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個人の金融資産が1年で251兆円増えた。そのうち、新しく入ったお金は25兆円だった
ニュース2026-09-19📖 約14分で読めます

個人の金融資産が1年で251兆円増えた。そのうち、新しく入ったお金は25兆円だった

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ごまもち
🐾 ごまもち
にほんの みんなの おかねが、1ねんで 251ちょうえん ふえたんだって。みんな、そんなに ちょきんしたの?🐾
あずき
あずき
ちょきんじゃなかったの。数えてもらったら、新しく入ったお金は1割だった。

9月17日、日銀が「資金循環統計」を発表した。日本中の個人が持っている金融資産(預金、株、投資信託、保険など)を、3か月ごとに合計している統計だ。6月末の残高は2,519兆円で過去最高。初めて2,500兆円を超え、1年前より251兆円、11%増えた。ニュースを見て、こう思った人もいるはずだ。

😊「みんな、そんなに投資を始めたんだ」
🤔「1年で251兆円って、どこから出てきたお金?」
😤「うちは全然増えてないけど」
🏠「現金・預金が44.9%まで下がったって、みんな預金をおろしたの?」

わたしが気になったのは、2つ目だ。増えた251兆円は、給料などから新しく入ったお金なのか。それとも、前から持っていたものが値上がりしただけなのか。同じ「増えた」でも、意味がまるで違う。

結論から言うと、251兆円のうち、新しく入ったお金は25兆円。残りの226兆円は値上がりだった。割合にすると1対9。トヨタやNTTのような個別株にいたっては、新しく入るどころか、個人が売った額のほうが買った額より5兆円多かった。一方で、オルカンのような投資信託には、新しく入ったお金の半分以上が向かっている。つまり、答えは2つある。「みんなの資産が増えたのは、投資にお金を入れたから?」と聞かれたら、答えは「いいえ、ほとんどは株が上がったから」。「みんな、預金より投資にお金を回すようになった?」と聞かれたら、答えは「はい、それは本当」。順番に見ていく。


1. ニュースになった数字

🏦 個人の金融資産、2026年6月末
残高
1年前より
全体の中の割合
現金・預金
1,132兆円
+0.5%
44.9%
保険・年金
586兆円
+3.2%
23.3%
株式など
486兆円
+47.0%
19.3%
投資信託
193兆円
+36.8%
7.7%
国債・社債など
38兆円
+15.5%
1.5%
その他
85兆円
+21.8%
3.4%
合計
2,519兆円
+11.0%
100%
日本銀行「2026年第2四半期の資金循環(速報)」参考図表(2026年9月17日)から。残高は、6月末の時点で持っている金額の合計。保険・年金は、生命保険や個人年金、会社の年金の積立金など

株が47%増、投資信託が37%増。現金・預金は0.5%しか増えず、全体に占める割合は44.9%まで下がった。この表だけを見ると、「みんなが預金から株や投資信託にお金を移した」と読める。

でも、この表は残高(その時点で持っている金額)だ。残高が増える理由は2つある。新しくお金を入れたか、持っているものが値上がりしたか。100万円の株を持っている人が、何もしないまま株が150万円になっても、残高は50万円増える。


2. 251兆円を、「新しく入ったお金」と「値上がり」に分ける

日銀の統計には、残高のほかに2つの数字が載っている。ひとつは取引額。その期間に、買った額から売った額を引いたものだ。この記事では「新しく入ったお金」と呼ぶ。預金をおろして投資信託を買った場合は、預金がマイナス、投資信託がプラスになり、合計は変わらない。合計が増えるのは、給料などから新しくお金が回ってきたときだけだ。もうひとつは調整額。残高の増え方と取引額の差で、日銀は「価格変化などによる変化分」と説明している。ほとんどが値上がり、値下がりのぶんなので、この記事では「値上がり」と呼ぶ。

1年ぶん(2025年7月から2026年6月)を、クロちゃん(わたしが使っているAI、Claude)に足してもらった。

🔍 1年で増えた251兆円の中身
増えた額
新しく入ったお金
値上がり
株式など
+155兆円
−5兆円
+160兆円
投資信託
+52兆円
+14兆円
+38兆円
保険・年金
+18兆円
+1兆円
+16兆円
現金・預金
+5兆円
+5兆円
0
国債・社債など
+5兆円
+6兆円
−1兆円
その他
+15兆円
+4兆円
+11兆円
合計
+251兆円
+25兆円
+226兆円
日本銀行 時系列統計データ(資金循環、家計)の取引額と調整額を、2025年7〜9月期から2026年4〜6月期まで4期ぶん足した。1兆円未満は四捨五入なので、足しても合計と合わない行がある。保険・年金の値上がりは、保険会社や年金が運用している資産の値上がり。国債・社債のマイナスは、金利が上がって値段が下がったぶん。クロちゃんに計算してもらった

251兆円のうち、新しく入ったお金は25兆円で1割。値上がりが226兆円で9割だった。オルカンやS&P500の積立は、この表では「投資信託」の行に入る。

いちばん驚いたのは株の行だ。残高は155兆円も増えたのに、新しく入ったお金はマイナス5兆円。個人は1年を通して、株を買った額より売った額のほうが多かった。それでも残高が47%増えたのは、持ち続けていた株が値上がりしたからだ。日経平均は、1年前の6月末が40,487円。今年の6月末は70,062円。1年で7割上がっている。

1つ目の声、「みんな、そんなに投資を始めたんだ」への答えは、残高で見るかぎり、少し違う。残高が増えたのは、始めた人が増えたからというより、前から持っていた人の資産が値上がりしたからだ。


3. 「株式など486兆円」の半分近くは、上場していない会社の株

もうひとつ、内訳を見て分かったことがある。「株式など」486兆円の中身だ。

486兆円は、個人が、自分の名前で直接持っている株の合計だ。オルカンのような投資信託を通して持っている株は、ここではなく「投資信託」の193兆円のほうに入っている。会社や銀行、外国の投資家が持っている株も入っていない。「など」が付くのは、株のほかに、会社への出資金が少し含まれるからだ。

📂 「株式など」486兆円の内訳
上場株式 253兆円。証券会社で買える、ふつうの株
非上場株式 222兆円。上場していない会社の株。社長や家族が持つ、自分の会社の株など
その他の持分 11兆円。株式会社ではない会社などへの出資
日本銀行 時系列統計データ(資金循環、家計、2026年6月末)。非上場株式は市場で売り買いされないので、値段は日銀の推計

222兆円は、売り買いの値段がついていない株だ。日銀が、似た業種の上場会社の株価などから推計している。上場株が上がると、この推計値も上がる。この1年の値上がりは、上場株式が+74兆円、非上場株式が+85兆円。値上がり226兆円のうち4割近く(226兆円のうちの85兆円)は、市場で値段がついていない株の、推計値が上がったぶんだった。

3つ目の声、「うちは全然増えてないけど」は、統計のほうとも合っている。増えた251兆円の6割は「株式など」のぶんで、そのうち半分は、上場していない会社の株の推計値だ。


4. 現金・預金の割合が下がったのは、預金が減ったからではない

4つ目の声、「みんな預金をおろしたの?」。おろしていない。現金・預金は1年で5兆円増えている

割合が下がった理由は、割り算の分母にある。現金・預金の割合は、現金・預金を資産の合計で割った数字だ。株が値上がりして合計がふくらむと、預金が1円も減らなくても、割合は下がる。

➗ 現金・預金の割合を、値上がりがなかったとして計算し直す
1年前(2025年6月末) 1,126.4兆円 ÷ 2,268.5兆円 = 49.7%
いま(2026年6月末) 1,131.6兆円 ÷ 2,519.1兆円 = 44.9%
もし値上がりがゼロだったら 1,131.6兆円 ÷(2,268.5兆円+新しく入ったお金25.0兆円)= 49.3%
日本銀行 時系列統計データから。3行目は、値動きをなかったことにした仮の計算。ポイントの差は、丸める前の数字(49.65、44.92、49.34)で計算している。クロちゃんに計算してもらった

1年で4.7ポイント下がった(%どうしの差を「ポイント」と呼ぶ)。そのうち、新しいお金が預金以外に多く向かったことで下がったのは0.3ポイント。残りの4.4ポイントは、株と投資信託が値上がりして、分母が大きくなったぶんだった。

逆に、株が下がれば、誰も何もしなくても、この割合は上がる。現金・預金の割合は、みんなが何をしたかより、株価で動く数字だ。


5. それでも、新しいお金の行き先は変わっている

ここまでだと、「貯蓄から投資へ、は見かけだけ」に聞こえるかもしれない。そうではない。新しく入ったお金の行き先を、1月から12月までの1年ごとに見ると、はっきり変わっている。

🧭 1年間に新しく入ったお金の行き先(兆円)
現金・預金
投資信託
国債
2020年
+49.3
+0.8
−0.1
2022年
+23.1
+5.5
−0.1
2023年
+11.2
+4.6
+0.8
2024年(新NISA開始)
+6.7
+10.7
+1.6
2025年
+5.3
+10.6
+3.4
2026年(6月まで)
−8.3
+8.7
+3.6
日本銀行 時系列統計データ(資金循環、家計)の取引額を、1〜12月で足した。国債は「国債・財投債」。2021年は省いた。2026年は1〜6月の半年ぶん。現金・預金は、ほぼ毎年1〜3月に減って10〜12月に大きく増えるので、半年だけだとマイナスに出る(2025年の1〜6月も−8.3兆円だった)。クロちゃんに計算してもらった

2020年は、新しいお金のほとんどが預金に入っていた。コロナの給付金があった年だ。それが2024年、新NISA(税金がかからずに投資できる枠が、大きく広がった制度)が始まった年に、投資信託が預金を上回った。2007年以来、17年ぶりのことだ。2025年は投資信託が預金の2倍。今年は半年で8.7兆円と、去年1年ぶんに迫っている。

もうひとつ増えているのが国債だ。半年で3.6兆円は、去年1年ぶんをもう超えた。個人向け国債の利率が過去最高になった時期と重なっている。

つまり、こういうことだ。

💡 「貯蓄から投資へ」を、2つのものさしで測ると
残高で測ると 増えた251兆円の9割は値上がり。株価が下がれば、逆向きに動く数字
お金の行き先で測ると 2章で見た1年(2025年7月〜2026年6月)に新しく入った25兆円のうち、14兆円が投資信託へ。こちらは、人が動いた数字
14兆円は、2025年7〜12月の5.0兆円と、2026年1〜6月の8.7兆円を足した数字。上の表は1月から12月で区切っているので、2025年の10.6兆円や2026年の8.7兆円とは、切り取る期間が違う

6. わたしの資産も、同じ形をしていた

ごまもち
🐾 ごまもち
あずきの おかねは、どっちで ふえたの?🐾
あずき
あずき
わたしも、値上がりのほうが多かったの。入れたのは、4割くらい。

6月に書いた資産推移の記事で、同じ分け方をしている。証券口座の残高は、2021年8月から2025年末までで3,585万円増えた。中身は、自分で入れたお金が約1,555万円、値上がりが約2,030万円。入れたお金が4割、値上がりが6割だった。

この期間のわたしは、毎月の積立に加えて、退職金なども入れていた。それでも、値上がりのほうが多い。日本全体とは期間も中身も違うので、割合をそのまま比べるつもりはない。同じなのは、形のほうだ。増えたぶんの多くは、自分が働いて入れたお金ではなく、持ち続けているあいだに市場が運んできた。日本全体でも、わたしの口座でも、そうだった。

💡 251兆円の中身から、わたしが受け取ったこと、3つ
① 値上がりを受け取れるのは、持っていた人だけ
226兆円は、この1年に何かをした人ではなく、前から持っていた人のところに届いた。始めたばかりの人にまだ届いていないのは当たり前で、遅れているわけではない
② 値上がりで増えた数字は、値下がりで減る
9割が値上がりなら、相場が下がった年には、同じ統計で「個人の金融資産が減った」と伝えられる
③ 自分の口座で見るなら、残高より「入れたお金」
自分で決められるのは、入れる額と、続けるかどうかだけ。値動きは決められない
わたしに大きなお金をもたらしたのは、考えることではなかった。いつも、じっと座っていることだった
It never was my thinking that made the big money for me. It always was my sitting.
エドウィン・ルフェーブル『欲望と幻想の市場』(1923年)

100年前のアメリカの相場師(株の売り買いで生きていた人)、ジェシー・リバモアをモデルにした小説の一節だ。主人公は、何百万ドルも儲けては失ったあとで、こう振り返る。相場の先を正しく読めた人は大勢いた。でも、読んだうえで座っていられた人は、ほとんどいなかった、と。

わたしは相場師ではないし、先を読むこともできない。できるのは、入れ続けることと、座っていることだけだ。


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値動きは決められない。決められるのは、入れる額と、続けること。オルカンの積立も、BND(米国債券ETF)も、日本の高配当株119銘柄も、8年以上SBI証券の口座です。

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7. まとめ

🐾 この記事のまとめ
  • 日銀の発表で、個人の金融資産は6月末に2,519兆円。1年で251兆円増え、過去最高
  • 増えた251兆円のうち、新しく入ったお金は25兆円(1割)、値上がりが226兆円(9割)
  • 株は残高が155兆円増えたのに、個人は1年で、売った額のほうが5兆円多かった。「株式など」486兆円のうち222兆円は、上場していない会社の株の推計値
  • 現金・預金の割合が49.7%→44.9%に下がったのは、預金が減ったからではない。値上がりがなければ49.3%だった
  • 一方、新しいお金の行き先は変わった。2024年に投資信託が預金を17年ぶりに上回り、国債も増えている
  • 値上がりは、持ち続けた人にだけ届く。わたしが決められるのは、入れる額と、続けることだけ
📚 参考にした情報源 ・残高と前年比:日本銀行調査統計局「参考図表 2026年第2四半期の資金循環(速報)」(2026年9月17日)。調整額の説明「価格変化などによる変化分」は同資料の図表3-2の注
・報道:時事通信「個人金融資産、2519兆円 6月末、株価高騰で過去最高 日銀」(Yahoo!ニュース、2026年9月17日)
・日経平均:Yahoo Financeの終値(2025年6月30日 40,487円、2026年6月30日 70,062円)
・新しく入ったお金(取引額)と値上がり(調整額)、株式などの内訳、年ごとの行き先(1998年以降で、投資信託が預金を上回った年は2000年、2005〜2007年、2024年、2025年):日本銀行 時系列統計データ検索サイトの資金循環(家計)。系列は、合計 FOF_FFAS(残高)/FFAF(取引額)/FFAR(調整額)430A900、現金・預金 A100、債務証券 A300、国債・財投債 A311、投資信託 A318、株式等 A330、上場株式 A331、非上場株式 A332、保険・年金 A400。速報値で、あとから改定されることがある。足し算と割り算はクロちゃん(Claude)に計算してもらった
・わたしの数字:6月24日の記事(SBI証券の口座、2021年8月〜2025年末)
・言葉:Edwin Lefèvre, "Reminiscences of a Stock Operator"(1923年)第5章。邦題は『欲望と幻想の市場』。訳はわたし
⚠ 免責事項 この記事はあずき個人の考えと保有の記録であり、特定の金融商品の売買を推奨・勧誘するものではありません。数字は日本銀行の公表データからClaude(クロちゃん)に計算してもらった目安で、速報値のためあとから改定されることがあります。将来の株価や資産の増減を予想するものではありません。投資の判断は、必ずご自身の判断と責任で行ってください。

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