フリーランスと動画制作、そしてサイドFIREはなぜ相性がいいのか
「動画編集は副業におすすめ」。最近、そういう言葉をよく見かける。実際、動画制作はPC一台あれば始められて、マッチングサイトにも案件が多い。本業として映像の仕事をしているわたしから見ても、「副業として動画から始める」のは、わりと理にかなっていると思う。
ただし、どんな副業も同じだと思うが、楽な道ではない。初心者が始めてすぐにファーストキャッシュを得られるほど甘くはない。一方で動画制作には、「サイドFIREと相性がいい」というもうひとつの顔があるとわたしは思う。今日はそのあたりを、プロの立場から正直に書いてみる。
結論を先に書くと、動画制作は 「始めやすいけれど、受注こそが本当のハードル」。そして、そのハードルを越えられた人にとっては、サイドFIREを加速させる強い武器になる。
1. 「副業に人気」。でも本当のハードルは受注
動画制作が副業として人気なのは、理由がある。PC一台で完結する、在宅でできる、案件がたくさんある。会社員をしながら、夜や週末に取り組みやすい。
ただ、プロとして正直に言うと、取り組みやすいわりに、仕事を取ってくるのが意外と難しい。
技術はある程度まではすぐ伸びる。でも、ある一定のラインからは、営業力やコミュニケーション力で差がつくジャンルだ。編集ができることと、継続的に仕事を受注できることは、別のスキルだと思っておいたほうがいい。
逆に言えば、ここを乗り越えられれば、強い。動画の副業は「始める」より「受注し続ける」ほうがずっと大事、というのが最初に伝えたい本音だ。
2. なぜ「始めやすい」のか
受注が壁とはいえ、入り口の低さは本物だ。理由を整理しておく。
ソフトは Premiere Pro 一択でいい
編集ソフトで迷うなら、Premiere Pro をおすすめする。圧倒的に使っている人が多いので、案件でも指定されやすいし、何より 困ったときに相談できる仲間や情報が多い。これが地味に、でもかなり大きい。
リスクを抑えて無料で始めたいなら、DaVinci Resolve の無料版でも対応できる案件はある。ただ、勉強のコストや「詰まったときに調べやすいか」まで考えると、わたしはPremiere一択かな、と思っている。
高額スクールはいらない。実践で覚える
ここでひとつ注意したい。動画編集は人気が高いぶん、何十万円もする高額なスクールや商材も多い。3ヶ月通った、という話も聞くけれど、そこで習ったことが実践でそのまま応用できることは、正直あまり多くない印象だ。
わたしのおすすめは、実践でスキルを磨くこと。わからないことはネットで検索できるし、最近はAIもある程度のことは教えてくれる。高いお金を払わなくても、学べる環境は十分にある。
本当は、先を行く先輩が近くにいるのがいちばん強い。でも、そういう環境がある人は多くないと思う。宣伝のようになってしまうけれど、オンラインコミュニティの リベシティ には相談できる場所があり、先を行く先輩も多い。独学に不安があるなら、こういう場を活用するのも手だと思う。
とにかく、受注のハードルを越える
くり返しになるけれど、いちばんのハードルは技術より受注だ。
最初は実績がないので、選り好みしている余裕はない。だからマッチングサイトの簡単な編集案件あたりから、チャレンジできそうなものにとにかくトライしてみるのがいいと思う。そして初めは「勉強しながら、お金ももらえる、ラッキー」くらいの気持ちで楽しむのが、ちょうどいいと思う。そうやって数をこなすうちにスキルも少しずつ上がっていくし、相手の求めていることがわかってきたりする。受注というハードルはあるけど、何度か越えているうちに、「次もお願いします」というリピーターがあらわれ、良い連鎖が生まれてきたりするものだ。
そして、長く続けられるかどうかを分けるのは、たぶん性格だ。「もっとよくしたい」「もっと効率的に」と、自分の成長を楽しめる人じゃないと、続けるのは正直しんどい。逆に、そこを楽しめる人にとっては、動画制作はずっと面白い仕事になると思う。
3. 収入のリアル(数字で正直に)
いちばん知りたいであろう、お金の話。あくまでわたしの肌感覚だけれど、正直に書く。
最初は時給1,000円くらいから。スキルが低いうちは、時間でカバーするくらいの覚悟がいる。逆に、10時間がんばって5,000円みたいな状態が続くなら、案件の選び方や進め方を見直すサインだと思う。
慣れて信頼を積み上げると、1日稼働で4〜5万円の案件をもらえるようになる。ここに届くには、お客様との関係づくりが欠かせない。「あの人に頼めば、こちらが何もしなくても納品まで持っていってくれる」 と思ってもらえると、多少経費が多くかかってもお願いされるようになる。
発注する側の気持ちで考えるとわかりやすい。お客様は、適切な費用で、なるべく楽に、納品数を増やしていきたい。だから 「この人に頼めば管理の手間が省ける」 と計算できれば、ギャラを多めに払ってでも頼む価値があると判断してくれる。
個人より、企業の仕事を狙う
もうひとつ、経験から言えること。個人相手より企業相手の仕事のほうがいい。
個人案件は、安くて作業量が多いことが多い。一方、企業案件は価格が適正で、作業量も適切なことが多い。その分、信頼関係が求められる。メールの返信が早い、連絡したらすぐ出る、すぐ折り返す。つまり 会社員として当たり前の対応力 が、そのまま信頼になり、単価になる。技術以前のところで差がつく、という話だ。
4. AIは、フリーランスにとって追い風
「AIで動画の仕事がなくなる」とよく言われる。でも、これから副業で始める個人にとって、いまのAIはむしろ強力な味方だと思っている。
企業は「AI活用」と言いつつ、現場ではまだ及び腰なところが多い。だから個人で動く人には、まだ先行者のメリットがある。企画、台本、見積もり、リサーチと、AIを使えるフィールドは広い。効率化できるところは徹底的に効率化して、ライバルと差をつけるのが賢いと思う。
AIとの付き合い方は、本業の視点で 映像プロデューサーのわたしとAI に詳しく書いた。副業で始める人にも、そのまま当てはまる部分が多いはず。
5. 動画制作という副業は、サイドFIREと相性が良い
ここが今日いちばん伝えたいところ。なぜ動画制作はサイドFIREと相性がいいのか。
サイドFIREは、労働収入を完全にゼロにするのではなく、資産収入と労働収入を組み合わせて自由をつくる生き方だ(サイドFIREとは何か)。そして資産形成でいちばんの武器になるのは、入金力。毎月いくら投資に回せるか、で結果が大きく変わる。
ここで副業が効いてくる。
本業の手取りを月5万円増やすのは、昇給を待っていたら何年かかるかわからない。でも 副業で月5万円を上乗せできれば、NISAに回せる額が月5万円から月10万円に倍増する。この差は、10年・20年の複利で見ると、とてつもなく大きい。
とはいえ、副業を始めたばかりのうちは、そもそも20万円を稼ぐこと自体がけっこう大変だ。だから最初は、税金のことはあまり気にしすぎなくていいと思う。まずは受注して、稼ぐことに集中する。税金は、ちゃんと稼げるようになってから考えても間に合う。
そして動画制作には、もうひとつサイドFIRE向きの性質がある。好きなら、完全にやめなくていい仕事だということ。
サイドFIREの「サイド」は、働き続けることを前提にしている。完全リタイアを目指さなくていいから、気が楽だ。動画制作のように、手に職があって、好きで、リモートでも続けられる仕事は、まさにこの生き方と噛み合う。資産が育っても、好きな動画の仕事は細く長く続ける。それがわたしの考える、いちばん心地いい形だ。
ひとつだけ注意。副業は、仕事終わりや土日に取り組むことになる。楽しめる部分も多いけれど、無理をして体を壊したら本末転倒だ。あくまで自分のペースで、続けられる範囲で取り組んでほしい。
編集に夢中になると、ついつい覚醒して夜中まで作業してしまったりする。わたしがまさに、そのタイプ。でも、やっぱり体が資本。健康あっての副業だし、人生だ。そこはくれぐれも、ご注意を。
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- 動画制作は PC一台+ソフトのサブスク で始められる、初期投資の軽い副業。ソフトは相談相手の多い Premiere Pro がおすすめ(無料で始めるならDaVinci Resolve)
- 取り組みやすい一方で、本当のハードルは受注。ある一定のスキルからは営業力・コミュ力で差がつく
- 収入は最初は時給1,000円くらいから。慣れて信頼を積むと1日4〜5万円の案件も。個人より企業案件、そして即レスなどの会社員的な対応力が単価になる
- AIはこれから始める個人にとって 追い風。まだ先行者メリットがあるうちに、効率化で差をつける
- 副業の収入は課税対象。でも 入金力が増える のが最大のメリット。本業+副業でNISAに回す額を増やし、運用益を非課税で育てれば、サイドFIREは加速する
- 動画制作は「好きなら完全にやめなくていい」仕事。サイドFIREの『働き続ける』形と相性がいい。ただし無理は禁物




