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米の雇用が減ったのに、失業率は下がった。しかも株は最高値をつけた
ニュース2026-08-08📖 約12分で読めます

米の雇用が減ったのに、失業率は下がった。しかも株は最高値をつけた

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ごまもち
🐾 ごまもち
しごとが へったのに、しつぎょうが へったの?🐾
あずき
あずき
そうなの。しかも株は最高値。なんだか全部おかしいでしょ。

アメリカの7月の雇用統計が出た。中身を見て、しばらく手が止まった。

働いている人は減った。なのに、失業率は下がった。

そして株は上がって、S&P500は最高値をつけている。

どこを切っても、ふつうの感覚と逆に見える。この記事は、そのからくりを順番にほどいていく話だ。最後に、いちばん驚いた数字も出てくる。


1. 何が発表されたのか

まず、出てきた数字から。

📉 アメリカの7月の雇用統計(8月7日発表)
働いている人の数:前月より2万3,000人減(農業をのぞく)
市場の予想は8万人ほどの増加だった。5か月ぶりのマイナス
それなのに、失業率は4.1%へ0.1ポイント低下

予想は「8万人増える」。結果は「2万3,000人減る」。 10万人ぶんずれたことになる。

減った中身も出ている。地方政府の教育部門で5万人近く減ったのが、いちばん響いた。

そして、それでも失業率は下がっている。


2. なぜ、失業率が下がったのか

からくりは、割り算の分母にあった。

🧮 失業率の計算のしかた
失業率 = 失業している人 ÷ 働く気がある人
ここで大事なのは、「働く気がある人」しか分母に入らないということ
仕事を探すのをやめた人は、分母から消える

仕事を探すのをやめると、その人は「失業者」ではなくなる。 統計の上では、いなかったことになる。

ごまもち
🐾 ごまもち
さがすのを やめたら、かぞえないんだ🐾
あずき
あずき
うん。だから分母が小さくなって、割り算の答えも小さくなるの。

その「働く気がある人」の割合を労働参加率という。7月は61.5%から61.4%へ下がった

日経も、この低下について「失業者が就職したというより、求職をやめた影響が含まれる」と書いている。

ただ、この労働参加率という数字が気になったので、もう少し調べてみた。0.1ポイントの話では済まなかった。

📉 アメリカの労働参加率は、いまどのくらい低いのか
労働参加率=16歳以上のうち、働いている人と、仕事を探している人の割合
2023年の初めから2025年の終わりまでは、62.4〜62.7%で安定していた
ところが2025年12月からの半年で、約0.9ポイント急落
→ いまはコロナ期をのぞくと、約50年ぶりの低さ

この半年で、急に落ちている。

そして下がる理由は、ひとつではなかった。

🔍 労働参加率が下がる、3つの理由
①高齢化:引退した人は「働く気がある人」に入らない。16歳以上のうち65歳以上の割合は、2005年の16.2%から2023年には22.7%へ
②入ってくる移民が減っている:外から来る働き手が減れば、そのぶん減る
③仕事を探すのをやめた人:探すのをやめると、この数字から抜ける

つまり「みんなが諦めた」という話だけではない。 専門家も、高齢化の影響が大きいと見ている。①と②は、景気が良くなっても戻らない種類のものだ。

そのうえで、この数字の読み方はこうなる。

💡 労働参加率が上がったとき/下がったとき
上がったとき:働きたい人が増えている。前向きな話。ただし失業率は一時的に上がりやすい(探し始めた人が、分母に入るから)
下がったとき:働き手そのものが減っている。国の稼ぐ力は落ちる。でも失業率は下がって見える

失業率と労働参加率は、セットで見ないと逆の結論になる。 今回はまさに、それが起きていた。

つまり、こういうことになる。

💡 失業率が下がった、ふたつの意味
良い下がり方:失業していた人が、仕事を見つけた
そうでもない下がり方:探すのをやめた人が、分母から消えた
今回は、後者が混じっている

同じ「失業率が下がった」でも、中身がまるで違う。 数字だけ見ていると、そこが見えない。


3. なぜ、株は上がったのか

もうひとつの謎はこちらだ。雇用は悪かったのに、株は上がった。

📈 8月7日のアメリカの株式市場
  終値 前日比
ダウ 54,036.93 +151.83(+0.28%
S&P500 7,757.64
最高値を更新
+47.68(+0.62%
ナスダック 26,690.62 +342.27(+1.30%

理由ははっきりしている。9月の利上げが、遠のいたからだ。

📊 市場が見ている「9月に利上げする確率」
統計の発表前:55%ほど
発表後:40%ほど
1本の統計で、15ポイント下がった

金利が上がると、会社はお金を借りにくくなる。その心配が減ったので、株が買われた。

ごまもち
🐾 ごまもち
けいきが わるいのに、よろこんでるの?🐾
あずき
あずき
うん。「景気が悪い=金利が上がらない」って読み替えてるんだよね。

「悪いニュースは、良いニュース」という言い方がある。景気が悪いと、中央銀行が金利を上げにくくなるので、株にとってはむしろ追い風になる、という理屈だ。

今回は、まさにそれだった。

そして、ここで思い出したことがある。

わたしは7月30日に、逆のことを書いていた金利は据え置きだったのに、ダウが1,153ドル安になった日の話だ。あのときは会合で3人が「利上げすべきだ」と主張していて、それが不安につながっていた。

あれから1週間ちょっとで、話がひっくり返っている。 1本の統計で、利上げの空気がしぼんだ。


4. そして、5月と6月の数字が書き換わっていた

ここが、調べていていちばん驚いたところだ。

同じ日に、過去の数字が修正されている

⚠ 発表ずみの数字が、あとから減っていた
  最初の発表 修正後
5月 12万9,000人増 6万3,000人増
6月 5万7,000人増 2万人増
2か月あわせて 10万3,000人ぶん少なかった

7月が悪かった、という話ではなかった。 5月も6月も、実は思っていたより弱かった。

ごまもち
🐾 ごまもち
ええっ、ふえたって いってたのに?🐾
あずき
あずき
変わるの。集まってくる情報が増えると、直されるんだ。

雇用統計は、企業へのアンケートをもとに作られる。締め切りまでに間に合わなかった回答が、あとから届く。 だから翌月、翌々月に数字が直される。

つまり、こういうことになる。

💡 いちばん学びになったこと
発表された瞬間の数字は、まだ確定していない
市場は、その確定していない数字を見て動く
あとで直っても、そのとき動いた株価は戻らない

5月や6月に「思ったより良かった」と言って買った人がいたはずだ。 その前提は、いま消えている。

判断のもとにした数字のほうが、あとから書き換わる。 その日の数字で売り買いする人にとって、これはけっこう怖い話だと思う。


5. 円高になった。わたしの資産はどうなったか

もうひとつ、自分に効く話がある。円高だ。

雇用統計を受けて、アメリカの9月の利上げが遠のいた。ところが日本のほうは、9月に利上げするのではないかと見られている。

同じ9月で、向きが逆だ。だから金利の差が縮まると読まれて、円が買われた。

💱 ドル円の動き
8月7日のニューヨーク市場の終値は1ドル157円80〜90銭
前日より60銭の円高
7月30日の介入から、円高が続いている

わたしの資産は約7割が外貨建てなので、円高はそのまま目減りになる。8月2日の記事と同じやり方で計算してみる。

🧮 円高がわたしの資産に与えた影響(概算)
どこから見るか 円高の幅 目減り
今回だけ
158.55円 → 157.85円
0.44% 約18万円
介入前の高値から
163.99円 → 157.85円
3.74% 約154万円
外貨建ての部分を約4,100万円として計算した概算。株価の値動きは含めていない。

7月末からの円高で、約154万円。 数字にすると、それなりに大きい。

ただ、これは8月2日の記事で書いたとおりだ。

円安の日は、資産の7割を占める外貨建てが守ってくれる。円高の日は、資産こそ目減りするけれど、円で暮らしているわたしの生活費は痛まない

円高の日は、こうなる。そういう設計にしてある。

しかも今回は、株のほうが上がっている。S&P500は最高値だ。円で見た目減りと、ドルで見た値上がりが、同じ日に起きている。どちらか片方だけを見ると、話を間違える。


6. それで、何をしたか

何もしていない。ただ、それは今回に限った話ではない

ごまもち
🐾 ごまもち
かわせで 154まんえん へっても、なにも しないの?🐾
あずき
あずき
うん。だって、使う予定のないお金だから。

雇用統計でも、円高でも同じだ。わたしは、その日のニュースの数字では動かない。動かないと決めているからだ。

上がるか下がるかは分からない。だから航路を守って、市場にい続ける感情が入りこまないように、積立は自動にしてある

そのうえで、今回わかったことを並べると、こうなる。

🧩 見た目と、中身
見た目 中身
失業率が下がった 分母が減ったぶんが混じっている
株が上がった 景気が悪いことを喜んでいる
5月・6月は堅調だった あとから10万人ぶん減った
円高で154万円の目減り 同じ日にS&P500は最高値

どの数字も、そのままでは意味が取れない。 中身を開けないと、方向すら分からなかった。

そして、その日の数字は、動く材料にするには足場が柔らかい。あとから書き換わることもある、と分かったばかりだ。

急落のときに何もしなかった話でも書いたけれど、何もしないでいられる形にしておくのがいちばん効く。今回もそれだけだった。


7. まとめ

  • アメリカの7月の雇用統計(8月7日発表)は、働いている人が前月より2万3,000人減。市場の予想は8万人ほどの増加で、5か月ぶりのマイナスだった
  • 減った中身は、地方政府の教育部門で5万人近く
  • それなのに失業率は4.1%へ0.1ポイント低下。理由は分母が減ったから。失業率は「失業者÷働く気がある人」で、仕事を探すのをやめた人は分母から消える
  • 労働参加率は61.5%から61.4%へ低下。日経も「失業者が就職したというより、求職をやめた影響が含まれる」と書いている
  • ただし0.1ポイントの話では済まない。2023年初から2025年末は62.4〜62.7%で安定していたのに、2025年12月からの半年で約0.9ポイント急落し、いまはコロナ期をのぞくと約50年ぶりの低さ
  • 下がる理由は①高齢化(16歳以上のうち65歳以上の割合が2005年16.2%→2023年22.7%)②入ってくる移民の減少 ③仕事を探すのをやめた人の3つ。「みんなが諦めた」という話だけではなく、専門家も高齢化の影響が大きいと見ている
  • 労働参加率が上がると失業率は一時的に上がりやすく、下がると失業率は下がって見える失業率とセットで見ないと、逆の結論になる
  • 株は上がった。ダウ54,036.93(+0.28%)、S&P500は7,757.64で最高値を更新(+0.62%)、ナスダック26,690.62(+1.30%)
  • 理由は9月の利上げが遠のいたから。市場が見る利上げの確率は発表前55%ほどから、発表後40%ほどへ1本の統計で15ポイント動いた
  • 7月30日の記事では据え置きなのにダウが1,153ドル安になった話を書いた。1週間ちょっとで、話がひっくり返っている
  • そして同じ日に、5月と6月の数字が下方修正されていた。5月は12万9,000人増→6万3,000人増、6月は5万7,000人増→2万人増2か月あわせて10万3,000人ぶん少なかった
  • 発表された瞬間の数字は、まだ確定していない。それでも市場は、その数字を見て動く。あとで直っても、そのとき動いた株価は戻らない
  • 円高も進んだ。8月7日の終値は1ドル157円80〜90銭で、前日比60銭の円高。アメリカの利上げが遠のく一方、日本は9月に利上げするとの見方があり、金利差の縮小が意識された
  • 外貨建て約4,100万円で計算すると、今回だけで約18万円、介入前の高値163.99円から見ると約154万円の目減り
  • ただし同じ日にS&P500は最高値円で見た目減りと、ドルで見た値上がりが同時に起きている
  • どの数字も、そのままでは意味が取れない。だからその日の数字では動かない。何もしないでいられる形にしておくのがいちばん効く
ごまもち
🐾 ごまもち
すうじは、うそを ついてないのにね🐾
あずき
あずき
うん。うそはついてないの。ただ、そのままでは読めないだけ。
📚 参考にした情報源 ・雇用統計の内容と下方修正:日本経済新聞「米就業者7月2.3万人減、市場予想に反しマイナス 失業率は4.1%」時事通信「7月の米雇用、2.3万人減 予想外の縮小、失業率4.1%に改善」Bloomberg「米雇用者数が予想外の減少、失業率4.1%に低下-労働市場に減速感」
・労働参加率:セントルイス連銀「What's Behind the Sharp Drop in Labor Force Participation?」(2026年8月)CNBC「Labor force participation rate falls to lowest in 50 years, outside of Covid era」
・株式市場と利上げ観測:日本経済新聞「NYダウは反発、雇用統計悪化で利上げ観測後退 S&P500は最高値」
・為替:日本経済新聞「NY円相場、反発 1ドル=157円80〜90銭 予想下回る米雇用統計で」共同通信「円急上昇、一時157円台 米統計受け利上げ観測後退」
⚠ 免責事項 この記事はあずき個人の見解・体験のシェアであり、特定の投資手法・金融商品を推奨・勧誘するものではありません。記事中の株価・為替・統計は2026年8月時点のもので、その後変動します。資産への影響の計算は為替の変動だけを見た概算で、株価の値動きは含めていません。投資は価格が変動し、元本を割り込む可能性があります。必ずご自身の判断と責任で行ってください。

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