harukamuy
「106万円の壁」がなくなった。何が変わって、得なの損なの? フリーランスのわたしが勉強してみた
ニュース📖 約12分で読めます

「106万円の壁」がなくなった。何が変わって、得なの損なの? フリーランスのわたしが勉強してみた

※本記事にはアフィリエイト広告(プロモーション)が含まれています
ごまもち
🐾 ごまもち
かべが なくなったの?🐾
あずき
あずき
「106万円の壁」がね。でも、ほかの壁は、まだ残っているみたい。

パートで働く人の「106万円の壁」が、10月1日になくなった。今日、ニッセイ基礎研究所の永井啓夫さんの解説がTBS CROSS DIGに載っていた。

わたしのまわりには、この壁を気にしている人がいない。だから、ニュースを見ても、わからないことだらけだった。

🧱「そもそも『壁』って何?」
🔄「何が変わったの?」
⚖️「どうしたら得で、どうしたら損なの?」
🎯「なんのための制度変更なの?」

先に、勉強してわかったことを書いておく。扶養に入っている人は、社会保険に入ると、手取りが減る。でも、将来の年金と、病気や出産で休んだときの手当がつく。そして保険料は、会社が半分払ってくれる。得か損かは、いま家族の扶養に入っているのか、自分で国民健康保険と国民年金を払っているのかで、大きく変わる。

順番に見ていく。


1. そもそも「壁」って何?

「年収の壁」と呼ばれる線は、いくつかある。混ざりやすいので、まず並べておく。

🧱 よく聞く「年収の壁」
壁
何の線か
いま
106万円の壁
勤め先の社会保険(厚生年金・健康保険)に入る線。扶養に入っているかどうかに関係なく決まる
2026年10月1日になくなった
130万円の壁
家族の扶養から外れる線。勤め先の社会保険に入らない人は、自分で国保と国民年金を払うことになる
2026年4月から、判定がゆるくなった。壁は残っている
178万円(税の壁)
所得税がかかり始める線
社会保険の壁とは別もの
厚生労働省、日本年金機構、財務省の発表から。税の178万円は2026年分と2027年分

今回なくなったのは、いちばん上の106万円の壁だ。これまでは、従業員51人以上の会社などで、月8.8万円(年収にするとおよそ106万円)以上になると、勤め先で社会保険に入る決まりだった。

130万円の壁は、それとは別の線になる。家族の扶養に入っている人が、年収130万円以上になると、扶養から外れて、自分で保険料を払うことになる。

ただし、勤め先の社会保険に入る条件を満たす人は、130万円より下でも、扶養から外れて勤め先の保険に入る。逆に、従業員50人以下の会社でパートとして働く人(正社員の4分の3未満の時間)や、週20時間未満の人は、ふつうは勤め先の社会保険に入る決まりにはなっていないので、年収130万円未満なら扶養に入っていられる。どちらの壁が関係するかは、勤め先の大きさと、働く時間で決まる。

2択で、自分がどちらに当てはまるかを確かめられるようにしてみた。

🎮 2択で進む:わたしは、どっちの壁?
「はい」か「いいえ」を押して、進んでみてください(2026年10月時点)
❓ 正社員と同じくらい(正社員の4分の3以上の時間)働く?
はい ▶
🏢 勤め先の社会保険に入る
扶養からは外れる。保険料は、会社と半分ずつ。年金の上乗せ、傷病手当金、出産手当金がつく
いいえ ▶
❓ 勤め先は、従業員51人以上の会社?
はい ▶
❓ 週20時間以上で働く契約?
はい ▶
❓ 学生ではなく、2か月を超えて働く見込みがある?
はい ▶
🏢 勤め先の社会保険に入る
扶養からは外れる。保険料は、会社と半分ずつ。年金の上乗せ、傷病手当金、出産手当金がつく
いいえ ▶
❓ 働く契約の年収は、130万円以上?
はい ▶
🧾 扶養から外れて、自分で国保と国民年金に入る
保険料は全額自分で払う。会社は半分を出してくれない(130万円の壁を超えた側)
いいえ ▶
🏠 家族の扶養に入ったまま
自分の保険料は0円(130万円の壁の内側)
いいえ ▶
❓ 働く契約の年収は、130万円以上?
はい ▶
🧾 扶養から外れて、自分で国保と国民年金に入る
保険料は全額自分で払う。会社は半分を出してくれない(130万円の壁を超えた側)
いいえ ▶
🏠 家族の扶養に入ったまま
自分の保険料は0円(130万円の壁の内側)
いいえ ▶
❓ 働く契約の年収は、130万円以上?
はい ▶
🧾 扶養から外れて、自分で国保と国民年金に入る
保険料は全額自分で払う。会社は半分を出してくれない(130万円の壁を超えた側)
いいえ ▶
🏠 家族の扶養に入ったまま
自分の保険料は0円(130万円の壁の内側)
株式会社などの会社で働き、夫や妻(会社員・公務員)の扶養に入る20〜59歳の人の、おおまかな目安。扶養に入るには、相手の年収の半分未満などの条件もある。60歳以上は130万円ではなく180万円が扶養の線で、国民年金は払わなくてよい。従業員数は、社会保険に入っている人の数。従業員数の条件は2027年10月から少しずつなくなる。くわしくは勤め先や年金事務所に確認を

2. 何が変わったの?

2つ目の疑問。変わったことを、時期の順に並べた。

🔄 何が変わったのか
いつ
何が変わる
2026年4月
130万円を、実際の収入ではなく「働く契約の年収」で判定。契約にない残業で一時的に超えても、扶養から外れずにすむ
2026年10月
106万円(月8.8万円)の条件がなくなる。週20時間以上・2か月を超えて働く見込み・学生でない・従業員51人以上の会社、で加入が決まる
2027年10月〜
「従業員51人以上」の条件も、少しずつなくなる(36人以上→21人以上→11人以上→2035年10月にすべての会社)
厚生労働省「社会保険の適用拡大」、日本年金機構

106万円の条件がなくなった理由は、最低賃金だ。2026年度の最低賃金は、全国の平均で1,177円。いまは、すべての都道府県で、週20時間働けば月8.8万円を超えてしまう。年収の条件が、もう意味をなさなくなっていた。だから、10月の変更で、すぐに対象が大きく広がるわけではない。いちばん大きく変わるのは、2027年10月から小さい会社にも広がっていくほうだ。

130万円の壁のほうも、最低賃金の影響を受けている。東京の最低賃金は1,280円で、週20時間の契約だけで、年収は約133万円になる。「週20時間」と「130万円」、2つの線が、だんだん近づいているということだ。東京や神奈川の小さい会社で週20時間働く人は、勤め先の社会保険には入らないまま、130万円を超えて扶養から外れ、自分で国保と国民年金を払うことになりやすい。


3. どうしたら得で、どうしたら損なの?

ごまもち
🐾 ごまもち
はいると、そん なの?🐾
あずき
あずき
それが、人によって、ちがうみたいなんだ。

3つ目の疑問。月8.8万円(年106万円)で働く人が、社会保険に入った場合を見てみた。

⚖️ 月8.8万円(年106万円)で社会保険に入ると
目安
メモ
本人が払う保険料
年 約15万円
40歳未満の場合(40〜64歳は介護保険料が加わり、年約15.8万円)。会社も同じ額を払う
将来の年金
1年入ると、受け取る年金が、毎年5,000円あまりふえる
年収120万円で1年入ると、毎年5,900円(厚労省)
病気やけがで休んだとき
給料の約3分の2が、最長1年6か月出る
傷病手当金
出産で休んだとき
出産前後の休みのあいだ、給料の約3分の2
出産手当金
協会けんぽ東京の令和8年度の料率と、厚生労働省の試算から。年金のふえ方は、わたしが年収で按分した目安

保険料が、年に約15万円かかる。扶養に入っている人にとっては、そのまま手取りが減ることになる。

でも、そのかわりにつくものがある。将来の年金が上乗せされる。病気やけがで働けなくなったときには、給料の約3分の2が、最長で1年6か月出る。出産で休むときにも、手当が出る。そして、保険料は会社が同じ額を払ってくれる。

では、結局、得なのか損なのか。調べてわかったのは、「いま、どこに入っているか」で答えが変わる、ということだった。

🔍 得か損かは「いま、どこに入っているか」で変わる
いまの立場
いまの負担
社会保険に入ると
家族の扶養に入っている人
いま、保険料は0円
入ると、年 約15万円の負担がふえる。そのかわり、年金と手当がつく
国民健康保険と国民年金を、自分で払っている人
国民年金だけで年 約21.5万円。これに国保の保険料
入ると、会社が半分払ってくれる。負担がへって、保障はふえることが多い
国民年金の保険料は令和8年度で月1万7,920円。国民健康保険料は住んでいる地域と所得で変わる

家族の扶養に入っている人は、いまは保険料を払っていない。そのぶん、入ると負担がふえる。保険料のうち厚生年金の分(年約9.7万円)を、年金の上乗せだけで取りもどそうとすると、年金を20年近く受け取って、やっと届く計算になる。お金だけで見ると、損に感じやすい。そのかわりに手に入るのは、病気や出産で休んだときの手当という安心だ。

一方、自分で国民健康保険と国民年金を払っている人は、話がちがう。国民年金だけで、年に約21.5万円。それに国民健康保険の保険料がかかる。社会保険に入れば、会社が半分払ってくれるので、負担がへって、保障はふえることが多い。

それから、本人の負担をやわらげるしくみもある。

💡 本人の負担をやわらげる「保険料調整制度」(2026年10月から)
どこで働く人?
従業員50人以下で、新しく社会保険に加入する会社で働く人
もともと51人以上の会社は対象外
何をする
会社が、本人の保険料の一部を代わりに払える
使うかどうかは会社が決める
いつまで
最長3年間
どれくらい
給料が月8.8万円以下なら、はじめの2年間は、本人の負担がいつもの半分。3年目は、いつもの4分の3ほど
給料が月12.6万円までなら、軽くなる分は小さくなるが対象
返すの?
返さなくていい。将来の年金も減らない
お金はどこから
ほかの会社員と会社が払う保険料
税金ではない
「新しく加入する会社」は、2026年10月から自分で手を挙げた会社や、2027年10月からの拡大で対象になる会社。会社が多く払った分は、あとで会社の保険料から差し引かれる。日本年金機構「保険料調整制度とは」、衆議院 厚生労働委員会での大臣答弁(2025年5月28日)から

4. なんのための制度変更なの?

4つ目の疑問。永井さんのレポートや政府の資料を読むと、ねらいは大きく3つあるように見える。

1つ目は、「壁」で働く時間をおさえる人を減らすこと。 扶養の線を超えないように、働く時間を調整する人がいる。人手が足りない時代に、働きたい人が時間をおさえるしかない状況を、変えたいということだ。最低賃金が上がって、106万円の線がもう意味をなさなくなっていたことも、背中を押した。政府は、最低賃金を、遅くとも2030年代前半に全国平均1,500円にする目標も出している。

2つ目は、短い時間で働く人の、老後と「もしも」を手厚くすること。 国民年金だけだと、もらえる年金は基礎年金だけになる。厚生年金に入れば、そこに上乗せがつく。病気や出産で休んだときの手当もつく。

3つ目は、働き方によって、守られ方が変わらないしくみにすること。 会社員か、パートか、どの会社で働くかで、入れる保険がちがう。それを少しずつそろえていく、という流れだ。扶養されている配偶者の年金のしくみ(第3号被保険者)も、次の年金の法改正までに見直しの結論を出すことになっている。どう変わるかは、まだ決まっていない。


5. わたしの見方

学んで考えなければ、ぼんやりして身につかない。
考えるだけで学ばなければ、あやうい。
『論語』為政篇

孔子の言葉だ。学ぶだけでも、考えるだけでもだめで、両方そろって、はじめて自分のものになる、という意味だ。

フリーランスのわたしは、国民健康保険と国民年金を、全額自分で払っている。だから、会社が保険料を半分負担してくれるのは、うらやましい。病気で休んだときの手当や、厚生年金の上乗せまで含めた手厚さは、フリーになって、すごいと感じるようになった。

わたしのまわりには、壁を気にして働いている人はいない。それでも、なんのための制度変更なのかは、勉強しておきたいと思った。少しでも関係がある方にとって、プラスの情報になったらうれしい。


6. まとめ

🐾 この記事のまとめ
  • パートの「106万円の壁」が、2026年10月1日になくなった。いまは週20時間以上などの条件で、社会保険に入るかが決まる
  • 130万円の壁(扶養から外れる線)は残っている。4月から、働く契約の年収で判定するようになった
  • 「従業員51人以上」の条件も、2027年10月から少しずつなくなり、2035年10月にはすべての会社が対象になる
  • 扶養に入っている人は、入ると手取りが年約15万円減る(月8.8万円の場合)。そのかわり、年金の上乗せ、傷病手当金、出産手当金がつく
  • 得か損かは、いま扶養に入っているか、自分で国保と国民年金を払っているかで変わる
  • 理由は、最低賃金の上昇、人手不足、働き方に関係なく守られるしくみづくり
  • フリーランスのわたしには、会社が保険料を半分払ってくれるのがうらやましい。手厚さも、フリーになってすごいと感じる
📚 参考にした情報源 ・起点の記事:ニッセイ基礎研究所 永井啓夫「『106万円撤廃』と『130万円緩和』で変わるパート雇用」(TBS CROSS DIG、2026年10月11日)、元のレポート:ニッセイ基礎研究所(2026年9月24日)
・106万円の壁の撤廃:日本年金機構、厚生労働省の通知
・従業員数の条件の日程:厚生労働省「社会保険適用拡大 特設サイト」
・130万円の判定の見直し:日本年金機構(2026年5月1日)
・最低賃金:厚生労働省「令和8年度 地域別最低賃金」
・最低賃金1,500円の目標:「経済財政運営と改革の基本方針2026」(2026年7月21日閣議決定)の抜粋
・保険料:協会けんぽ 東京支部 令和8年度の保険料額表
・年金がふえる額:厚生労働省 特設サイト
・保険料調整制度:日本年金機構、財源についての国会答弁:衆議院 厚生労働委員会(2025年5月28日)
・第3号被保険者の見直し:「給付付き税額控除」の制度導入の基本方針(2026年8月5日閣議決定)
・税の178万円:財務省
・格言:『論語』為政篇「学而不思則罔、思而不学則殆」。訳はわたし
⚠ 免責事項 この記事はあずき個人の勉強の記録です。保険料や年金の額は目安で、年齢、住んでいる地域、勤め先の健康保険によって変わります。くわしくは勤め先や年金事務所、自治体に確認してください。

関連記事

TAGS#ニュース解説#フリーランス#家計・資産管理
この記事をシェア
🐾 関連記事
「国保逃れ」で1万1,610人が資格を失った。わたしも検討した保険料の抜け道は、なぜ閉じられたのか
ニュース
「国保逃れ」で1万1,610人が資格を失った。わたしも検討した保険料の抜け道は、なぜ閉じられたのか
国民年金の納付率は85.6%で過去最高。でも原典を開いたら、第1号の4割は免除か猶予だった
フリーランス
国民年金の納付率は85.6%で過去最高。でも原典を開いたら、第1号の4割は免除か猶予だった
フリーランスのサイドFIRE 完全ロードマップ。貯金500万から7年でたどり着いた全ステップ
サイドFIRE
フリーランスのサイドFIRE 完全ロードマップ。貯金500万から7年でたどり着いた全ステップ
「フリーランスは社会的信用がない」は本当か。クレカ・賃貸・ローンの審査、4年目の答え合わせ【フリーランスの後悔②】
フリーランス
「フリーランスは社会的信用がない」は本当か。クレカ・賃貸・ローンの審査、4年目の答え合わせ【フリーランスの後悔②】