フリーランスのサイドFIRE 完全ロードマップ。貯金500万から8年でたどり着いた全ステップ
2018年に投資をスタートし、2023年3月にフリーランスへ転向、2026年4月にサイドFIREを達成した。映像制作会社でプロデューサーをしていた34歳の、8年間の道のりだ。スタート地点の貯金は500万円だった。
このブログでは、その途中の話をばらばらに書いてきた。投資を始めた日のこと、会社を辞めた日のこと、生活費の内訳、暴落の乗り越え方、配当の育ち方。でも「結局、何をどの順番でやればいいの?」という全体像は、まだどこにもまとまっていなかった。
だから今日は、サイドFIREまでの道順を5つのステップに並べて、全部つなげる。それぞれの詳しい話は個別の記事に書いてあるので、気になったところから読み進められるようにした。この記事が、あなたの地図になればうれしい。
なお、わたしはフリーランスだけれど、ステップの中身は会社員でもほとんど同じだ。違うのは税金と社会保険の手続きくらいで、お金の設計そのものは変わらない。フリーランス特有の話は、ステップ3で別立てにしてまとめてある。
まず、全体像から。
順番が大事だ。ステップ1と2を飛ばして投資から始めると、たいてい途中で止まる。目標額がわからないまま走ることになるし、現金がないので下落のときに売ってしまうからだ。わたしも投資の前に、まず支出の見直しから手をつけた。
1. サイドFIREとは何か。まずゴールを決める
最初にやるべきなのは、投資でも節約でもない。自分が目指しているものを、はっきりさせることだ。
FIRE(経済的自立と早期リタイア)にはいろいろな呼び方があるけれど、わたしは2つだけで考えている。働かないか、働く量を選ぶか。その違いだ。
ここで大事なのは、計算式はどちらも同じ「年間支出の25倍」だということ。違うのは何を"年間支出"に入れるかだ。
完全FIREは、旅行も趣味も含めた暮らしまるごとを資産だけでまかなう。わたしの場合、それだと1億円くらいないと安心できない。対してサイドFIREは、最低限の生活費だけを資産に任せて、ゆとりのぶんは働いて稼ぐ。だからわたしは、月15万円の生活費に少しゆとりを足した年200万円 × 25 = 5,000万円を目標にした。半分になったのは基準がゆるいからではなく、資産に任せる範囲を狭くしたからだ。
「サイドFIREはいくら必要か」の答えが人によってばらつくのは、この「どこまでを資産に任せるか」が人それぞれだからだと思っている。金額そのものより、自分の線をどこに引くかを先に決めるほうが大事だ。
わたしが選んだのはサイドFIRE。資産からの収入と、自分で選んだ仕事の収入、その両方で暮らす形だ。完全に働かない生活は、必要な金額が大きすぎるうえに、わたしには向いていないと思った。
この生き方を知ったのは2020年ごろ。もともと仕事は好きだったし、やりがいも感じていた。ネガティブな動機ではなくて、インフルエンサーの動画やFIRE関連の書籍で「資産所得を得ながら自由に仕事する」という選択肢があると知って、自分もそうなりたいと思ったのが出発点だ。
そしてもうひとつ大事なこと。サイドFIREを目指すと決めたとき、わたしはゴールを「働かなくていい状態」ではなく、「仕事を選べる状態」と定義した。この定義がその後の8年を支えてくれた。金額だけを目標にすると、いくら貯めても不安が消えないからだ。
2. 【ステップ1】月の生活費を把握する。ここが全部の土台
ゴールを決めたら、次は自分がいくらで暮らせるのかを知る。順番としては、投資よりずっと先だ。
理由はシンプルで、必要な資産額は生活費で決まるから。月15万円で暮らせる人と、月30万円必要な人では、ゴールの金額が2倍違う。土台の数字がわからないまま積み立てても、どこまで走ればいいのかわからない。
わたしが8年前、最初に取り組んだのもここだった。何にお金を使っているかを把握して、不要な固定費を削る。収入がある程度あっても、支出が多ければ資産は増えない。投資に回せる金額を最大化するには、支出のコントロールが先だった。
いまの生活費は月15万円(東京・ひとり暮らし)。考え方はこの3つに集約される。
②はとくに大事だと思っている。8年のあいだ、わたしは友人の結婚式でハワイに行ったし、イタリア旅行もした。好きなパン屋にも行くし、ごまもちも迎えた。メリハリをつけたからこそ8年続いたのであって、全部を我慢していたら途中でやめていたはずだ。
生活費の出し方は、家計簿アプリを使えばむずかしくない。わたしがやったのは3つだけだ。①1年ぶんの引き落としとカード明細を全部見る。②「毎月必ず出ていくもの(固定費)」と「月によって変わるもの(変動費)」に分ける。③固定費から順に、いま契約する理由があるかを1つずつ確かめる。家賃・通信・保険の3つを見直せば、たいていの人はここで大きく変わる。
ここで決まった「月15万円」という数字が、このあと出てくるすべての金額の基準になる。生活防衛資金も、必要な資産額も、配当の目標も、全部この数字から逆算していく。逆にいえば、この数字が出ていないうちは、必要な資産額を計算しても意味がない。
3. 【ステップ2】生活防衛資金を先に作る。投資はそのあと
生活費がわかったら、次は現金の備えだ。投資を始めるのは、そのあとでいい。
わたしが持っているのは300万円。生活費20ヶ月分にあたる。一般的に言われる「生活費の3ヶ月〜1年分」より多めだけれど、フリーランスは収入が読みにくいうえに、会社員のような傷病手当金の制度がない。だからこの厚さにしている。
この300万円は「増やすためのお金」ではなく、暴落のときに株を売らなくて済むためのお金だと思っている。生活費が現金で20ヶ月分あると、市場が3割下がっても「まあ、そのうち戻るでしょ」と思える。実際、この安心感が2026年5月の中東ショックのときにも効いた。
4. 【ステップ3】積立の仕組みを作る。NISA・iDeCo・高配当の組み合わせ
ここでようやく投資に入る。わたしの設計は、置き場所ごとに役割を分ける形だ。
主力はインデックス。世界中にまるごと分散して、あとは淡々と積み立てるだけだ。ここは考えることを減らすのが正解で、新NISAになってからは、つみたて枠はオルカン(全世界株)1本に絞っている。毎月同じ日に自動で買う設定にして、あとは放っている。特別な投資テクニックは何も使っていない。
銘柄を1本にしたのは、迷う余地をなくすためだ。オルカンなら1本で世界中に分散できるので、「今月はどっちを買おう」と考えなくていい。判断の回数が減るほど、続けやすくなる。
ただし、それ以前に積み立てたS&P500も、旧つみたてNISAと特定口座にそのまま残している。新規の積立先をオルカンに寄せただけで、売ってはいない。とくに旧つみたてNISAは購入から20年間非課税なので、動かす理由がないからだ。方針を変えても、過去のぶんは売らない。これもひとつの続け方だと思っている。
そのうえで、サイドFIRE特有の事情として高配当株を持っている。効率だけを考えればインデックス一本のほうが有利だという意見は、そのとおりだと思う。それでも配当を持つのは、資産を売らずに現金が入ってくるから。取り崩しに頼らない設計にできるし、何より毎月お金が入ってくると精神的に続けやすい。
高配当株を買うのはNISAの成長投資枠が優先で、枠に入りきらないぶんを特定口座に置いている。配当には本来20.315%の税金がかかるので、配当こそNISAと相性がいいからだ。ただし成長投資枠は、つみたて枠と違って機械的には買わない。枠が余っていても、買いたい値段でなければ買わない。個別株は買い時を選びたいので、ここだけはタイミングを見ている。
iDeCoについては、会社員時代の企業型DCを移管したものをS&P500で運用しているだけで、いまは新しい掛金を出していない。60歳まで引き出せないお金を増やすより、いま使える枠(NISA)を優先している、という判断だ。
では、毎月いくらずつ入れるのか。わたしが決めていたのは金額ではなく順番だった。①NISAのつみたて枠(毎月自動)、②成長投資枠で高配当株を機会を見て、③枠を使い切ったら特定口座、という優先順位を決めて、あとは収入に応じて上から埋めていく。収入が読みにくいフリーランスでも、この順番さえ決めておけば毎月悩まずに済む。
もうひとつ大事なのが、臨時収入の扱いを先に決めておくこと。わたしの場合、まとまったお金が入ったときは投資に回すのがメインだ。ごほうびのために別枠を作らないのは、そこがふだんの生活費でまかなえているから。ステップ1で「削るのではなく、使い方を決める」やり方にしておくと、臨時収入をあてにしなくても好きなことにはちゃんと使えている状態になる。
逆にここを決めていないと、増えた収入がそのまま生活水準の底上げに消えていく。
2026年6月末時点の実際の配分は、こうなっている。
フリーランスを目指すなら、ここも準備しておく
会社員のままサイドFIREを目指すなら、この章は飛ばしてもらって大丈夫。わたしのように途中で独立するなら、お金の設計とは別に準備が必要になる。
サイドFIREを意識し始めた2020年ごろの資産は約1,000万円。そこから会社員として投資を続けて、実際に退職した2023年3月時点では約2,000万円になっていた。資産がない状態でフリーランスになると、収入が安定しない時期の精神的なプレッシャーが相当大きくなると思う。ある程度の土台を作ってから転向したことが、踏み切るときの安心材料になった。
「立ち行かなくなれば同じ職種で再就職する」「実家に帰って地方で仕事を探す」。そういう逃げ道を具体的に考えておくことで、踏み出す勇気が出た。東京で開催されていた十勝の就職支援イベントに足を運んで話を聞いたりもした。行動して、話を聞いて、自分の目で確かめる。それが背中を押してくれたと思っている。
会社員のままか、途中で独立するか。準備の違いを並べると、こうなる。
そしてもうひとつ、絶対に外せないのが1年目の税金だ。フリーランス1年目は、前年(会社員時代)の収入をベースに住民税や国民健康保険料が計算される。収入が下がっても請求はがっつりくるので、蓄えがないと一気に苦しくなる。転向を考えているなら、ここは先に知っておいてほしい。
5. 【ステップ4】続ける。8年でいちばん難しかったのはここ
仕組みを作ってしまえば、あとの数年間はほとんどやることがない。毎月自動で積み立てられ、配当が入ってくる。ロードマップの中で技術的にいちばん簡単で、心理的にいちばん難しいのがこのステップだ。
わたしの8年も、まっすぐ増えたわけではない。
続けるためにわたしがやったのは、意思の力を使わない方法を選ぶことだった。自動積立にして、判断の回数を減らす。相場を見る時間を減らす。そして「いま買うべきか」を考えない。タイミングを当てる才能は、資産づくりにほとんど必要ないと思っている。
6. 【ステップ5】達成後のリアル。何が変わって、何が変わらなかったか
そして達成のあと。ここは想像と実際がいちばん違ったところなので、しっかり書いておきたい。
サイドFIREは「働かなくていい生活」ではなく、「働く量と相手を自分で決められる生活」だ。だから達成した日に何かが劇的に変わるわけではない。それでも、月10万円の配当という次の目標に向かって、いまも積み立てを続けている(2026年6月末時点で年49.2万円、達成率41%)。
デメリットもある。収入は会社員時代より不安定だし、社会的信用も落ちる。リーマン級の暴落は、まだサイドFIREの状態で経験していない。そういう弱点も、このブログでは隠さずに書いてきた。
7. これから。十勝計画という次の地図
サイドFIREは通過点だと書いた。じゃあ、その先に何があるのか。
わたしにはひとつ、ずっと考えている計画がある。生まれ育った北海道・十勝に、いつか帰る日のための準備だ。東京での暮らしが嫌になったわけではなくて、選べる場所を増やしておきたいという感覚に近い。
サイドFIREでお金の土台をつくったのは、たぶんこのためだったのだと思う。資産は目的ではなく、選択肢を買うための道具だった。
8. よくある質問
「どこまでを資産に任せるか」で変わります。わたしは最低限の生活費(年200万円)だけを資産でまかなう設計にして、その25倍の5,000万円を目標にしました。旅行や趣味は仕事の収入から出しています。まずは自分の生活費を出して、資産に任せる範囲を決めるところから。
わたしの会社員時代の収入は、特別に高くはありませんでした。効いたのは収入の大きさより、生活費を抑えたことと、続けた年数です。
コロナ(約3割減)・2022年の停滞・中東ショックの3回を、売らずに通過しました。生活防衛資金・配当・仕事の収入という3段の備えで、資産を売らずに済む設計にしています。
できます。むしろ会社員のほうが、収入が安定していて社会保険も手厚いぶん有利な面があります。違うのは税金と社会保険の手続きくらいです。
ステップ1の生活費の把握からです。証券口座を開くのはそのあとで間に合います。
節税効果は大きい制度ですが、原則60歳まで引き出せないのが最大の注意点です。サイドFIREは60歳より前に達成することが多いので、達成に使う資産はNISAと特定口座で作るほうが現実的だと思います。わたし自身は会社員時代の企業型DCを移管したぶんを運用しているだけで、いまは追加の掛金を出していません。
「仕事を完全にやめたい」人には向きません。サイドFIREは働き続ける前提の設計だからです。その場合は完全FIREを目指すことになり、必要な資産額はぐっと上がります。
わたしは8年でしたが、これは収入・生活費・相場の3つで決まります。同じことをしても、市場が良い時期と悪い時期では結果が変わります。年数を目標にするより、続けられる仕組みを作ることを目標にしたほうがうまくいくと思います。
まとめ。特別なことは何もしていない
振り返ると、特別なことは何もしていない。生活費を把握して、現金の備えを作って、仕組みに落として、淡々と続けた。それだけだ。
8年という時間はかかったけれど、その間の生活が犠牲だったとも思っていない。旅行もしたし、好きなパン屋にも行ったし、ごまもちも迎えた。サイドFIREは「我慢の末にたどり着くもの」ではなく、生活の積み重ねの結果だと思っている。
- サイドFIREは「働かない生活」ではなく「仕事を選べる生活」。まずゴールの定義を決めるところから始まる
- 必要な資産の計算式は完全FIREと同じ「年間支出の25倍」。違うのは何を年間支出に入れるか。わたしは最低限の生活費(年200万円)だけを資産に任せて5,000万円を目標にし、ゆとりは仕事で稼ぐ設計にした
- ステップ1は生活費の把握。必要な資産額は生活費で決まるので、投資より先にここ。わたしは東京・月15万円
- ステップ2は生活防衛資金。生活費20ヶ月分の300万円。暴落のときに株を売らずに済むための現金
- ステップ3で積立の仕組みづくり。新NISAのつみたて枠はオルカン1本(増やす)、成長投資枠で日本の高配当株(配当を非課税で受け取る)、入りきらないぶんを特定口座という役割分担
- iDeCoは会社員時代の企業型DCを移管したぶんを運用中。60歳まで引き出せないので、いまは追加の掛金を出さずNISAを優先している
- フリーランスを目指すなら、転向前の準備(先輩に聞く・逃げ道を用意する)と1年目の税金に注意。前年の収入で住民税と国保が決まる
- ステップ4は続けること。技術的にいちばん簡単で心理的にいちばん難しい。自動積立にして判断の回数を減らす
- ステップ5は達成後。生活はほとんど変わらず、変わったのは「選べる」ことと、漠然とした不安が軽くなったこと
- 2026年6月末時点の実数は総資産約5,809万円、年間配当は税引後で約49.2万円(月10万円目標に対して達成率41%)
- フリーランスでも会社員でも、ステップの中身はほぼ同じ。違うのは税金と社会保険の手続きくらい
📚 サイドFIREのロードマップ作りに

ロードマップのステップ3で使う口座です。つみたて枠のオルカンも、成長投資枠の日本の高配当株も、SBI証券ひとつで完結します。月100円からでも仕組みは作れます。わたしが8年使っているメイン口座です。
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