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お金で「待ち時間」を買う時代。わたしが時間を買っているのは、道具だった
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お金で「待ち時間」を買う時代。わたしが時間を買っているのは、道具だった

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ごまもち
🐾 ごまもち
おかねを はらうと、ならばなくて いいの?🐾
あずき
あずき
そうみたい。お店だけじゃなくて、病院にも広がっているんだって。

お金持ちは、お金を使うのが上手。わたしには、そんなイメージがある。払うべきものには払って、払わなくていいものには払わない。それを、いちいち計算するのではなく、自然とやっている。言葉にすると、「時間単価」という考え方なのかもしれない。

10月10日、TBS CROSS DIGに、ニッセイ基礎研究所の廣瀬涼さんが書いた「時間を買う」話のレポートが載っていた。飲食店や病院で、追加料金を払えば待たずに済む「有料ファストパス」が広がっている、という話だ。

🎟「有料ファストパスって、何を買っているの?」
🧮「時間単価って、どうやって考えるの?」
🛠「わたしは、何にお金を払って時間を買っている?」
✈️「お金持ちは、どうやって時間を買っている?」

先に、わたしの答えを書いておく。わたしが時間を買っているのは、行列よりも、毎日使う道具だった。仕事が速く正確になるものや、便利になるものには、お金をかける。待つことにお金を払うかどうかは、そのときの状況しだいだ。

順番に見ていく。


1. 有料ファストパスって、何を買っているの?

まず、レポートに出てくる例から。

🎟 広がる「有料ファストパス」
どこで
しくみ
くわしく
飲食店
(飲食店向けのサービス「SuiSui」)
追加料金で、行列に並ばず優先して入店
約70店が導入、利用者は累計4万人超。20〜40代が約9割
整形外科の例
予約料4,400円
受付後10分以内の診察開始を目指して、優先して診る
ニッセイ基礎研究所・廣瀬涼さんのレポート(2026年10月1日、TBS CROSS DIG 10月10日掲載)から。医療上の緊急性が高い人は、これとは別に最優先される

レポートによると、ここで買っているのは、よりおいしい料理でも、より高度な診療でもない。だれもが同じように待っていた「待ち時間」を、短縮する権利だ。待てば1円もかからないのに、その権利に値段がついている。

廣瀬さんは、もう一歩ふみこんで書いている。時間そのものを、お金で増やせるわけではない。お金で省いているのは、移動する、待つ、作る、といった「手間」のほうだ。フードデリバリーや掃除の代行も、これと同じ。

もう1つ、気になる指摘もあった。これまで行列は、お金があってもなくても同じように並ぶ、ある意味で平等なしくみだった。お金で待ち時間を短縮できるようになると、お金の差が、そのまま「時間の差」になるかもしれない、という見方だ。

考えてみれば、花火大会の場所取りもそうかもしれない。ひと昔前は、朝から場所を取って、いい場所で花火を見るのがふつうだった。いまは、いい席が有料の観覧席として売られていることが多い。お金を払えば、何時間も前から並ぶ必要はない。


2. 時間単価って、どうやって考えるの?

2つ目の疑問。お金で時間を買うかどうかを決めるとき、ものさしになるのが「時間単価」、つまり自分の1時間の値段だ。わたしは、リベ大の両学長の発信で、これをより意識するようになった。

🧮 時間単価の出し方(両学長の考え方)
例
ポイント
月の収入
30万円
手当・残業代・ボーナスの月割りも入れる
月にかかる時間
200時間
働く160時間+通勤40時間。身支度などの時間があれば、それも足す
1時間の値段
1,500円
30万円 ÷ 200時間
リベ大「お金持ちになる時間単価の考え方」(2018年)の例をもとに、わたしがまとめたもの

ポイントは、働いている時間だけでなく、通勤や身支度の時間も入れること。同じ月給でも、残業や通勤が長い人ほど、1時間の値段は安くなる。

1時間の値段がわかると、いろいろなものの損得を、数字で比べられるようになる。両学長の動画に出てくる例で、計算してみた。

🔍 1時間の値段がわかると、見えてくること
場面
計算すると
15万円のPCで、作業が1日30分早くなる
1年(240日)で120時間。
1,500円×120時間で約18万円分。1年で元がとれる
家賃が月2万円安い代わりに、通勤が片道30分のびる
月20日の通勤なら、月20時間ふえる。
2万円÷20時間で1時間1,000円で時間を売っている
時給2,000円で3時間の仕事。でも、行き帰りと準備に2時間
2,000円×3時間÷5時間で、
本当の時給は1,200円
数字は、リベ大の両学長の動画に出てくる例

まず、道具。高い道具を買うとき、値段だけを見ると迷う。でも、浮く時間をお金に直すと、意外と早く元がとれることがわかる。計算してみると、いい道具にお金をかける理由が、数字で見えてくる。

次に、住む場所。家賃の安さだけで遠くに住むと、自分の時間を、思ったより安い値段で売っていることがある。往復1時間40分(神奈川県の平均)の通勤を40年続けたとして、1日8時間労働に直すと、約8年分の労働時間になるという話もある。毎日くり返す時間ほど、見直したときの効き目は大きい。

最後に、見た目の時給。時給が高く見える仕事でも、行き帰りや準備の時間まで入れると、本当の時給は下がる。逆に言えば、待ち時間や移動時間に仕事ができるなら、そのぶん本当の時給は上がる。

ただ、時間単価だけでなんでも決めてしまうと、見えなくなることが2つある。

1つは、自分の成長や自己投資は、時間単価では考えにくいことだ。勉強や読書、新しい仕事は、始めたばかりのころは、ほとんどお金にならない。いまだけで考えると、手を出せなくなる。でも、あとから1時間の値段を大きく上げてくれるのは、そういう時間だったりする。

もう1つは、時間では測れない価値、プライスレスな経験や体験だ。親孝行、友人との時間や食事、旅行などを、1時間いくらで測ると、大事なものを見落としてしまう。時間単価は、損得を比べるためのものさしの1つにすぎない。


3. わたしは、何にお金を払って時間を買っている?

ごまもち
🐾 ごまもち
あずきは、なにに おかねを はらってるの?🐾
あずき
あずき
いちばんは、毎日つかう道具かな。

3つ目の疑問。並べてみると、お金で時間を買っているのは、ほとんどが道具だった。

🛠 わたしが、お金で時間を買っているもの(1時間1,500円で計算)
🧺 全自動のドラム式洗濯機
干す・取りこむがいらない。天気や時間帯を考えずに、洗いたいときに洗える。
1年で浮く時間
干すだけで約79時間
お金に直すと
約12万円分
🤖 AI
いつでも、どこでも相談できる。24時間対応の秘書がいる感覚。
人を雇うと
時給1,500円で月160時間
かかるお金
月24万円
💻 最新のiPhoneとPC
動画の編集や書き出し(エンコード)が速く、待ち時間がへる。ひとつひとつの動作も快適で、ストレスがない。
1年で浮く時間
1日30分早くなれば約120時間
お金に直すと
約18万円分
🖥 デュアルモニター
画面を切り替える手間がへる。作業が速く、間違いもへる。
1年で浮く時間
1日6時間の作業が7%速くなれば約100時間
お金に直すと
約15万円分
🪑 いい椅子
長く座っても疲れにくく、集中が続く。
10年で座る時間
約1万9,200時間
1時間あたりの費用
約10円(20万円の場合)
洗濯機は、洗濯物を干すのに1回平均13分、毎日なら年約79時間という大阪ガスのアンケート(2020年)から。干す時間だけで、取りこむ時間は入れていない。PCは2章の例。デュアルモニターは、画面を2枚以上にすると作業が7%速くなったというユタ大学の実験(2004年)を、1日6時間・年240日に当てはめたわたしの計算。椅子は仮に20万円とした場合。どれも目安

たとえば、ドラム式洗濯機があれば、天気や時間帯を考えずに、いつでも洗濯できる。もちろん、干す手間もない。洗濯のことを考えなくていいので、頭が空く感じがする。

AIは、いつでもどこでも相談できる。たとえば会社なら、上司や部下に、夜中に相談することはできない。わたしにとってAIは、24時間対応してくれる優秀な秘書を雇っている感覚だ。

しかも、本当に秘書を雇うのと比べると、ずっと安い。仮に時給1,500円で、人に月160時間働いてもらうと、それだけで月24万円になる。夜中や休日に相談しようと思ったら、もっとかかる。それに、ほとんどの人より賢くて、知識も豊富となると、時給5,000円でも雇えないと思う。

デュアルモニターについては、おもしろいデータがある。ユタ大学の実験(2004年)では、画面を2枚以上にすると、資料を直す作業が7%速くなり、間違いは33%へった。モニターなどのメーカーがお金を出した実験なので、少し割り引いて見たほうがいいけれど、わたしの実感にも近い。

いい椅子は、オフィス家具のオカムラの記事にも書いたとおり、ずっと気に入って使っている。これも、時間に直してみるとわかりやすい。仮に20万円の椅子を、1日8時間、年240日、10年使うとする。座る時間は、全部で約1万9,200時間。1時間あたりにすると、約10円だ。腰や肩の疲れがへって、仕事に集中できる時間がのびるなら、十分に元がとれると思う。

では、行列はどうか。なんでもかんでもファストパス、とはならないかもしれない。でも、お金に余裕があるなら、待たないほうがいいに決まっている。特に、外で長い時間、何もできずに待つのは、時間がもったいないと感じる。

ただ、わたしの場合、PC1台である程度、仕事ができる。Wi-Fiがあって椅子がある場所なら、待つのもそれほど苦にならない。お金を払って待ち時間を短縮するか、待つ時間を使うか。そのときの状況によるのかもしれない。


4. お金持ちは、どうやって時間を買っている?

4つ目の疑問。お金持ちの時間の買い方で、わかりやすいのは移動だと思う。たとえば、飛行機のファーストクラス。わたし自身は乗ったことがないけれど、ファーストクラスなら、乗る前はラウンジで快適に仕事ができる。機内でも、まわりを気にせず作業をしたり、足を伸ばして眠ったりできる。移動のあいだに体を休めて、着いた先でいい仕事をする。自由度が、まるでちがう。

タクシーもそうだ。家から目的地まで、移動しながら電話やPCの作業ができる。乗り換えも、満員電車のストレスもない。時間単価が5,000円の人なら、タクシーで10分早く着くだけで、約830円分の時間を取りもどしたことになる。移動中に仕事ができれば、その分も上乗せされる。

時間単価が高いことが前提にはなるけれど、そうやって自分が働いて稼ぐことに集中するのは、合理的だと思う。

これは、お金持ちだけの話ではない。ふつうの家庭でいえば、時短家電を買うお金を惜しんで、結局、自分の時間を安売りして疲れてしまうことがある。洗濯機、掃除機、食洗機。パナソニックの試算では、食洗機を手洗いの代わりに使うと、1人暮らしでも年に約69時間、2〜3人の家族なら約165時間が浮く。道具にまかせて空いた時間で、暮らしを豊かにする選択は、思っている以上にあるのかもしれない。


5. わたしの見方

時間は、いちばん足りない資源だ。
時間を管理できなければ、ほかの何も管理できない。
ピーター・ドラッカー『経営者の条件』

経営学者のドラッカーが、仕事で成果を出す人について書いた本の言葉だ。お金は増やせるけれど、時間は、だれにとっても1日24時間しかない。

有料ファストパスは、その24時間の中の「待つ時間」を、お金で買えるようにした。こういうしくみは、これから増えるかもしれない。お金の差が時間の差になる、という見方もわかる。でも、時間を買う方法は、待ち時間を短縮することだけではない。洗濯機や食洗機のように、多くの家庭で手が届く道具で手間を減らすことでも、自由に使える時間は作ることができる。わたしが、行列よりも毎日使う道具で時間を買っているのも、同じ考え方だ。

もう1つ大事なのは、空いた時間の使い道だ。全部をお金に変える必要はない。しっかり眠る、ごまもちと散歩する、家族や友人と過ごす。何に使うかを自分で自由に決められる。それが、時間を買ういちばんの価値なのかもしれない。


6. まとめ

🐾 この記事のまとめ
  • 飲食店や病院で、追加料金を払えば待たずに済む「有料ファストパス」が広がっている
  • 買っているのは時間そのものではなく、待つ・移動するといった手間を省くこと。お金の差が時間の差になる、という見方もある
  • ものさしは時間単価。通勤や身支度の時間も入れて、自分の1時間の値段を出すと、道具や住む場所の損得が数字で見える
  • ただし、自己投資や、親孝行・友人との時間のようなプライスレスな体験は、時間単価では測りにくい
  • わたしが時間を買っているのは、ドラム式洗濯機、AI、最新のiPhoneとPC、デュアルモニター、いい椅子
  • 待つことにお金を払うかは状況しだい。Wi-Fiと椅子があれば、待つ時間も仕事に使える
  • ふつうの家庭でも、時短家電で時間は買える。大事なのは、空いた時間を何に使うかを自分で決めること
📚 参考にした情報源 ・有料ファストパス:ニッセイ基礎研究所 廣瀬涼「『待つのは損』の時代へ?飲食店や医療機関に広がる『有料ファストパス』の正体」(TBS CROSS DIG with Bloomberg、2026年10月10日)、元のレポート:ニッセイ基礎研究所「『待たない』を買う人々」(2026年10月1日)
・時間単価の考え方:両学長 リベラルアーツ大学「第1回 お金持ちになる時間単価の考え方」(2018年)、同「通勤に8年分の労働時間を使ってるってホント!?」、同「成功を遠ざける『時給思考』の5つの罠」
・家事の時間:大阪ガス「乾太くん」(洗濯物を干す時間のアンケート、2020年11月)、パナソニック「手洗いVS食洗機 節約シミュレーション」
・デュアルモニター:Colvin, Tobler, Anderson "Productivity and Multi-Screen Computer Displays", Rocky Mountain Communication Review(2004年。ATI、NEC/三菱が資金を提供)
・格言:Peter F. Drucker, "The Effective Executive"(1966年)。原文は「Time is the scarcest resource, and unless it is managed nothing else can be managed.」訳はわたし
⚠ 免責事項 この記事はあずき個人の考えと記録です。特定の商品やサービスをすすめるものではありません。

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