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月990円の新型iPhoneの正体。数字は、うまく隠れていた
ニュース2026-09-14📖 約14分で読めます

月990円の新型iPhoneの正体。数字は、うまく隠れていた

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ごまもち
🐾 ごまもち
けいたい、かわなくていいの?🐾
あずき
あずき
ならないの。払う場所が、見えにくいところに移してあるだけ。

電車のなかで、こんな会話を聞いた。

「携帯って、買ってるの?」 「買ってないよ。2年通信料を払えば、携帯は買わなくていいから。機種代なんて、払ってられないよ」 「そうだよね」

隣で聞きながら、声をかけたくなった。同じように思っている人も、いるはずだ。

😊「機種代なんて、払ってられない」
🤔「2年、通信料を払えば携帯はタダでしょ?」
😮「いまは、そういう仕組みなんでしょ?」
😑「2年たったら返すの? それって、買ってるの?」

結論から言うと、携帯は、買わなくていいのではない。払う場所が、月々の明細のなかで見えにくいところに移してあるだけだ。

ちょうど9月18日にiPhone 18 Proが発売される。この機種を例に、月990円で使えるiPhoneのお金がどこに隠れているかを、4か所数えていく。その前に、大前提を1つ。


1. 昔は通信料に混ぜていた。それが禁止されて、返す仕組みが生まれた

2019年まで、携帯を買わなくていいように見える仕組みは、いまより単純だった。機種代を、通信料に混ぜていたのだ。ドコモの「月々サポート」、auの「毎月割」のように、機種を買うと通信料が2年間割り引かれる。割引の原資は、割引前の高い通信料。機種を買い替えない人も、同じ高い通信料を払っていた。

総務省がこれをやめさせた。2019年10月、法律を変えて通信料と機種代を分けることを義務にした。通信の契約と機種代の割引を、セットにしてはいけない。同じ法律で、通信契約の「2年縛り」の違約金にも上限がついた。

携帯会社は、法律が動き出す前から、別の仕組みを用意していた。それが、いまの「2年で返す」型の買い方だ。施行の直前、2019年9月の総務省の会議で、委員の1人がこの新しい仕組みをこう評している。

2年縛りを止めて回線による拘束がなくなった途端に端末による縛りを始めた

回線で縛れなくなった途端に、今度は機種のほうで縛り始めた、という指摘だ。それから7年たった。仕組みは、当時より複雑になっている。


2. iPhone 18 Proで、仕組みを見る

ソフトバンクのiPhone 18 Pro(256GB)で見ていく。理由は、大手4社(ドコモ・au・ソフトバンク・楽天モバイル)のなかで、いちばん安い数字を出しているからだ。他社から乗り換えて、オンラインショップで買った場合。

📱 iPhone 18 Pro(256GB)をソフトバンクで、他社から乗り換えて買うと
一括の値段 26万8,560円(アップル直販は21万9,800円)
これを48回(4年)の分割にする。ただし、均等ではない
1〜24回目 月990円(2,365円から、乗り換え割引の1,375円を引いた額)
25〜48回目 月8,825円
前半2年の合計 2万3,760円。後半2年の合計 21万1,800円
25か月目にiPhoneを返せば、後半の21万1,800円は払わなくていい
ソフトバンクの機種代金表(2026年9月12日時点)から。返すときは査定があり、条件を満たさないと最大4万4,000円の負担金。乗り換え割引(1,375円×24回=3万3,000円)は、オンラインショップで自宅受け取りにした場合

つまり、こういう仕組みだ。4年ローンを組んで、機種代のほとんどを後半の2年に寄せておく。前半の2年だけ払って、返す。返した時点で、後半は消える。

電車の2人の「買ってない」は、正しい。これは買っているのではなく、月990円で2年間、借りている。iPhoneは2年後にソフトバンクに戻り、ソフトバンクはそれを中古で売る。月990円は、通信料と一緒に引き落とされるので、明細を見ても機種代には見えない。「2年通信料を払えば、携帯は買わなくていい」という感覚は、ここから来ている。

ここまでは、本当に安い。他社から乗り換えた、最初の2年に限っては。


3. では、どこで払っているのか。4か所ある

ごまもち
🐾 ごまもち
つき990えんなら、やすいじゃん?🐾
あずき
あずき
990円は入口の値段。払う場所は、ほかに4つあるの。

① 2回目からは、月5,830円になる

月990円は「他社から乗り換えた人」の値段だ。2年後、同じソフトバンクで次のiPhoneに替えると「機種変更」になる。いまのiPhone 18 Proを機種変更で買う場合の値段で見ると、こうだ。

⚠ 同じiPhone 18 Pro(256GB)を、機種変更で買うと
1〜24回目 月5,830円(6,290円から割引460円)
25〜48回目 月4,900円
2年で払う額 13万9,920円。乗り換えの2万3,760円の5.9倍
同じ機種代金表から

乗り換えのときは後半に寄せてあった機種代が、機種変更では前半と後半にほぼ均等に割られている。前半の2年で払う額は、6倍近い。安いのは、外から来た人の最初の2年だけ。中にいる人は、月5,830円を払う。

② 通信料そのものが高い

機種代を分けたあとの、通信料の話。大手キャリアの通信料は、格安SIMの3倍近い。

📊 スマホの通信料、月にいくら払っているか(機種代を除く平均)
使っている会社
月額の平均
2年分
大手4キャリア(ドコモ・au・ソフトバンク・楽天)
4,420円
10万6,080円
大手のオンライン専用プラン(店なしで売る安いプラン。ahamoなど)
3,080円
7万3,920円
大手の第2ブランド(UQモバイル・ワイモバイル)
2,597円
6万2,328円
格安SIM(大手の回線を借りて売る会社。MVNO)
1,612円
3万8,688円
※表は横にスクロールできます
MMD研究所「2025年9月通信サービスの料金と容量に関する実態調査」(スマホ利用者36,421人)。通信と通話の料金で、機種代は含まない。2年分はわたしの掛け算

大手と格安SIMの差は月2,808円。2年で6万7,392円。しかも同じ調査で、大手キャリアを使う人の半分は、月に7GBも使っていない。使わない容量の分まで、払っている人が多い。

③ 返すときに2万2,000円。免除の条件は「次もここで買う」

返すときには、手数料がかかる。ソフトバンクは「特典利用料」2万2,000円。ドコモも同じ2万2,000円で、auは2026年2月26日から最大2万2,000円になった。

ただし免除の条件がある。返すと同時に、同じ会社で次の機種を買うこと。ソフトバンクはこれを「買替え応援割」と呼ぶ。応援されているのは、2年ごとに同じ会社で機種変更を続ける人だ。①に戻ると、機種変更は月5,830円。つまり、990円の入口から入ると、2年後の道は3つ。返して2万2,000円を払うか、返して同じ会社で次を買って月5,830円の側に移るか、返さずに後半の21万1,800円を払うか。

1章の総務省の会議で、もう1つ指摘されていたことがある。

新たな機種の購入を残債免除の条件とすることは、実質的な囲い込みではないか

当時は残債(残りの支払い)を免除する条件、いまは手数料を免除する条件。形は変わったが、「次もここで買うなら」は7年前のままだ。

④ 返すときの査定と、それを避けるための保険

返すiPhoneには査定がある。画面割れや故障があると、最大4万4,000円の負担金。それを避けるための保証サービスが、最大で月1,980円。2年で4万7,520円。入らなければ返すときに4万4,000円の可能性があり、入れば毎月1,980円が明細に乗る。どちらを選んでも、990円のとなりに、もう1つ数字が並ぶ。


4. 月々いくらと、全部でいくらを並べる

残クレの記事(車や家の値段の一部を最後に回すローンの話)と同じことをする。見る数字は2つ。「月々いくら払うか」と「全部でいくら払うか」。

2回目以降の、ふつうの状態で並べる。左は、機種変更で2年ごとに返す型。通信料は上の表の大手の平均。右は、わたしのやり方だ。アップルで一括で買い、格安SIMを入れ、2年たったら自分でメルカリで売る。通信料は、わたしが払っている日本通信SIMの1,390円。iPhoneは中古でも値が落ちにくく、わたしの経験では買った値段の50〜75%で売れる。表では低いほうの50%で置いた。

📊 iPhone 18 Pro(256GB)を持つ、2つのやり方
大手で2年返却(機種変更)
一括で買って、2年後に売る(わたし)
最初に払う
0円
21万9,800円
月々
機種5,830円+通信4,420円=1万250円
通信1,390円
2年後、iPhoneは
返す。戻るお金は0円
売る。半額なら10万9,900円が戻る
2年で全部
24万6,000円
14万3,260円
4年で全部(同じことをもう1回)
49万2,000円
28万6,520円
※表は横にスクロールできます
左の機種代はソフトバンクの機種変更(3章①)、通信料はMMD研究所の大手の平均(3章②)。右は一括21万9,800円+日本通信SIM1,390円×24か月−売値10万9,900円。4年の欄は値段が変わらないとした概算で、左の③の手数料と④の保険、右の売る手間と手数料は入れていない

月々を軽くした型のほうが、全部では10万円多い。どちらも2年に1回、新しいiPhoneに替えている。違いは2つ。通信料と、2年たったiPhoneを会社に返すか、自分で売るか。

4年で見ると、差は20万5,480円


5. わたしは、どうしているか

ごまもち
🐾 ごまもち
あずきは、どっち?🐾
あずき
あずき
右。通信料は月1,390円。

わたしの通信料は、月1,390円。au→楽天→ahamo→日本通信SIMと4社を渡り歩いて、ここに落ち着いた。auのころは月1万円だった。使い方は、ほとんど変わっていない。

iPhoneは、アップルで一括で買う。1〜2年使って、新しいiPhoneに欲しい機能が出たら買い替える。使っていたiPhoneはメルカリなどで売る。買った値段の50〜75%くらいで売れるので、次のiPhoneの代金の半分ほどは、前のiPhoneが払ってくれる。会社のほうも、同じ見方をしている。ドコモは同じiPhone 18 Pro(乗り換えで買う場合)の2年後の値段(残価)を14万1,240円、一括の26万3,230円の54%と置いている。

返す型を使わない理由は、4章の表そのままだ。月々を軽くしたぶんは消えない。②の通信料、①の2回目の機種代、③の手数料、④の保険。4つのどこかに移っている。そして、2年たったiPhoneの値打ちを会社に渡すか、自分の財布に戻すか。返す型は、メルカリで売る作業を会社が代わりにやって、その売値と引き換えに後半のローンを消す仕組みだと思っている。

タダの昼飯なんてものはない。
もしあるなら、あの酒場の酒は半額のはずだ
There ain't no such thing as a free lunch. ... or these drinks would cost half as much.
ロバート・A・ハインライン『月は無慈悲な夜の女王』(1966年)

「タダの昼飯はない」は、経済学で古くから使われてきた言い回しだ。もとは19世紀のアメリカの酒場で、酒を頼んだ客に昼飯を無料で出していたことから来ている。昼飯の代金は、酒の値段に入っていた。ハインラインの小説の登場人物は、壁の「無料の昼飯」の看板を指さして、こう続ける。本当に無料なら、酒は半額のはずだ、と。

携帯も同じだ。本当にタダなら、2回目の機種代も、返すときの手数料も、ないはずだ。

電車の2人に、声はかけなかった。かわりに、この記事を書いた。


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通信料を月1万円から1,390円に下げて浮いたお金は、オルカンの積立に回っています。積立も、日本の高配当株119銘柄も、8年以上SBI証券の口座です。

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6. まとめ

🐾 この記事のまとめ
  • 「2年通信料を払えば携帯は買わなくていい」の正体は、4年ローンの後半に機種代を寄せ、前半だけ払って返す仕組み
  • 2019年に総務省が通信料に機種代を混ぜるのを禁止したのと入れ替わりに広まった型。当時の会議で「端末による縛りを始めた」と指摘済み
  • iPhone 18 Pro(256GB)はソフトバンクの乗り換えなら月990円。機種変更なら月5,830円。安いのは外から来た人の最初の2年だけ
  • 通信料は大手の平均4,420円、格安SIMは1,612円。返却時の手数料2万2,000円は「次もここで買う」なら免除
  • 月々1万250円で返す型は2年で24万6,000円。一括で買って2年後に売るわたしの型は14万3,260円。4年で20万5,480円の差
  • わたしはアップルで一括、1〜2年使ってメルカリで売る(買値の50〜75%)。返す型は、その売値を会社が受け取る仕組み
📚 参考にした情報源 ・ソフトバンクのiPhone 18 Pro機種代金(一括26万8,560円、48回払いの1〜24回目と25〜48回目の分割支払金、オンラインショップ割の1,375円×24回と460円×24回、特典利用料2万2,000円、買替え応援割、故障時負担金最大4万4,000円、あんしん保証パック月額最大1,980円):ソフトバンク「iPhone 18 Pro 機種代金」(2026年9月12日時点)
・アップル直販21万9,800円と4社の一括価格・実質負担額:ケータイ Watch「iPhone 18 Pro/Pro Max 価格が出揃う、アップル直販とキャリア4社まとめ」(9月12日)。発売日9月18日:同「ソフトバンク iPhone 18 Pro 価格発表、実質2.4万円/一括26.8万円〜」
・ドコモのiPhone 18 Pro(256GB・乗り換え)の残価14万1,240円と一括26万3,230円、ドコモとauのプログラム利用料2万2,000円と免除条件:ドコモ「iPhone 18 Pro Max/iPhone 18 Proのドコモオンラインショップ販売価格」(2026年9月11日)au「スマホトクするプログラム+」(2026年2月26日から、特典利用料最大2万2,000円)
・通信料の平均(大手4キャリア4,420円・オンライン専用3,080円・サブブランド2,597円・MVNO 1,612円、大手利用者の50.4%が7GB以下):MMD研究所「2025年9月通信サービスの料金と容量に関する実態調査」(2025年9月12〜21日、スマホ利用者36,421人)
・2019年の法改正(通信料と端末代金の分離、2019年10月施行):ITmedia「改正電気通信事業法は10月1日施行」。会議での指摘の引用:総務省「通信料金と端末代金の分離と端末購入プログラムについて」(2019年9月20日、資料1-1「端末購入プログラムに関する各構成員の意見」)
・2年・4年の合計、5.9倍、20万5,480円などの掛け算・引き算はわたしの計算。値段が4年間変わらない前提の概算。売値の50%は、わたしがメルカリで売ってきた経験(50〜75%)の低いほう
・わたしの携帯代(日本通信SIM 1,390円、au時代1万円):携帯を4社乗り換えた記事
・ハインラインの言葉:Robert A. Heinlein, "The Moon Is a Harsh Mistress" (1966)。言い回し自体はハインラインより古く、「TANSTAAFL」の形では1949年の本の題名が最古とされる(Quote Investigator)。訳はわたし
⚠ 免責事項 この記事はあずき個人の考えの記録であり、特定の携帯会社や機種、料金プランの契約を推奨・勧誘するものではありません。機種代金や割引、手数料は2026年9月12日時点の公開情報で、購入時期・契約種別・店舗によって変わります。通信料は調査の平均値で、個々のプランの料金ではありません。2年・4年の合計はわたしの概算です。契約の条件は、必ず各社の最新の案内でご確認ください。

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