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アメリカの若者は賭けに出て、日本の若者は何もしない。理由は同じかもしれない
ニュース2026-08-11📖 約16分で読めます

アメリカの若者は賭けに出て、日本の若者は何もしない。理由は同じかもしれない

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ごまもち
🐾 ごまもち
おさけは のまないのに、かぶは かけるの?🐾
あずき
あずき
そうなの。ちぐはぐに見えるけど、理由を読んだら納得しちゃった。

デートや飲酒を控える一方、金融リスクには好戦的」という記事を読んだ。アメリカのZ世代の話だ。

車も運転しない。お酒も飲まない。デートもしない。なのに、投資では一発逆転を狙う。

ちぐはぐに見えたので、背景を調べてみた。そうしたら、わたしが日本の20代について書いた記事と、思わぬところでつながった。

症状は正反対なのに、根っこが同じかもしれない、という話だ。


1. アメリカの若者に、何が起きているのか

まず、記事に書かれていたことから。

📌 アメリカのZ世代(1990年代後半〜2010年代前半生まれ)
運転もデートも飲酒も控えめ。でも金融リスクには好戦的
合言葉は「YOLO(人生は一度きり)」。大勝負に出るか、身を引くかの両極端
向かう先はミーム株、オプション取引、暗号資産他のどの世代より積極的に取っている
若者の失業率は約7%で推移

ところで、YOLOという言葉が気になったので調べてみた。

🎲 YOLOという言葉
You Only Live Once(人生は一度きり)の頭文字
2011年、ラッパーのドレイクの曲で広まったスラング
もとの意味は「いまを楽しもう。先のことを心配しすぎるな」という前向きなもの

もともとは、投資の言葉ではなかった。

それが変わったのは、ネットの投資掲示板でだった。

⚠ 投資の世界での「YOLO」
持っているお金の大半を、ひとつの銘柄に一気に賭けることを指す
たとえば「資金の95%を1つの暗号資産に入れた」といった投稿につけられる
大きく勝つことを信じて、大きく負けることも受け入れるという姿勢

「人生は一度きり」が、「だから全額賭ける」の意味になった。

言葉としては同じでも、中身がずいぶん変わっていると思う。

背景として挙げられていたのは、こんな経験だった。

  • 世界金融危機のとき、親が家と資産を失うのを見た
  • コロナ禍のさなかに、社会へ出た
  • 家賃は上がり続け、賃金は止まったまま

そして記事は、この背景を「経済的虚無主義」と呼んでいた。


2. 「経済的虚無主義」の中身は、思っていたのと違った

わたしが最初に引っかかったのは、この一文だった。

まっとうな長期の資産形成が、もう機能しないと気づいたときの閉塞感

長期投資はもうダメだ、という話だろうか。 そう読めてしまうけれど、中身を追うと違った。

🔍 機能しなくなったのは「運用」ではなく「道筋」だった
働く → 給料から貯める → 家を買う → 資産が積み上がる
この道筋が、家賃の上昇と賃金の停滞で通れなくなった
→ つまり投資に回すお金そのものが、作れない

「長期投資は儲からない」ではなく、「長期投資に回すお金がない」。 そこが虚無主義の中身だった。

そして、ここからが皮肉になる。

ごまもち
🐾 ごまもち
かぶは、あがってなかったの?🐾
あずき
あずき
それがね、めちゃくちゃ上がってたの。そこが切ないところ。

彼らが大人になってからの10年、S&P500は年平均15%近くで伸びていた。 30年でならすと10%ほどなので、とびきり良い10年にあたる。つまり彼らは、強気相場しか見ていない世代でもある。

💡 いちばん切ない構図
相場は、ずっと良かった(直近10年のS&P500は年平均15%近く)
でも、そこに乗せるお金がなかった(家賃と物価に持っていかれる)
少しずつ積み立てても、家には届かない
→ だったら少ないお金を、一発で増やすしかない

彼らが手放した「まっとうな長期投資」こそが、彼らの人生でいちばん報われた方法だったかもしれない。

ここで、当然の疑問が出てくる。少しずつでも積み立てていれば、よかったのではないか。

ごまもち
🐾 ごまもち
すこしずつでも、やれば よかったのに?🐾
あずき
あずき
わたしもそう思ったの。でも、たぶん時間の感じ方が違うんだよね。

彼らが諦めたのは、住宅を持つという将来設計だった。

⏳ 焦っているのは、お金ではなく時間のほう
月に数千円を積み立てても、家が買えるようになるのは何十年も先
しかもその間も、家賃と物価は上がり続ける
間に合わないと感じたとき、人は「時間をかけない方法」を探す

積み立てが効かないのではなく、間に合わないと思われている。 そこが違いだった。

問題は方法ではなく、入口だった。


3. では、誰が儲かっているのか

ここが、いちばん気になったところだ。

若者がミーム株やオプションに向かうと、誰かが儲かる。記事にも「SNSとアプリが投資をゲーム化し、過剰な取引を誘っている」という指摘があった。

その仕組みを調べて、図にしてみた。

💰 「手数料無料」の裏側
個人(若者) スマホのアプリで注文 ① 注文を出す 手数料は0円 証券会社(アプリ) 手数料をゼロにできる ② 注文情報 を流す ③ お金を 払う 大手の取引業者 個人の注文の、相手方になる 取引が多いほど、②と③は増える だからアプリは、たくさん取引してほしい
この仕組みをPFOF(注文フローに対する支払い)といいます。手数料が無料でも、払っている人がいないわけではないということ

ひとつ、誤解しやすいところがある。板に出ている値段より高く買わされる、という話ではない。 むしろ、少し安く買えることのほうが多い。ただ、売値と買値の差そのものは残っていて、その大半は業者の取り分になる

取引が多いほど、証券会社の取り分は増える。

規模も出ている。2021年、アメリカの大手12社が受け取ったPFOFは38億ドルだった。払っている側では、シタデル・セキュリティーズが2020〜21年で26億ドル、サスケハナが15億ドル、バーチュが6億5,400万ドルを出している。

そして、ここが肝心なところだ。

⚠ オプションのほうが、証券会社は儲かる
オプション取引は売値と買値の差が大きく、注文の経済的な価値が高い
→ だから株式の注文より、高いお金が支払われる
→ つまり若者がオプションに向かうほど、証券会社の取り分は増える
ごまもち
🐾 ごまもち
むずかしいけど、なんか ずるくない?🐾
あずき
あずき
そう感じるよね。アプリは、使う人のためだけに作られてるわけじゃないの。

手数料が1回1,000円だったころは、そう何度も押せなかった。 いまは、押す痛みがゼロになっている。ブレーキだけが、外れている。

「若者が勝手にギャンブルをしている」という話ではない。 そうしたほうが儲かる人たちが、そうなるように作っているという面がある。


4. EUは禁止した。アメリカは、していない

この仕組みへの向き合い方が、地域でまったく違う。

🌍 同じ仕組みなのに、扱いが違う
  PFOFの扱い
EU 禁止。2024年3月28日に発効し、猶予も2026年6月末で終了
アメリカ 禁止していない。開示を強くする方向で、2026年に報告の範囲が広がる
日本 支払いの例は確認できない。でも禁止もされていない

日本のところが、思っていたのと違った。

業者が証券会社にお金を払う形は、確認できない。でも禁止されているわけでもない。2021年に金融庁で議論されたときは「極めて慎重な意見が多い」としつつ、結論は保留のままだった。いまも議論は続いている。

ただし、注文を取引所に出さず、業者が相手方になる形そのものは、日本にもすでにある。ネット証券が持つ「ダークプール」がそれだ。こちらには「取引所より不利な値段にはしない」というルールがある。

広がっていない理由は、環境のほうが大きい。アメリカは取引の場が50か所以上に分かれているのに対し、日本は東証のシェアが圧倒的で、この仕組みが成り立ちにくい。

制度が守ってくれているというより、条件が違うだけ。 つまりいつか来てもおかしくない、ということでもある。


5. 日本の20代は、正反対だった

ここで、7月に書いた記事を思い出した。

日本の20代の話だ。

📊 症状は、正反対だった
  アメリカのZ世代 日本の20代
行動 他の世代よりリスクを取る 8割がNISAを使っていない
理由 一発逆転しか道がない 買わない理由の1位が「興味がない」
症状 賭けに出る 何もしない

まるで逆に見える。 でも、日本のほうの数字も並べると、少し違って見えてくる。

  • 20代の単身世帯の金融資産は平均255万円。ただし33.2%はゼロ
  • 奨学金の返済は毎月平均16,880円、期間は平均14.7年

回すお金がない、という点は同じだった。


6. 症状は逆でも、前提は同じかもしれない

並べてみて、思ったことがある。

💡 同じ前提から、逆の答えが出ている
前提:まじめに積み上げても、報われる気がしない
アメリカ:だったら一発に賭けるしかない
日本:だったら関心が向かない

やってもダメだと思えば、賭けに出るか、やめるかのどちらかになる。

日本の「興味がない」は、興味の話ではないのかもしれない。知ったうえで、関心が向いていないという数字も出ていた(NISAの認知度は77.9%まで来ている)。

期待していないから、目が向かない。 そう考えると、アメリカと地続きに見えてくる。


7. 1%しか勝てない世界の、残りの99%

では、一発逆転はどのくらい当たるのか。データがある。

📉 デイトレードを続けた人は、どうなったか
調査 結果
ブラジル
300日以上続けた人を追跡
97%が損失。利益を出せたのは3%
最低賃金を超えて稼げたのは1.1%
銀行員の初任給を超えたのは0.5%
台湾
1992〜2006年、取引所の全記録
手数料を引いたあとに続けて利益を出せたのは1%未満
年に約45万人のうち、およそ4,000人

1万人が挑んで、勝つのは100人。

そして、ここを見落としたくない。

🔍 その100人の利益は、どこから来たのか
売買で勝つというのは、誰かが売った株を、その人より高く売ること
つまり勝った人の利益は、負けた人が払ったものでできている
勝者は、9,900人の上に立っている
ごまもち
🐾 ごまもち
だれかが かつには、だれかが まけるんだ🐾
あずき
あずき
うん。SNSで見るのは、勝った100人のほうだけなんだよね。

成功談は表に出るけれど、9,900人ぶんの記録は出てこない。 だから「意外といけそう」に見えてしまう。


8. 誰かを負かさなくていい道がある

ここが、この記事でいちばん書きたかったところだ。

インデックスや、分散した高配当株は、誰かを負かす必要がない。

💡 取り合いではない
売買で勝つ:誰かの損が、自分の利益になる(取り合い)
持ち続ける:会社が稼いだぶんを、持っている人みんなで分ける
誰かを負かして取る形ではない

もちろん、リスクがないわけではない。そこは正直に書いておきたい。

自分の日本株を計算した記事では、117銘柄の年率リスクは15.0%だった。1年で1割5分くらいは、上にも下にも動く。1銘柄ずつだと平均27.1%あったので、分散で12.1ポイント落としてこの数字になる。

それでも、1%しか勝てない世界とは、別の話だ。

ごまもち
🐾 ごまもち
ぜんいんが かてるの?🐾
あずき
あずき
勝つっていうか、育つのを待つ感じかな。誰かから取らなくていいの。

9. わたしは、5万円から始めた

わたしが投資を始めたのは2018年、26歳のとき。きっかけは友人の何気ない一言で、手元にあった5万円から始めた

まとまったお金があったわけでも、詳しかったわけでもない。何も分からないまま、5万円だけ入れた。

そこから8年で、資産は5,831万円になった。一発も当てていない。 当てられないから、117銘柄に散らしてオルカンとS&P500を持っているだけだ。

💡 わたしが伝えたいこと
一発逆転は、1%しか通れない道
積み上げるのは、時間はかかるけれど、みんなで通れる道
わたしにもできた。だから、多くの人にできると思っている

時間はかかる。8年かかった。

でも、1万人のうち9,900人が負ける道を選ばなくても、資産は作れる。わたしが書いているのは、ずっとその話だ。

「まじめに積み上げても報われない」と思っている人に、そんなことはないと、数字で言いたい。


10. まとめ

🐾 この記事のまとめ
  • アメリカのZ世代は、運転もデートも飲酒も控えめなのに、金融リスクには好戦的。合言葉は「YOLO(人生は一度きり)」で、ミーム株・オプション・暗号資産に他のどの世代より積極的
  • 背景は「経済的虚無主義」。世界金融危機で親が家と資産を失うのを見て、コロナ禍に社会へ出た世代で、家賃は上がり続け、賃金は止まったまま
  • ただし「まっとうな長期の資産形成が機能しない」の中身は、長期投資がダメという話ではなかった働く→貯める→家を買うという道筋が通れなくなった、つまり投資に回すお金が作れないという話だった
  • 皮肉なことに、彼らが大人になってからの10年、S&P500は年平均15%近くで伸びていた(30年でならすと10%ほどなので、とびきり良い10年にあたる)。相場は良かったのに、そこに乗せるお金がなかった
  • 「少しずつでも積み立てればよかったのでは」という疑問は当然出る。でも彼らが諦めたのは住宅を持つという将来設計のほうだった。月に数千円では家が買えるのは何十年も先で、その間も家賃と物価は上がり続ける積み立てが効かないのではなく、間に合わないと思われている問題は方法ではなく、入口だった
  • 誰が儲かっているのかも調べた。PFOF(注文フローに対する支払い)で、証券会社は個人の注文情報を大手業者に流して対価を受け取る。だから手数料をゼロにできる。2021年、米大手12社が受け取ったのは38億ドル
  • しかもオプションのほうが、株式より高いお金が支払われる(売値と買値の差が大きく、注文の経済的価値が高いため)。若者が危ないほうに向かうほど、証券会社の取り分は増える
  • 手数料が1回1,000円だったころは、そう何度も押せなかった。いまは押す痛みがゼロで、ブレーキだけが外れている
  • 扱いは地域でまったく違う。EUは禁止(2024年3月発効、猶予も2026年6月末で終了)、アメリカは禁止せず開示を強化日本は業者への支払いの例が確認できないが、禁止もされていない
  • ただし注文を取引所に出さず、業者が相手方になる形そのものは日本にもある(ネット証券のダークプール)。こちらには「取引所より不利な値段にはしない」というルールがある
  • 2021年の金融庁の議論では「極めて慎重な意見が多い」「ただちに禁止すべきではない」「最良執行が定着していないなかで許容すべきではない」と割れ、保留のまま2025年9月から新しい会議で議論が続いている
  • 日本で広がっていないのは、アメリカは取引の場が50か所以上に分かれているのに対し日本は東証のシェアが圧倒的という事情も大きい。制度が守っているというより、条件が違うだけ
  • 7月に書いた記事の日本の20代とは、症状が正反対アメリカは賭けに出て、日本は8割がNISAを使っていない(買わない理由の1位は「興味がない」)
  • でも回すお金がない点は同じだった。20代単身世帯の金融資産は平均255万円で、33.2%はゼロ。奨学金の返済は毎月平均16,880円、期間は平均14.7年
  • つまり同じ前提から、逆の答えが出ている。「まじめに積み上げても報われる気がしない」→ アメリカは賭ける、日本は関心が向かない
  • 一発逆転の勝率もデータがある。ブラジルでは300日以上続けた人の97%が損失、利益は3%、最低賃金を超えたのは1.1%台湾では手数料後に継続して利益を出せたのは1%未満(年45万人中およそ4,000人)
  • そして勝った人の利益は、負けた人が払ったもの1万人が挑んで勝つ100人は、9,900人の上に立っているSNSに出てくるのは、その100人だけ
  • 一方でインデックスや分散した高配当株は、誰かを負かす必要がない。会社が稼いだぶんをみんなで分ける形で、誰かを負かして取る構造ではない
  • リスクがないわけではない117銘柄の年率リスクは15.0%で、1年に1割5分は上下する。それでも1%しか勝てない世界とは別の話
  • わたしは2018年、26歳のときに5万円から始めた。まとまったお金も知識もなかった。それでも8年で5,831万円になった。一発も当てていない
  • 一発逆転は1%しか通れない道。積み上げるのは時間はかかるけれど、みんなで通れる道わたしにもできたので、多くの人にできると思っている
ごまもち
🐾 ごまもち
5まんえんから、はじまったんだね🐾
あずき
あずき
うん。わたしでもできたから、再現性の高い方法だと思ってるの。特別なことは、なにもしてない。
📚 参考にした情報源 ・Z世代の投資行動:TBS CROSS DIG with Bloomberg「『デートや飲酒を控える一方、金融リスクには好戦的』一攫千金に賭けるZ世代 背景に“絶望感”」(2026年8月9日)
・PFOFの仕組みと規模:野村総合研究所「米オンライン証券のビジネスモデルPFOFが改めて注目を集める」米議会調査局「Payment for Order Flow (PFOF) and Broker-Dealer Regulation」
・EUの禁止とアメリカの対応:The Industry Spread「EU's PFOF ban hits its June 30 cliff as the US keeps it legal」
・日本での議論:金融庁「最良執行のあり方等に関するタスクフォース 報告書」(2021年5月)金融庁「市場制度ワーキング・グループ」
・デイトレードの勝率:Chague, De-Losso, Giovannetti「Day Trading for a Living?」/Barber, Lee, Liu, Odean「The Cross-Section of Speculator Skill: Evidence from Day Trading」
⚠ 免責事項 この記事はあずき個人の見解・体験のシェアであり、特定の投資手法・金融商品を推奨・勧誘するものではありません。記事中の数字は2026年8月時点のもので、その後変動します。過去の実績や統計は、将来の結果を保証するものではありません。わたしの資産の推移も一個人の記録であり、同じ結果を約束するものではありません。投資は価格が変動し、元本を割り込む可能性があります。必ずご自身の判断と責任で行ってください。

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