ゴールドマンの「買い」で、コマツが上場来高値。プロの判断で、わたしの持ち株を見てみた
10月5日、コマツの株価が一時、前の週末より6.4%高い7,980円まで上がった。上場してからいちばん高い値段だ。
きっかけは、ゴールドマン・サックス証券のレポートだった。コマツの投資判断を、3段階の真ん中の「中立」から、いちばん上の「買い」に上げた。目標株価も、6,700円から9,000円に引き上げている。
外資系の証券会社の「買い」で、株価がこれほど動く。調べるうちに、疑問が出てきた。
🤔「わたしの持ち株を、プロはどう見ているの?」
🎯「その『買い』は、当たるの?」
最後に、格上げされた銘柄にわたしの基準を当てはめて、1万円だけ買ってみる。
1. 外資系の「買い」って、そもそも何?
証券会社には、会社を調べる専門家の「アナリスト」がいる。アナリストは、担当する会社ごとに「買い」「中立」「売り」のような投資判断と、「目標株価」(この先1年ほどで、このくらいになると見る値段)を出している。これを「レーティング」と呼ぶ。
判断を上げることを「格上げ」、下げることを「格下げ」と言う。呼び方は会社によってちがい、ゴールドマンは「買い・中立・売り」、モルガン・スタンレーMUFGは「強気(オーバーウェイト)・中立・弱気」のように分けている。
コマツには、この1か月で、判断や目標株価の引き上げが続いていた。
ゴールドマンのレポートの日付は10月4日、日曜日だ。株価が動いたのは、週明け5日の取引からだった。ただ、5日の終わり値は7,777円で、高値から200円ほど下がって終わっている。同じ日、日経平均も2.4%上がっていた。相場全体が上がった日でもあった。
なお、ゴールドマンのような外資系のレポートそのものは、ふつうの個人は読めない。機関投資家などのお客さん向けだからだ。ニュースになるのは、「買いに上げた」「目標株価は◯円」という結論だけになる。
2. わたしの持ち株を、プロはどう見ているの?
2つ目の疑問。わたしが持っている日本の高配当株で、これまで記事で名前を出してきた銘柄のうち、12銘柄について(DM三井製糖は担当アナリストが見つからなかったので外した)、アナリストの判断を集めてみた。
12銘柄の判断を全部足すと、のべ119人のうち、強気が74人、中立が44人。弱気(売り)は、たった1人だった。
一覧を見ると、気になるところがいくつかある。
- スズキ:13人のうち11人が強気で、野村證券は「売り」を続けている。野村の目標株価は1,800円で、いまの株価より低い。
- ヤマハ発動機:目標株価の平均が、いまの株価より8%低い。判断はほとんどが「中立」のままだ。
- INPEX:9月に、BofA証券は格上げ、岡三証券は格下げをした。同じ月に、見方が逆に分かれている。
- 三菱商事:いちばん低い目標株価といちばん高い目標株価で、2,000円以上の差がある。同じ会社を見ても、プロの見立ては大きくちがう。
3. その「買い」は、当たるの?
3つ目の疑問。
まず、「買い」は多くなりやすい。わたしの持ち株のうち12銘柄でも、売りは1人だけだった。証券会社は、その会社とほかの取引(株を新しく発行するときの手伝いなど)をしていることもあり、「売り」は出しにくいとも言われる。
目標株価も、そのとおりにはなりにくい。1年後の時点で目標株価に届いていたのは、4割に満たなかった。
そして、「買い」になったあとの上昇は、小さく短い。格上げの知らせが出るころには、レポートを先に読んだ大きなお客さんが、もう動いていることもある。
4. 格上げされた銘柄から、1万円だけ買ってみる
ここからは、実際にやってみる。9月1日から10月5日までに、判断が1段階以上上がった日本株は、50銘柄ほどあった。それを、わたしが毎月の点検で買い増しの候補をしぼるときの条件(利回りと、減配していない年数)と、買う前に見ているPBR・財務(高配当株の選び方)に当てはめてみた。
- 配当利回りが3.5〜6%
- 減配していない年数が5年以上
- PBR(株価が、1株あたりの純資産の何倍か)は1倍前後が目安で、PER(株価が、1株あたりの利益の何倍か)が高すぎない
- 財務が健全
いま持っている銘柄は外している。
50銘柄ほどのうち、基準をすべて満たしたのは、プレス工業の1銘柄だけだった。ほとんどの銘柄は、配当利回りが3.5%に届かない。コマツも、配当利回りが2.4%で、わたしの基準には入らなかった。
外資系の「買い」から始まった話だが、わたしの基準に残った4銘柄は、どれも国内の証券会社が格上げした銘柄だった。
もう1つ、わたしの持ち株の業種のバランスも見ておく。
わたしは、高配当株の業種がなるべく1つに偏らないよう、1業種は持ち株の1割くらいを目安にしている。あくまで理想で、買いながら調整していく。割安なら買い増したいので、目安も確かめつつ、臨機応変にやっている。関西ペイントの化学は、もうその目安を超えている。それから、大事にしているのが、不況のときに配当が減りにくいことだ。プレス工業と住友ゴム工業は、コロナのときに減配している。
結論、ライト工業に決定。
ライト工業は、のり面(道路わきの斜面など)を固める工事や、地盤を強くする工事を得意とする建設会社だ。20年近く減配しておらず、10年以上続けて増配している。コロナのときも減配していない。会社も「累進配当(配当を減らさず、維持か増やす)を目指す」と言っている。建設業は、わたしの持ち株の中でまだ目安に届いていない。
気になるのは、PBRが1.85倍と、目安の1倍前後より高いところだ。割安とは言いにくい。今回は1万円だけ、単元未満株(100株単位ではなく、1株から買える仕組み)で買ってみることにした。買ったあとどうなったかは、また答え合わせをしたい。
5. わたしの見方
知らない人と、知らないことを知らない人だ。
ジョン・ケネス・ガルブレイスの言葉とされる
先のことを確かに当てられる人はいない、という意味だ。
わたしは、ふだんアナリストの判断は見ていない。今回、そういうのもちょっと面白いかなと思って、調べてみた。
わかったのは、プロの「買い」でも、当たるとは限らないということだ。1年後の時点で目標株価に届いていたのは4割に満たず、「買い」のあとの上昇も小さい。
プロの判断は、答えではなく、見方の1つなのだと思う。同じ会社でも、強気の人もいれば、売りの人もいる。だから、わたしはこれからも、自分の基準で選ぶ。プロの判断は、ときどきのぞいてみるくらいが、わたしにはちょうどいい。
6. まとめ
- ゴールドマン・サックス証券がコマツを「中立」から「買い」に上げ、株価は一時6.4%高の上場来高値。この1か月で4社が判断や目標株価を上げていた
- レーティングは、アナリストが出す「買い・中立・売り」と目標株価。外資系のレポートの中身は、ふつうの個人は読めない
- わたしの持ち株のうち12銘柄では、のべ119人のうち強気74人、売りは1人だけ。スズキは野村が売り、ヤマハ発は株価が目標の平均を上回った
- 研究では、「買い」が多く、1年後の時点で目標株価に届いていたのは4割弱、「買い」のあとの上昇は小さく短い
- 格上げされた50銘柄ほどに、わたしの基準を当てはめると、すべて満たしたのは1銘柄だけ。業種のバランスと減配しにくさも見て、ライト工業を1万円だけ買ってみる
・持ち株のアナリスト評価:IFIS(株予報Pro)の各銘柄のアナリスト評価(10月5日時点)、株探の各銘柄ニュース
・研究:FactSet「Earnings Insight」(2026年9月25日)、Bradshaw, Brown, Huang (2013), Review of Accounting Studies、Womack (1996), Journal of Finance
・格上げ銘柄:株探のレーティング日報(2026年9月1日〜10月5日)、各社の配当方針、IR BANK、Yahoo Finance(配当履歴)




