インドネシアになにが⁈ わたしのETFは半分以下、オルカンは大丈夫?
今、インドネシアの株が話題になっている。実は、わたしも少しだけ持っている。
BND(米国の債券をまとめて持てる投資信託)を買うときに、円をドルに替えた。そのとき、ちょっと遊びで、インドネシアのETF(その国の株をまとめて買える投資信託)も買った。理由は、新興国で、人口も多いし、若者も多いから。みんながよく新興国に投資してしまう、あの理由だ。
そのあとは、とくに買い増しもせず、4年ほど放置。ここにきて急落して、あれっと思って見てみたら、半分以下になっていた。
何が起きたのか。調べてみた。
1. インドネシアで何が起きたの?
10月16日、インドネシアの株価指数(ジャカルタ総合指数)が、1日で11.57%下がった。1998年1月のアジア通貨危機以来、約28年ぶりの下げ幅だ。週明けの19日も下がり、約6年ぶりの安値をつけた。
きっかけは、株価指数をつくる会社MSCIの発表だ。インドネシアを「新興国」の指数から外して、どの国のグループにも入れない「スタンドアロン」という扱いに移す案を出した。
実は、警告はこれが2回目だ。1月にも、MSCIは「改善がなければ、格下げを考える」と伝えていた。発表の翌日、株価指数は7.35%下がっている。
インドネシアの通貨ルピアも、年初から対ドルで約8%安くなった(インドネシア銀行の参照レート)。外国の投資家の売り越し(買うより売るほうが多いこと)は、少なくとも16年で最大のペースと報じられている。
2. わたしのインドネシアETFは、半分以下に
わたしが持っているのは、iシェアーズ MSCI インドネシア ETF(EIDO)だ。
買った値段は1口23.02ドル。買ったのは、4年ほど前だ。いまは10.34ドルで、半分以下になっている。
中身の約半分は、4つの大手銀行が占めている。国ひとつの株だけなので、その国に何かあれば、そのまま値段に出る。今回は、その「何か」が来た。
3. MSCIの「格下げ」で、なぜこんなに下がるの?
MSCIは、世界の国を、いくつかのクラスに分けている。分け方の基準は、経済の大きさだけではない。外国の投資家が、実際に買いやすいか、売りやすいか、中が見えるか、も見ている。
今回、MSCIが問題にしたのは、市場の中が外から見えにくいことだ。
外国の投資家にとっては、自分が買う株を、実際にどれだけ売り買いできるのかがわからない。少数の人の売り買いで値段が動くなら、指数に合わせて買う人は、思わぬ値段で買わされるかもしれない。
1月の警告では、ひとつ下の「フロンティア」に下げる可能性が書かれていた。10月の案は、それも飛び越えて、どのクラスにも入れない「スタンドアロン」だ。MSCIは2027年4月末まで意見を聞き、6月30日までに決める。
指数から外れると、なぜ下がるのか。世界には、指数に合わせて株を買う投資信託やETFが、たくさんある。新興国の指数から外れると、そうしたお金は、インドネシアの株を売らないといけない。その売りを先回りして、ほかの投資家が、決まる前から売っている。
例えると、たくさんの人が毎月買っている「世界の名産品の詰め合わせ」に近い。何を入れるかは、MSCIがリストで決めている。リストから外れた品物は、詰め合わせ用にまとめて仕入れてもらえなくなる。その品物をつくる店は、大きな買い手を一度に失う、というわけだ。
スタンドアロンになっても、インドネシアの株だけでつくる指数そのものは残る。2021年にスタンドアロンになったアルゼンチンも、その国だけの指数と、それに連動するETFが今も続いている。EIDOも、続く可能性が高い。ただ、運用会社のブラックロックが、EIDOについて何か説明しているわけではない。
4. オルカンには、どれくらい影響があるの?
オルカン(全世界株式)も、MSCIの指数(MSCI ACWI)に連動している。新興国の指数から外れれば、インドネシアの株は、オルカンからも外れる。
ただ、その量は、とても小さい。
オルカンの中のインドネシアは、今は0.04%。100万円あたり約441円だ。
10月16日の1日の下げが、オルカン100万円に与えた影響は、約70円。1月からの下げを全部入れても、約500円だ(わたしの計算)。わたしのEIDOは、同じ期間に約46%下がっている。
グラフでは、1,074円から441円に減っていて、この500円より大きい。値下がりのほかに、MSCIが一部の銘柄を外したり、比率を下げたりした分もあるからだ。もし新興国の指数から外れても、オルカンは残りの約441円分を売り、ほかの国の株に入れかえる。売ったところで、新しく損が生まれるわけではない。
国ひとつのETFは、その国のできごとを、そのまま受ける。オルカンは、たくさんの国に分けて持っているので、1つの国の影響は、ほんの少しになる。
5. 指数は、よくなった国を組み込む
指数の入れかえは、外すだけではない。よくなった国は、きちんと組み込む。
オルカンを持っていれば、こうした入れかえは、指数が自動でしてくれる。自分では何もしなくていい。
今回のインドネシアは、経済が小さくなったから外されるわけではない。人口も経済も、大きいまま。それでも、ルールや透明さに問題があれば、外される。
6. わたしは、どう思う?
EIDOをどうするかは、まだ迷っている。正式に決まれば、株価はもう一段、下がるかもしれない。そう考えると、今のうちに売ってもいい気がする。でも、少額なので、このまま10年ぐらい放置するのもありかなぁ、とも思う。
オルカンにも、インドネシアは入っている。今回の格下げ案が決まれば、オルカンからは外れることになる。
それでも、オルカンは、先進国から新興国まで、50近くの国と地域の、2,000を超える会社に広く分散している。指数の入れかえによる新陳代謝も早い。上場を申請したアンソロピックも、条件を満たせば、上場から2週間ほどで入る可能性がある。今回話題のインドネシアのような国も、0.04%ではあるが、組み込まれている。だれも知らないお宝の発見は、ないかもしれない。でも、確実に成長している企業などを取りこぼさない仕組みになっている。
今回の件も含めて、結局、オルカン一本でいいのでは?と思ってしまった。
イソップ寓話の『ウサギとカメ』だ。足の速いウサギは、途中で油断して昼寝をし、こつこつ歩き続けたカメに負けてしまう。
最後に、わたしが買ったころに近い、2022年の初めに、EIDOとオルカンに10万円ずつ入れていたらどうなったか。並べてみた。
最初の2年ほどは、EIDOのほうが先を走っていた。でも、2024年に入るとオルカンが追いこし、そのあとは、縮む時期もありながら、差は広がっている。いまは、オルカンが約21万9,300円、EIDOが約7万1,200円(円安と配当の分で、ドルで見た「半分以下」より減り方は小さく見える)。同じ10万円でも、約3倍の差がついている。
人口が多く、若者も多い新興国は、勢いがあり、速く走るウサギに見える。わたしは、そこに少しだけ欲をかいた。でも、今回の2022年〜2026年で言えば、カメのようにこつこつ、そして確実に前に進んでいくオルカンに軍配が上がった。もちろん、この先どうなるかは、だれにもわからない。
7. まとめ
- 10月16日、インドネシアの株価指数が1日で11.57%下落。約28年ぶりの下げ幅だ
- きっかけは、MSCIがインドネシアを新興国の指数から外す案を出したこと。理由は、株主の顔ぶれが見えにくいことなど
- 指数から外れると、その指数に合わせて買っているお金が売りに回る。それを先回りして売られた
- わたしのインドネシアETF(30口)は、ドルで見ると買った値段の半分以下。円では約3万6,700円のマイナスだ
- オルカンの中のインドネシアは0.04%。年初からの下げを全部入れても、100万円あたり約500円の影響
- 指数は、基準を満たした国を組み込み、基準に合わなくなった国を外していく。オルカンは、その入れかえを自動でしてくれる
- わたしは、売るか10年放置するか迷っている。結果、オルカン1本にしておけばよかった
・市場の動き:The Jakarta Post(2026年10月19日)、Euronews(2026年10月16日)、インドネシア銀行(ルピアの参照レート)、Yahoo Finance(ジャカルタ総合指数)
・EIDO:iシェアーズ(MSCIインドネシアETF)
・オルカンの中身:SSGA(SPYYの保有銘柄)
・指数の入れかえの例:MSCI(サウジアラビア)、MSCI(クウェート)、MSCI(2021年の市場分類の見直し)
・比べた値段:Yahoo Finance(EIDO・ドル円の終値)、三菱UFJアセットマネジメント(eMAXIS Slim 全世界株式の基準価額)
・格言:イソップ寓話「ウサギとカメ」
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