SCHDが7年ぶりに減配した。ずっと気になっているのに、わたしがまだ買えていない理由
米国の高配当ETF、SCHD(シュワブ・米国配当株式ETF)。2024年に楽天SCHD、続いてSBI・SCHDとして投資信託でも買えるようになり、日本でも一気に広まった。SBIのほうは募集期間だけで596億円超の申し込みがあったという。
わたしはこのETFがけっこう好きだ。持っていないのに好き、というのも変な話だけれど、中身を見るたびに「よくできているな」と思う。
そのSCHDが、2026年に7年ぶりの減配をした。ちょうどそのタイミングで、日米の協調介入によって為替も大きく動いている。ずっと気になっているのにまだ買っていないわたしの、いまの考えを書いておきたい。
なお、わたしはSCHDを保有していない。これから書くのは、外から眺めている人間の見方だと思って読んでほしい。
1. SCHDとは。「配当が続いている会社」を100社集めたETF
まず中身から。SCHDが連動しているのはダウ・ジョーンズUSディビデンド100インデックスという指数だ。名前のとおり、米国の高配当銘柄100社で構成されている。
面白いのは選び方だ。「利回りが高い順に100社」ではない。2段階になっている。
ここでひとつ注意しておきたい。①の条件は「10年以上配当を出していること」であって、「10年以上増やし続けていること」ではない。配当さえ払っていれば、途中で減らしていても条件は満たす。増配のペースは②の採点でスコアに反映されるだけだ。
つまり「たくさん配ってくれる会社」ではなく「配り続けられている会社」を集めている。利回りだけを追いかけると、業績が苦しくて株価が下がっただけの会社が上位に来てしまう。そこを財務の条件でふるいにかける設計になっている。
日本からは、本家のETFを直接買うほかに、投資信託としても買える。
信託報酬はほぼ同じで、違いは分配金が入る月くらい。本家より手数料は乗るけれど、円で気軽に買えて、少額から積み立てられるのが投資信託版の強みだ。
2. わたしがSCHDを好きな理由
持っていないのに好き、というのはこういうことだ。配当をもらいながら、値上がりも狙える。この両取りの設計が、わたしの考えている形にとても近い。
高配当株というと、利回りは高いけれど株価はあまり伸びない、というイメージがある。実際わたしが持っている日本の高配当株も、配当をもらうことが主な目的で、値上がりは期待の外に置いていた。
ただ、業績や財務の数字をきちんと見て選んだ結果、いまは値上がりのほうも育ってきている。2026年7月は、この高配当株の伸びがインデックスのマイナスを打ち消してくれた。
SCHDは、それを最初から仕組みとしてやっているETFに見える。財務が強くて配当を続けられる会社を集めるので、結果として株価の成長もついてくる。しかも分配金そのものが育っている。わたしが日本の高配当株を選ぶときに見ている基準に近いのも、惹かれる理由だと思う。
実際、この7年の数字を並べるとこうなる。
配当をもらいながら、株価も育つ。分配金が約2.2倍、株価が約1.75倍。この両方が同時に起きているのが、SCHDが人気を集めている理由だと思う。
株価の動きは、年ごとに見るとこうなっている。
まっすぐ増えてきたわけではない。2022年には下げているし、2023年もほぼ横ばいだった。それでもそのあと戻して、更新している。高配当株なのに、値上がりのほうもちゃんとついてきた7年だ。
高配当株とインデックスは目的が違うので両方持って、今にも未来にも備えるというのがわたしの考え方だけれど、SCHDはその真ん中に立っているような、絶妙なバランスのETFに見える。
3. その分配金の伸びが、2026年に止まった
ところが、その分配金の伸びが2026年に止まった。
減った幅そのものは3%ほどで、生活が変わるような話ではない。そして先に書いたとおり、これはルール違反でもない。SCHDの条件は「配当を出し続けている会社を集める」ことであって、分配金を毎年増やすと約束しているわけではないからだ。
それでも、7年間ずっと増えてきたので、「これからも増えていくもの」だと思っていた人は多いと思う。わたしもどこかでそう思っていた。今回の減配は、そうとは限らないと教えてくれた出来事だった。
なぜ減ったのか
理由のひとつが、2026年3月の中身の入れ替えだ。この指数は定期的に銘柄を見直すのだけれど、このとき25銘柄を新しく採用し、22銘柄を外している。ユナイテッドヘルスなどが入り、シスコなどが抜けた。
結果として、エネルギー中心だった構成が、ヘルスケアやIT寄りに大きく変わった。入れ替えで利回りの高い銘柄が抜ければ、そのぶん分配金は減る。ルールどおりに動いた結果であって、運用が失敗したわけではない。
ここはHDVを調べたときにも思ったことなのだけれど、ETFは中身が入れ替わる箱だ。買ったときの顔ぶれがずっと続くわけではない。「10年以上配当を出している会社を集める」というルールは変わらなくても、集まってくる会社は変わる。だから分配金がまっすぐ増え続ける保証はどこにもない。
4. それでもわたしが買えていない理由。ドルが高い
減配の話をしたけれど、わたしが買っていない理由はそこではない。3%の減配で評価が変わるほど、もともと短い目で見ていない。
買えていない理由は、もっと単純だ。円安すぎる。
2026年7月は、一時1ドル163円台まで円が売られた。ドル建ての資産を円で買うということは、その水準で両替してから買うということだ。中身がどれだけよくても、入り口の値段が高い。
わたしはすでに資産の約7割をドル建てで持っている。そこにさらに、円安の水準でまとまったドル資産を足しにいくのは、どうしても気が進まなかった。商品が嫌なのではなく、いま買う値段が気になる。それだけの話だ。
ここで、自分のなかの使い分けを書いておきたい
わたしはオルカンの積立については、タイミングをまったく見ていない。毎月同じ日に自動で買う。為替も株価も気にしない。
でも個別に買うもの(日本の高配当株や、こういうETF)は値段を見る。新NISAの成長投資枠は「枠が余っていても、買いたい値段でなければ買わない」という方針にしている。
矛盾しているようだけれど、わたしのなかでは分かれている。積立は仕組みに任せる。まとまった額を自分の判断で入れるときは、値段を見る。SCHDは後者にあたるので、いまは待っている。
5. ちょうどいま、為替が動いている
そしてこの記事を書いているいま、状況が少し変わった。
2026年7月30日に日銀が円買い介入、翌31日には米財務省も介入し、日米の協調介入となった。163円台だったドル円は、31日には158円台、8月に入って一時155円台まで戻している。
じゃあ買うのか。正直に言えば、まだ買っていない。理由は2つある。
②が自分でも面白いところで、「割高だから待つ」と「安くなったから買う」は、じつは同じ穴に落ちうる。どちらも為替の水準を読んでいることに変わりはない。
それに、そもそも新NISAの枠はつみたてのオルカンと日本の高配当株で埋まっていく予定だ。SCHDを入れるなら、その設計そのものを考え直すことになる。値段の前に、そこがまだ決まっていない。
6. あずきの考え
SCHDについて、いまのわたしの整理はこうだ。
商品としてはとてもよくできていると思う。配当をもらいながら値上がりも狙える形は、わたしが目指しているものに近い。
もっと言えば、わたしがアメリカに住んでいて、ドルで暮らしているなら、間違いなく買っていると思う。配当をドルで受け取って、そのままドルで生活する。それなら為替のことを考えなくていい。
でもわたしは日本に住んでいて、円で暮らしている。家賃も食費も、ごまもちのごはんも円で出ていく。だから生活を支えてくれる配当は、円建てで受け取りたい。日本の高配当株を選んでいる理由は、けっきょくここに行き着く。
日本の株式市場がもっと大きく育って、SCHDのようなETFが日本株でも出てきたら、そのときは個別株をやめて乗り換えるかもしれない。銘柄を自分で選ぶ手間がなくなるし、ルールに任せられる。ただ、それはまだ先の話のように思う。
そして今回いちばん書いておきたかったのは、減配は事故ではないということ。ETFは中身が入れ替わる箱で、ルールに従って銘柄が出入りする以上、分配金は増えることも減ることもある。SCHDが約束しているのは「配当を出し続けている会社を集めること」までで、「分配金を増やし続けること」ではない。7年つづいた増配は実績であって、これから先の約束ではなかった。
これはHDVを調べたときの結論とも重なる。中身を知らずに看板だけで買うと、看板が変わったときに驚くことになる。知って持っていれば、3%の減配は「まあ、そういう年もある」で済む。
いつか円が落ち着いて、自分のなかでの置き場所が決まったら、そのときは買うかもしれない。そのときはまた、ここに書きます。
まとめ
- SCHDは、ダウ・ジョーンズUSディビデンド100に連動する米国の高配当ETF。10年以上つづけて配当を出している会社をふるいにかけたうえで、現金と借金のバランス・ROE・利回り・過去5年の配当の伸びで採点して上位100社を選ぶ。経費率0.06%、利回り約3.3%
- 注意したいのは、条件が「配当を出し続けている」であって「増やし続けている」ではないこと。減配していても配当さえ払っていれば条件は満たす
- 日本では楽天SCHD(年0.1238%)とSBI・SCHD(年0.1227%)として投資信託でも買える。信託報酬はほぼ同じで、違いは分配金が入る月
- 人気の理由は、配当と株価が両方とも育っていること。7年で分配金は$0.4798→$1.0476の約2.2倍、株価も$15.66→$27.43の約1.75倍(株価は株式分割の調整後)
- ただし2026年、7年ぶりに減配。3月の入れ替えで25銘柄が採用・22銘柄が除外され、エネルギー中心からヘルスケア・IT寄りへ構成が大きく変わったのが背景
- ETFは中身が入れ替わる箱。ルールが同じでも集まる会社は変わるので、7年つづいた増配は実績であって、これから先の約束ではない
- わたしが買っていない理由は減配ではなく円安。7月は一時163円台で、すでに資産の約7割がドル建てなので、この水準でさらに足すのは気が進まなかった
- もっと根っこの理由は住んでいる場所。アメリカでドルで暮らしているなら間違いなく買っているが、わたしは日本で円で暮らしている。生活を支える配当は円建てで受け取りたいので、日本の高配当株を選んでいる
- 日本の市場が育ってSCHDのようなETFが日本株でも出てきたら、個別株をやめて乗り換えるかもしれない。ただ、それはまだ先の話
- 日米協調介入で155円台まで戻したが、それでも買っていない。介入のあとを狙うのは、結局は為替を当てにいくことだから
- 積立は仕組みに任せてタイミングを見ない。まとまった額を自分の判断で入れるときは値段を見る。この使い分けで自分のなかは矛盾していない
SBI・SCHDのような投資信託も、日本の高配当株も、SBI証券ひとつで買えます。気になる商品をお気に入りに入れて眺めておくだけでも、自分の設計を考える材料になります。わたしが8年使っているメイン口座です。
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