家計。住宅ローン変動型の平均金利は1.55%で、9月から引き上げが相次ぐ。有利子の奨学金の利率も、市場金利に連動して決まる
抱える側 昔の債券を持つ金融機関。17信金が赤字に。金利がさらに上がれば、含み損(売る前の帳簿の損)は深くなる
払う側 国。利払い16.6兆円、想定金利3.8%
それぞれ、このブログの8月の記事で扱った数字から

そして、受け取る側と払う側は、他人ではない。個人向け国債を買った人が受け取る利息は、この16.6兆円から出ていく。逆に、国の利払いの原資は税金だ。わたしは国債を持っていないけれど、税金は払っている。全員が、この輪の中にいる


4. 金利が上がった週に、金が下がっていた

もうひとつ、同じ理屈でつながる出来事があった。

8月28日、金(ゴールド)の値段が1日で3.38%下がった(先物価格で、1オンス=4,506.41ドル)。同じ日、ビットコインも一時76,909ドルまで下げている。きっかけは、アメリカの中央銀行FRBのウォーシュ議長の講演で、アメリカの利上げ観測が強まったことだった。

金といえば「有事の金」。危機のときに買われる資産として有名だ。でも、ふだんの値段を動かしているのは、有事ではなく金利とドルだ。金は持っていても利息を生まないので、金利が上がって「利息のつく置き場所」の魅力が増すと、相対的に見劣りする。今回は、利上げの観測が強まっただけで、1日で3%動いた。有事の金にも、平時の値札がある

金利は、あらゆる資産の値札を引っ張る。株も、債券も、金も、ビットコインも、そして国の予算も。この夏起きていることは、全部つながっているんだと、この1週間で実感した。


5. 同じ日に、もうひとつの発表があった

今日はもうひとつ、静かだけれど見逃せないニュースが出た。財務省と金融庁が、個人向け国債の税優遇を来年度の税制改正要望に盛り込んだという。

個人向け国債の記事で「国もNISA対象化などで後押しをはじめている」と書いた、その続きが正式な要望になった形だ。

並べてみると、面白い一日だった。予算の要求が過去最大になった日に、家計という新しい貸し手への勧誘も本格化した東京海上の記事(持ち合いの株主が抜けた席に、個人を招く話だった)で「大きな持ち手が抜けるとき、その席は個人に回ってくる」と書いたけれど、国債の世界でも同じことが起きている。日銀が国債を手放していく時代の、次の持ち手探し。空いた席の候補に、わたしたちの家計が指名されている


6. わたしは、どうするか

この借金を、どう返していくのか。増税で返すのか、経済の成長で返すのか、それともインフレで、お金の価値ごと薄めて軽くしていくのか。それは政治の話で、わたしには予想できないし、予想で持ち物を動かすこともしない。

わたしが決めたのは、小さな習慣だ。概算要求は、毎年8月末に出る。年に一度、この時期に「国の家計簿の見積もり」を眺めて、想定金利と利払い費の行だけメモしておく。今年度は3.0%、来年度の要求は3.8%。来年の要求でこの数字がどうなっているかは、どんな評論より正直に、金利のある世界の現在地を教えてくれると思う。

年収20ポンド、支出19ポンド19シリング6ペンス。
結果は、幸福。
年収20ポンド、支出20ポンド0シリング6ペンス。
結果は、悲惨。
チャールズ・ディケンズ『デイヴィッド・コパフィールド』(1850年)ミコーバー氏の言葉

176年前のイギリスの小説に出てくる、ミコーバー氏という人物のせりふだ。6ペンスというのは、年収20ポンドの800分の1。ほんの小銭だ。つまり彼はこう言っている。大事なのは収入の大きさではなく、支出が収入より少しでも下にあるかどうか。同じ年収でも、小銭ひとつぶん黒字なら幸福、小銭ひとつぶん赤字なら悲惨。赤字は借金になり、借金には利息がついて、雪だるまのように増えていくからだ。

ちなみに、ミコーバー氏本人はこれができず、借金で牢屋に入っている。言うのは簡単で、守るのが難しい。だから176年たっても引用され続けているのだと思う。

国の家計簿がどちらへ向かうにせよ、自分の家計だけは、小銭ひとつぶんでも黒字にする。何かあったときのための現金(生活防衛資金)を先に積んで、余りを積み立てる。地味だけれど、自分にできる備えは、結局これに尽きると思っている。


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毎月の家計を黒字にする土台として、わたしはオルカン(全世界株の投信)の積立も高配当株も、8年以上SBI証券の口座でやっています。金利のある世界でも、積立は同じ日に同じ額で続きます。

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7. まとめ

🐾 この記事のまとめ
  • 来年度予算の概算要求が締め切られ、総額は過去最大の143兆円超。ただしこれは「願書」で、年末の査定で削られる
  • 目が留まったのは利払い費16兆5,888億円(27.2%増)。見積もりに使う想定金利を3.0%から29年ぶりの3.8%に上げたため、それだけで約3.5兆円増えた
  • 16.6兆円は、日本の医療費(49.2兆円)の3分の1にあたる。家計が受け取る2%の裏で、国は3.8%まで見込んで備えている
  • 金利は利息を生まない資産の値札も引っ張る。8月28日には金が1日で3.38%安、ビットコインも下げた
  • 同じ日、個人向け国債の税優遇の要望も正式に出た。要求が過去最大になった日に、家計という貸し手への勧誘が本格化した
  • わたしは予想で動かない。毎年8月末に想定金利と利払い費の行をメモする習慣だけ持ち、自分の家計は黒字にする
📚 参考にした情報源 ・国債費・利払い費・想定金利:時事通信「国債費、過去最大36兆6386億円 金利上昇で、27年度概算要求―財務省」(2026年8月25日)。36兆6,386億円・利払い16兆5,888億円(27.2%増)・想定金利3.0%→3.8%・財務省要求38兆6,948億円はここから。「29年ぶりの3.8%」はテレビ朝日(8月28日)
・総額:共同通信「予算の概算要求140兆円前後」(8月28日)および時事通信「概算要求、過去最大143兆円超」・TBS「総額143兆円前後、投資枠での要求10兆円超」(8月31日夕)。今年度当初予算(約122兆円)との比較もこれら報道から
・長期金利:財務省「国債金利情報」からわたしが取得(8月28日2.93%)。「31日に一時2.95%」はTBS報道
・金の急落:ザイFX(フィスコ、8月29日)。COMEX金先物4,506.41ドル・3.38%安。ビットコイン一時76,909ドルは報道から
・個人向け国債の税優遇要望:ロイター「財務省・金融庁、個人向け国債の税優遇盛り込む=27年度税制改正要望」(8月31日)
・新規国債の発行は「40兆円が『規律』の目安」:日本経済新聞(8月30日)
・住宅ローン金利の引き上げ(9月、変動・固定とも):共同通信・テレビ朝日(8月31日)。変動型の平均返済金利1.55%はテレビ朝日の調査報道(8月24日)
・奨学金:日本学生支援機構の有利子型(第二種)の利率は、市場金利に連動して決まる制度です
・利払い増加額(約3.5兆円)、元本返済分(約20兆円=36.6兆−16.6兆)、医療費(49.2兆円)の3分の1という比較はわたしの計算
・ディケンズの言葉:Charles Dickens『David Copperfield』(1850)。訳はわたし
⚠ 免責事項 この記事はあずき個人の見解のシェアです。概算要求は要求段階の数字で、年末の予算編成で変わります。総額143兆円超は締め切り当日の報道ベースで、正式な集計は9月初旬に発表されます。税制改正要望は要望の段階で、実現を保証するものではありません。財政の先行きについての記述は見方のひとつです。投資は価格が変動し、元本を割り込む可能性があります。必ずご自身の判断と責任で行ってください。

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