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人気のINPEXを、まだ買っていない理由。自分のチェック項目に全部かけてみた
ニュース2026-08-09📖 約15分で読めます

人気のINPEXを、まだ買っていない理由。自分のチェック項目に全部かけてみた

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ごまもち
🐾 ごまもち
にんきの かぶ、なんで かってないの?🐾
あずき
あずき
なんとなく、なんだよね。だから今日はちゃんと調べてみるの。

INPEXという会社がある。日本の資源開発の最大手で、原油と天然ガスを掘っている。

高配当株の話をしていると、ほぼ毎日どこかで名前を見る。それくらい人気がある銘柄だ。

わたしは日本の高配当株を117銘柄ほど持っているけれど、INPEXは持っていない。「なんとなく割高な気がして」という、ふわっとした理由のままだった。

そこに8月7日、上方修正・増配・自社株買いの3点セットが発表された。

いい機会なので、いつも使っているチェック項目に全部かけてみた。ふわっとした理由が、数字ではっきりした。


1. 何が発表されたのか

まず、8月7日に出た内容から。

📌 INPEXの発表(2026年8月7日)
上方修正:通期の純利益予想を600億円引き上げて5,100億円へ(前期比+29%)
増配:年間配当を4円増やして112円(前期は100円)
自社株買い:上限5,000万株・1,400億円(発行済の4.3%)。8月10日〜12月31日
1〜6月の純利益は2,631億円で、上期として過去最高

株主にとっては、これ以上ないくらい良い内容だと思う。利益は増える、配当は増える、株数は減る。

ただ、ここでひとつ引っかかることがあった。


2. 原油は、2週間で2割下がっている

原油の会社なのに、原油の値段は下がっている。

📉 WTI原油の値段
7月24日:中東情勢の悪化で91ドル台まで急騰
8月上旬75ドル台へ。2週間ほどで約2割の下落
理由は、アメリカとイランの和平交渉への期待が高まったこと
ごまもち
🐾 ごまもち
げんゆが さがったのに、もうかったの?🐾
あずき
あずき
決算は、少し前の話なんだよね。いまの原油の値段の話じゃないの。

会社の説明を読むと、良かった理由ははっきりしている。

🔍 上方修正の3つの理由
①中東情勢で、原油の販売価格が上がった
②豪州のLNG(イクシス)が堅調だった
③想定していた為替を、円安方向に見直した

どれも、この数か月に起きたことだ。

決算は過去3〜6か月の成績表であって、いまの原油価格の話ではない。7月下旬に原油が跳ねたぶんは今回の数字に乗るけれど、8月に2割下がったぶんは、まだ入っていない

決算がいい=これから上がる、ではない。 ここは分けておきたい。


3. わたしのチェック項目にかけてみる

ここからが本題になる。

わたしは日本の個別株を見るとき、8つの項目をチェックしている。プロの分析ではなく、素人が地雷を踏まないための最低限という位置づけだ。

📋 わたしが見る8項目
売上:概ね右肩上がり。上下が激しいのはNG
EPS(1株あたり利益):概ね右肩上がり
営業利益率:10%以上が良い(平均は7%)
自己資本比率:40%以上、理想は60%以上
営業CF:毎年黒字で増加傾向。赤字はNG
現金等:増えているか
1株配当:安定しているか、増えているか
配当性向:30〜50%が健全。70〜80%は危険

これに加えて、ROA5%以上FCF(フリーキャッシュフロー)がプラスで、利回り5%以上も見ている。本当に手元にお金が残っているかを確かめるためだ。

では、INPEXをかけてみる。


4. かけた結果

📊 8項目チェックの結果
項目 INPEXの数字 判定
①売上 1.2兆(2008)→0.77兆(2020)→2.32兆(2022)→2.01兆(2025) ✕ 右肩上がりでなく、上下が激しい
②EPS 133円(2012)→11円(2016)→−77円(2020)→365円(2022)→331円(2025) ✕ 右肩上がりでなく、赤字の年もある
③営業利益率 56.5%(2025年12月期) ◎ 文句なし
④自己資本比率 61.4% ◎ 理想の水準
⑤営業CF 2,386億〜7,881億円。過去10年すべて黒字 ◯ 合格
⑥現金等 3,168億(2017)→1,684億(2025) △ 減っている
⑦1株配当 2020年に30円→24円の減配。以後は24円→112円で4.7倍 △ 減配の実績あり
⑧配当性向 28.9%(配当112円 ÷ 予想EPS387.2円) ◯ 余裕がある
※表は横にスクロールできます
ごまもち
🐾 ごまもち
○も ✕も あるんだね🐾
あずき
あずき
うん。しかも✕がついたのが、いちばん最初の2つなの。

◎がついたのは、稼ぐ力と財務だ。営業利益率56.5%、自己資本比率61.4%。ここは本当に強い。

✕がついたのは、①売上と②EPS。どちらも基準は「概ね右肩上がり」なのに、INPEXは行ったり来たりしている。つまり業績の安定性が弱点だった。


5. 配当の履歴には、落とし穴があった

⑦の配当を調べているとき、危うく間違えるところだった

配当の履歴を見ると、こう並んでいる。

⚠ そのまま読むと、間違える
2013年3月期:7,000円
2014年3月期:3,609円
2015年3月期:18円
→ 見た目はとんでもない減配

でも、これは減配ではない。

2013年10月に、1株を400株に分割しているからだ。分割すると1株あたりの金額は小さくなるけれど、持っている株数が400倍になるので、受け取る総額は変わらない。

分割に合わせて計算し直すと、こうなる。

✅ 分割に合わせて直すと
2013年3月期:7,000円 → 17.5円(400で割る)
2015年3月期:18円
減配どころか、少し増えている

株式分割は、配当の履歴を見るときのいちばんの落とし穴だと思う。数字だけ並べると、まったく逆の結論になる。

ただ、誤解のないように書いておくと、わたしは分割そのものは良い傾向だと思っている

✂ そもそも、なぜ分割するのか
株価が上がりすぎると、まとまったお金がないと買えなくなる
そこで株を細かく割って、少ない金額でも買えるようにする
→ つまり株価が上がったからこそ、分割する
INPEXは分割と同時に売買の単位も変えて、買うのに必要な金額を4分の1に下げている

株価が下がったから分割する、という会社はない。 分割は「買いにくくなった」ことの裏返しで、会社が個人にも買ってほしいと思っているサインでもある。

しかもわたしのように少しずつ買い足していく持ち方だと、単位が小さいほうが調整しやすい。だから分割のニュースは、素直にうれしい。

気をつけたいのは分割そのものではなく、過去の数字をそのまま比べてしまうことのほうだった。

そのうえで本当の減配を探すと、1回あった。

2020年12月期。30円から24円へ、2割の減配。 コロナで原油が暴落した年だ。そのあとは6年で24円→112円まで、4.7倍に増えている

下がるときは下がる。でも、戻るときの勢いも強い。 これがこの会社の性格だと思う。


6. お金は、本当に残っているのか

もうひとつ、FCF(フリーキャッシュフロー)も見ておきたい

稼いだお金から、設備などに使ったお金を引いて、手元に残る現金のことだ。ここがマイナスだと、配当を借金や貯金から出していることになる。

💰 INPEXのフリーキャッシュフロー
フリーCF
2020年 −1,243億円
2023年 +4,680億円
2024年 +3,643億円
2025年 +252億円
年によって、まるで違う。2023年の4,680億円が、2025年には252億円まで落ちている。

わたしの基準は「FCF利回りが5%以上、2%以下は注意」だ。時価総額は約4.4兆円なので、計算するとこうなる。

🧮 FCF利回り
2025年だけで計算:252億円 ÷ 4.4兆円 = 0.57%(基準を大きく下回る)
過去6年の平均で計算:約2,123億円 ÷ 4.4兆円 = 約4.8%(ほぼ基準どおり)

どちらで見るかで、まったく違う結論になる。

原油の会社なので、1年だけを切り取っても意味がない。かといって、直近が細っているのも事実だ。ここは判断が難しいところだった。


7. 数字は割安。それでも買わない理由

ここまで見ると、弱点は「業績の上下が激しいこと」に集約される

そして株価の指標を見ると、むしろ割安に見える

📈 いまの株価と指標(2026年8月7日の終値)
株価 3,499円
予想PER 9.04倍(15倍が適正といわれる)
PBR 0.86倍(1倍を下回っている)
配当利回り 約3.2%(配当112円で計算)
ROE 8.2〜10%程度
年初来高値から 4,955円(3月30日)から約3割安い

PER9倍、PBR0.86倍、利回り3.2%。しかも高値から3割安い。

数字だけ見れば、買わない理由のほうが見つからない

ごまもち
🐾 ごまもち
やすいなら、かえば いいのに🐾
あずき
あずき
それがね、この安さは前にも見たことがあるの。

この形は、キオクシアのときに書いた話とそっくりだった。

⚠ 波のある会社は、PERの意味が逆になる
ふつうの会社:PERが低い=割安のサイン
波のある会社:PERが低い=利益がピークに近いサイン
→ 利益が大きいときほど、割り算の答えは小さくなる

PERは「株価 ÷ 1株あたり利益」だ。 利益が大きい年は、分母が大きくなるので、PERは自動的に低く出る。

INPEXの利益は原油の値段で決まる。いまは中東情勢で価格が上がった局面の数字だ。その利益で計算したPER9倍を「割安」と読んでいいのか、わたしには判断がつかない。

そして原油は、すでに2週間で2割下がっている

これが、わたしが手を出せない理由だった。 ふわっと「割高な気がする」と思っていたのは、たぶんここだ。


8. それでも「いつかは」と思っている

否定的なことばかり書いたけれど、この会社は買いたくない、という話ではない

💡 それでも惹かれるところ
営業利益率56.5%、自己資本比率61.4%という、まねのできない稼ぐ力と体力
配当性向は28.9%で、増やす余地がまだある
筆頭株主は日本政府(経済産業大臣の名義で約22%)。重要な決定に拒否権を持つ「黄金株」も政府が保有している
日本が資源を持たない国である以上、この会社は必要とされ続ける

問題は会社ではなく、買うタイミングのほうだ。

わたしが持っている117銘柄は、業種を散らして少しずつ買い足していく形にしてある。当てにいく持ち方はしない

INPEXも、原油が落ち着いて、利益が高くない年のPERで見られるようになったら、そのときは考えたい。利益がへこんだ年に、静かに買い足せる会社だと思っている。

ごまもち
🐾 ごまもち
きらいで かってないんじゃ ないんだね🐾
あずき
あずき
うん。むしろ気になってる。でも「いま」じゃないな、って思っただけ。

ただ、見ているだけだと、たぶん忘れる。

だから単元未満株で5株だけ、買ってみようかなと思っている。5株なら約1万7,500円。もらえる配当は年に560円しかない。

ごまもち
🐾 ごまもち
560えんの ために かうの?🐾
あずき
あずき
配当じゃなくてね。見張り番を置く感じなの。

でも持っていると、決算のたびに自分ごとになる富士フイルムを10株だけ持っているのも、同じ理由だ。買い集めるためではなく、見続けるために持つ

本格的に買うのは、そのあとでいい。


9. 次に見るときの、3つの条件

いちばんの収穫は、「なんとなく」が条件に変わったことだった。

「割高な気がする」で止めていたら、次に見るときも同じところで止まる。でもいまは、何が起きたら買うのかを書き出せる

✅ わたしが買い足しを考える3つの条件
①原油が下がって、利益がへこんだ年の決算が出たとき
そのときのEPSで計算したPERを見る。利益が小さい年のPERが高く出ても、それが本当の姿
②その年でも、配当が維持されているとき
2020年は30円→24円に減った。次にへこんだとき、どうするかを見たい
③FCFが戻っているとき
2025年の252億円が、ならしてどのくらいに戻るか

次に見るときは、この3つだけ見ればいい。

「買わない」と言うだけなら、調べなくてもできた。調べたことで、買うときの条件のほうが書けるようになった。


10. まとめ

  • INPEXが8月7日に上方修正・増配・自社株買いの3点セットを発表。通期の純利益予想を600億円引き上げて5,100億円(+29%)、年間配当を4円増やして112円、上限1,400億円(発行済の4.3%)の自社株買い。1〜6月の純利益2,631億円は上期として過去最高
  • ただし原油(WTI)は7月24日の91ドル台から8月上旬に75ドル台へ、2週間で約2割下落。決算が良かった理由は①中東情勢での価格上昇 ②豪州LNGの堅調 ③想定為替の円安方向への見直しで、どれも過去3〜6か月の話決算がいい=これから上がる、ではない
  • 自分の8項目にかけた結果、◎は営業利益率56.5%と自己資本比率61.4%。稼ぐ力と体力は本当に強い
  • ✕がついたのは①売上と②EPS。売上は0.77兆〜2.32兆で上下が激しく、2020年はEPSが−77円の赤字。つまり業績の安定性が弱点
  • △は⑥現金等(3,168億→1,684億に減少)と⑦配当(2020年に30円→24円の減配あり)。ただしそのあと6年で24円→112円と4.7倍
  • 配当の履歴には落とし穴があった。2013年10月の1株→400株の分割で、そのまま読むと大減配に見える。調整すると17.5円→18円で、むしろ増配だった
  • ただし分割そのものは良い傾向だと思っている。株価が上がって買いにくくなったから割るわけで、下がって分割する会社はない。少しずつ買い足す持ち方には、単位が小さいほうが都合がいい。気をつけるのは分割ではなく、過去の数字をそのまま比べることのほう
  • FCFは年によってまるで違う。2023年4,680億円→2025年252億円。FCF利回りは直近だけなら0.57%、6年平均なら約4.8%。どちらで見るかで結論が変わる
  • 株価の指標はPER9.04倍、PBR0.86倍、配当利回り約3.2%、年初来高値から約3割安。数字だけなら割安に見える
  • でも波のある会社は、PERが低いときが利益のピークに近いサインキオクシアのときと同じ形)。いまの利益は原油高の局面のもので、その原油はもう2割下がっている
  • それでも「いつかは」と思っている。稼ぐ力も体力もあり、配当性向28.9%で増やす余地もある。筆頭株主は日本政府(経済産業大臣の名義で約22%)で、日本のエネルギーを支える国策の会社でもある
  • 問題は会社ではなく、買うタイミングのほう利益がへこんだ年に、静かに買い足せる会社だと思っている
  • とはいえ見ているだけだと忘れるので、単元未満株で5株だけ買ってみようかなと思っている。約1万7,500円、配当は年560円。買い集めるためではなく、見続けるために持つ富士フイルムを10株だけ持っているのと同じ理由)
  • いちばんの収穫は、「なんとなく割高」が条件に変わったこと。次に見るときは3つだけ見ればいい。①原油が下がって利益がへこんだ年のPER ②その年でも配当を維持できるか ③FCFがどこまで戻るか
  • 「買わない」と言うだけなら、調べなくてもできた。調べたことで、買うときの条件のほうが書けるようになった
ごまもち
🐾 ごまもち
しらべると、りゆうが ことばに なるんだね🐾
あずき
あずき
そう。買わない理由が言えるようになると、買うときの条件も見えてくるの。
📚 参考にした情報源 ・決算と還元の発表:日本経済新聞(INPEXの決算)株探「INPEX、今期最終を5100億円に上方修正、配当を4円増額修正」INPEX「株主還元・配当情報」
・業績・キャッシュフロー・配当の推移:IRBANK「INPEX(1605)」
・株価と投資指標:SBI証券の銘柄情報(2026年8月7日終値時点)/株探「INPEXの業績・財務推移」
・株式分割:INPEX「株式分割および単元株式数の変更に関するお知らせ」(2013年5月10日)
・原油価格:OANDA「WTI原油見通し」(2026年8月4日)
⚠ 免責事項 この記事はあずき個人の見解・体験のシェアであり、特定の銘柄の売買を推奨・勧誘するものではありません。記事中の株価・業績・配当・指標は2026年8月時点のもので、その後変動します。チェック項目はわたしが自分のために使っているもので、投資判断の正しさを保証するものではありません。「買っていない」「少しだけ買ってみようかと思っている」といった記述も、わたし自身の考えを書いたもので、他の方に同じ判断をすすめるものではありません。投資は価格が変動し、元本を割り込む可能性があります。必ずご自身の判断と責任で行ってください。

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