資産2,000万円以上でも8割が「物価が不安」。わたしの不安が小さくなったのは、お金だけの力ではなかった
今朝、こんな調査の記事を読んだ。50〜54歳の人に暮らしの不安を聞いたら、いちばん多かったのは「物価上昇」で76.4%。そして、金融資産(預金や株などを合わせたお金)が2,000万円以上ある人でも8割(80.4%)が、物価を不安に感じていた。物価への不安は、30代でも75.2%で、ほとんど同じだった。こう思った人も、いるはずだ。
🤔「じゃあ、いくらあれば安心できるの?」
😤「お金を貯めても不安が消えないなら、貯める意味ある?」
🏠「不安を小さくするのは、結局なんなの?」
わたしは34歳。3年前、資産が2,000万円に届く前に会社を辞めて、フリーランスで映像の仕事をしている。いまの資産は約6,000万円だ。会社員のころから8年以上、給料の一部を株の積立に回し続けてきた。この3年は株価が大きく上がり、増えたぶんの半分以上は値上がりによるものだ(資産推移の記事に内訳を書いた)。
ここで書くのは、物価だけでなく、お金の不安ぜんぶの話だ。
結論から言うと、わたしの不安は小さくなった。ただし、それは5,000万円を超えたあたりからだ。しかも、小さくなった理由はお金だけではない。資産と、仕事と、健康。この3つがそろっているから、いまは落ち着いていられる。1つ欠けたら、6,000万円あっても不安は戻ってくると思う。順番に書いていく。
1. 調査の数字。物価が不安なのは、どの年代も7割以上
レポートは、団塊ジュニアと呼ばれる50代前半に注目したものだ。団塊ジュニアは1971〜74年ごろに生まれた、人数の多い世代のことだ。ただ、物価への不安は50代だけの話ではなかった。レポートによると、30代から60代まで、どの年代も7割を超えている。30代は75.2%。34歳のわたしの年代も、同じだ。
お金の不安、体の不安、人とのつながりの不安。種類の違う不安が、上位に並んでいる。レポートは、物価と老後資金の両方を不安に感じている人が、半分以上いることも示している。1人の中に、いくつもの不安が同居している。
2. 資産が多い人ほど、「強い不安」は少なかった
1つ目の声、「2,000万円もあるのに、不安なの?」。調査は、50〜54歳の人を資産の額で分けて、物価への不安を聞いている。
「やや不安」まで含めると、資産500万円未満の人で77.3%、2,000万円以上の人で80.4%。不安を感じている人の割合は、資産が多くても少なくても、8割前後で変わらない。でも、「不安である」と強いほうを選んだ人は、53.4%から35.3%へ、資産が多い層ほど少なかった。
お金があっても、不安はなくならない。でも、やわらげてはくれるようだ。人数の少ない調査なので言い切れないけれど、わたしはそう受け取った。
もう1つ、気になった数字がある。「老後の生活資金が足りない不安」(やや不安を含む)は、500万円未満で70.7%、500〜1,000万円で52.8%、1,000〜2,000万円で65.8%、2,000万円以上で36.5%だった。資産が増えるほど一直線に下がる、という形になっていない。理由は、レポートも「今回の集計からは分からない」としている。人数が少ないので、たまたまかもしれない。
3. わたしの場合①。会社を辞めたとき、いちばん不安だったのは「仕事」だった
会社を辞めたのは2023年の春。資産は、まだ2,000万円に届いていなかった。届いたのは、独立して3か月後だ。
そのとき、いちばん不安だったのは、お金の額ではなく仕事だ。会社を辞めると、いちばん大きな収入が止まる。ひとりでやっていけるのか。それが不安だった。
資産で暮らせるかも、計算はした。4%ルールという目安がある。株などで運用している資産から、最初の年に4%を取り崩し、翌年からはその金額を物価に合わせて増やしていく。そのペースなら資産が尽きにくい、というアメリカの研究から来た考え方だ。2,000万円の4%は、年80万円。月にすると7万円弱。ひとり暮らしでも、これでは生活できない。
このとき、資産だけでは不安は小さくならなかった。年80万円では暮らせない。8月の記事に書いたとおり、「年80万円あれば、あとはバイトでも何でもやれば、なんとかなる」とは思っていた。お金は、暮らしを支えるには足りない。それでも、背中は押してくれた。そのうえで支えになったのが、生活防衛資金があったことと、だめだったときの道が2本あることだった。
調査のレポートは、不安があっても暮らしを保ったり組み替えたりできる「余地」に注目している。お金だけでなく、頼れる人、仕事を調整できること、健康、時間が、その余地を支える、と。余地とは、逃げ道や選択肢のことだ。読んでいて、あのときのA案とB案は、まさに余地だったのだと思った。
4. わたしの場合②。不安が小さくなったのは、5,000万円を超えてから。でも、お金だけではない
2つ目の声、「じゃあ、いくらあれば安心できるの?」。わたしの場合で答える。
8月の記事に、「お金に追われる感覚は、5,000万円でも消えていない」と書いた。それはいまも同じだ。ただ、小さくなったとは感じている。今年の1月に5,000万円を超えたあたりからだ。5,000万円の4%は年200万円。わたしの基礎の生活費は年180万円ほどなので、計算の上では、初めて生活費を超えた。大きな後ろ盾ができた、と感じたのを覚えている。
ただ、「5,000万円あれば安心」と言うつもりはない。いま落ち着いていられる理由を数えたら、お金のほかに2つあった。
3つは別々ではなく、つながっている。
仕事について、正直に書いておく。 わたしの年収は上がっていない。横ばいだ。世の中では賃上げが続いているのに、わたしは横ばいのままでいる。
それでも、いまあまり気にせずにいられるのは、資産があるからだ。もし資産づくりができていなくて、生活防衛資金もない状態だったら、苦しいことは想像できる。
資産についても、同じように書いておく。 6,000万円の4%は、年240万円。ひとり暮らしのわたしなら、生活できる金額だ。数字の上では、もう働かなくても暮らせることになっている。
でも、これは机上の話だと思っている。実際に収入をゼロにして、資産を取り崩す暮らしを始めたら、不安は大きいと思う。それに、生活できるだけで、人生を楽しめるのか。そこも考えないといけない。
だからわたしは、仕事を続けている。
5. 不安を小さくするのは、結局なんなのか
3つ目の声、「不安が消えないなら、貯める意味ある?」。わたしは、あると思う。調査では、資産が多い層ほど、強い不安を選ぶ人が少なかった。わたしの実感も、消えないけれど小さくなる、だ。
4つ目の声、「不安を小さくするのは、結局なんなの?」。
2,000万円に届く前のわたしを支えたのは、生活防衛資金とA案・B案だった。いまのわたしを支えているのは、資産と仕事と健康。どちらも、1つではない
わたしの場合は5,000万円あたりだった。でもそれは、生活費が年180万円ほどのひとり暮らしで、仕事と健康がそろっていたからだ。暮らし方が違えば、数字も違う
エピクテトス『提要』(2世紀ごろ)
エピクテトスは、奴隷の身分から哲学者になった人だ。この一文は、弟子がまとめた教えの本の、いちばん最初に置かれている。本はこう続く。どうにもならないものを、どうにかなると思い込むと、人は嘆き、心を乱す。だから、まず2つを分けなさい。
物価は、わたしの力ではどうにもならない。株価もそうだ。どうにかなるのは、体を大事にすること、仕事を続けること、生活防衛資金を置いておくこと、だめだったときの道を考えておくこと。
わたしの不安は、消えてはいない。でも、3年前よりは小さい。
わたしの資産は、ここで積み上げてきました。オルカンの積立も、BND(米国債券ETF)も、日本の高配当株119銘柄も、8年以上SBI証券の口座です。
SBI証券の公式サイトを見る →6. まとめ
- ニッセイ基礎研究所の調査で、50〜54歳の76.4%が「物価上昇が不安」。金融資産2,000万円以上でも80.4%。30〜60代のどの年代も7割超
- 「強く不安」は、資産500万円未満の53.4%から、2,000万円以上の35.3%へ。人数の少ない調査で、因果までは言えない
- わたしが会社を辞めたときは資産2,000万円未満。4%ルールで年80万円では暮らせない。支えは生活防衛資金と、だめだったときのA案・B案だった
- 不安が小さくなったのは5,000万円を超えてから。ただし理由は、資産・仕事・健康の3つがそろっていること
- 年収は横ばい。気にせずにいられるのは資産があるから。6,000万円の4%=年240万円で暮らせる、は計算の上の話
- 「いくらあれば安心か」に、金額だけの答えはなかった。支えは、いつも1つではなかった
・わたしの資産の節目と、会社を辞めた時期:8月8日の記事。資産が増えた内訳は6月24日の記事。基礎の生活費(年約180万円)はサイドFIREの記事
・賃上げ:春闘の1次集計5.26%などは利上げと実質賃金の記事に書いた
・4%ルール:4%ルールの記事。年80万円、年200万円、年240万円は、資産に4%を掛けた目安で、クロちゃん(わたしが使っているAI、Claude)に計算してもらった
・エピクテトスの言葉:Epictetus "Enchiridion"(提要)第1章。英訳はElizabeth Carter訳をもとにした一般的な訳。日本語訳はわたし




