harukamuyharukamuy
TOPinvestmentことら送金って増えてきたよね、で調べてみたら『銀行 vs PayPay』の壮絶な戦いが見えてきた話
ことら送金って増えてきたよね、で調べてみたら『銀行 vs PayPay』の壮絶な戦いが見えてきた話
investment2026-05-18📖 約10分で読めます

ことら送金って増えてきたよね、で調べてみたら『銀行 vs PayPay』の壮絶な戦いが見えてきた話

ごまもち
🐾 ごまもち
ことらって、なに?ねこのなまえ?🐾
あずき
あずき
銀行間でお金を送るサービスだよ。実は銀行の生存戦略らしい——という話。

最近、カフェや飲み会で 「あとで、ことらで送るね」 と言われる場面が増えてきた。最初は「ことらってなに?」と思ったけれど、わたしは効率化やキャッシュレス系で 「知らないこと」がちょっと悔しい性格。同じ場にいる人が当たり前のように使っているサービスを自分が知らないというのが地味にモヤッとしたので、すぐにスマホで調べて、自分の銀行口座(住信SBIネット銀行)で受取設定してみた。

ここまでは個人的な小さな出来事。でも調べていくと、これが 日本の決済インフラの主導権争い という、想像以上に大きな話だった。今日は 「ことら送金」を入り口に見えてきた、お金の未来の話 を書いてみる。


1. そもそも「ことら送金」って何?

ざっくり言うと、

銀行口座から銀行口座へ、10万円以下なら手数料無料で即時送金できるサービス

電話番号やメールアドレスを使って、相手の銀行情報を知らなくても送金できる(相手も対応銀行で設定していれば)。割り勘やちょっとした立替の精算にちょうどいい。

📊 ことら送金のいま(2025-2026年)
認知度28.7%(2025年MMD研究所調査)
利用経験10.2%(同調査)
累計送金額8ヶ月で +1兆円(加速中)
対応銀行メガバンク・地銀・ネット銀行(住信SBIネット銀行も対応)

実際に住信SBIネット銀行で受取設定してみたら、思ったより簡単だった。アプリの設定画面で「ことら送金」をオンにして、電話番号を紐付けるだけ。PayPayと違って残高管理がいらない(銀行口座から直接送られる)のがシンプルでいい。

ただし注意点も:

  • 相手も対応銀行で設定していないと電話番号送金は使えない
  • 受取設定の方法は 銀行ごとに微妙に違う
  • 一回あたりの上限は 10万円

使うための「事前確認」(住信SBIネット銀行の場合)

ちなみに住信SBIネット銀行の場合は、こんな事前条件がある(他の銀行も似たような条件があるはず)。

✅ 住信SBIでことら送金を使う前にチェック
□ 住信SBIネット銀行アプリをインストール済み
スマート認証NEOの登録が完了している(必須)
□ 個人口座であること(法人・個人事業主向け口座、SBIレミット支店・ひめぎん支店は対象外)
※「個人事業主は対象外」は屋号付き事業用口座のこと。フリーランスでも普通の個人名義口座なら利用可

※ スマート認証NEOとは: 住信SBIネット銀行のスマホアプリを使った本人認証システム。ログインや振込・送金などの取引時に、スマホアプリでワンタップ承認するしくみ(従来のSMS認証・パスワード入力の代わり)。セキュリティ強化と操作の簡略化を兼ねた仕組みで、住信SBIではログイン・振込・カード設定変更など多くの場面で必須。ことら送金以外でも使うので、入れていない人は先に登録しておくのが吉。


2. でも正直「ことら」って誰得?

ここで素朴な疑問が浮かんだ。

個人間送金、もうPayPayやLINE Payでできてるよね?

実際、わたしも友人とのちょっとしたやり取りはPayPayがメイン。認知度28.7%という数字も「まだまだ少数派」を物語っている。

しかも:

  • 相手も設定していないと使えない → ハードル高い
  • アプリ内の動線も銀行アプリ任せで分かりにくい
  • PRも控えめで、テレビCMで「ことら」を見たことがない人がほとんど

なんで銀行界はわざわざこんなサービス作ったの? PayPayがあるんだから別にいいのでは?」と思った。

ここから、調べる旅が始まった。

ごまもち
🐾 ごまもち
PayPayでよくない?🐾
あずき
あずき
わたしもそう思った。でも調べたら、銀行側にはこれを作る切実な理由があったんだよ。

3. 調べてみたら、これは「銀行界の生存戦略」だった

ことら送金を運営しているのは 「株式会社ことら」。設立は2021年で、メガバンク・地銀の合同出資 で作られた会社だ。

つまり、ことら送金は「ユーザーのため」というより、銀行界が一致団結して作った自衛策 だった。

銀行が失いかけていた3つのもの

PayPayやLINE Payが台頭するなかで、銀行が静かに失っていたものがある。

💡 銀行が失いかけていた3つのもの
リテール決済の主導権 — 個人の日常の支払いがPayPay経由になり、銀行は「PayPayへのチャージ元」に格下げ
個人データの主導権 — どこで何にいくら使ったかの情報がPayPay側に蓄積され、銀行は数字の入出金だけ見えている状態
収益機会の喪失と現金管理コストだけが残る最悪構造 — ATM網・現金輸送・店舗運営など、コストだけ抱えて稼ぐ場が他社に移っていく

このまま放置すれば、銀行は 「お金の保管庫」「PayPayへの蛇口」 に格下げされてしまう。だから銀行界は一致団結して、「個人間送金は銀行のプラットフォームで完結できる」 という選択肢を作ったわけだ。

もちろん ユーザーにとっても便利な機能 ではあるけれど、それと同時に 「銀行を守るため」の側面 も大きい——という二面性のあるサービス。

なぜPRが控えめなのか?(調べて見えてきた構造的な理由)

「便利なのにもったいない」と感じたので、なぜ派手なPRが打てないのかを調べてみると、いくつか構造的な理由が見えてきた。

🔍 ことらのPRが派手にならない構造的理由
「赤字を覚悟したばらまき」が銀行にはできない — PayPayは「100億円あげちゃうキャンペーン」「累積損失2,000億円近い先行投資」など、テック企業ならではの大胆さで一気にシェアを取りに行った。一方、銀行は株主への説明責任があり、規制下でこのスタイルは取りづらい
「個人間送金」自体に収益源がない — ことらは手数料無料の共通インフラ。利益を生まない構造なので、巨額の広告費を回収するロジックを作りにくい
銀行連合の足並みが揃いにくい — メガバンク・地銀・ネット銀行の共同出資なので、施策は最大公約数になりがち。各行が独自施策を打つにはコスト負担の調整が必要
UXが各銀行アプリ任せ — ことら独自のアプリがなく、ユーザーは普段使う銀行アプリから操作。統一されたブランド体験を作りにくく、CMで「○○アプリを開いて〜」と細かい説明が必要になる
「守りの戦略」だから派手にする必要が薄い — 攻めて市場を奪うのではなく、既存顧客を逃さないための仕組み。穏やかに浸透すれば目的は果たせる、というスタンスが垣間見える

つまり「広告予算がない」というより、ビジネス構造そのものが派手なマーケティングと相性が悪い。これが「便利なのに知られていない」というギャップの正体だ。

逆に言えば、ことらは静かに広がっていくのが運命 のサービス。これからの認知度上昇も急加速ではなく、口コミとアプリ内動線を通じて じわじわ進む タイプだと予想できる。


4. 世界でも同じことが起きていた

調べていくと、これは日本だけの話じゃないことが見えてきた。世界中で 「銀行 vs テック企業」 の決済インフラ争いが起きている。

🌍 世界の決済インフラ争い
米国Zelle(銀行連合)vs Venmo(PayPal系) — 個人間送金で激しい競争。Zelleは大手銀行連合、Venmoはテック企業発
欧州EPI(欧州決済イニシアティブ)vs Visa/Mastercard — 欧州の銀行連合が「米国カードブランドへの依存からの脱却」を目指す
インドUPI(政府主導) — インド政府が銀行・テック企業をまとめて統一インフラ構築に成功。世界最大の即時決済システムに
中国WeChat Pay・Alipay完結社会 — テック企業が圧勝。物理銀行に何年も行かない若者が普通

そして 日本の特殊性 は、「決済手段が乱立し、消費者が複数アプリを使い分けざるを得ない過渡期」 にいること。

  • 銀行アプリ
  • PayPay・LINE Pay・楽天Pay・d払い
  • クレジットカード(JAL・三井住友・楽天など)
  • 交通系IC(Suica・PASMO)
  • そして今、ことら

財布の中身が物理現金からアプリの羅列に変わっただけで、整理されていない状態。「誰が天下を取るか」がまだ決まっていない のが日本だ。


5. PayPayが「銀行」になる日

ここで気になるのが、PayPayの動き。よく見ると PayPayの『銀行化』はすでに進んでいる

📦 PayPay経済圏の今(2026年)
PayPay銀行 — 預金・振込
PayPayカード — クレジットカード
PayPay証券 — 株式・投信
PayPay保険 — 各種保険
PayPayあと払い — 後払い決済

つまり、もうPayPayは 「決済アプリ」ではなく「総合金融グループ」 に近い。これらがシームレスに連携すれば、ユーザーは 「銀行口座を持たなくてもPayPayだけで完結する生活」 が成立してしまう。

中国はまさにこの段階に到達している。物理銀行支店に何年も行ったことのない若者 が普通にいる。日本もこの方向に進む可能性はある。

ただし日本特有の 抵抗要因 もある:

  • 障害リスク(PayPayが落ちたら全資産凍結する怖さ)
  • 規制(銀行業の免許とテック企業の事業範囲)
  • 高齢層の根強い銀行信仰
  • 政治リスク(ソフトバンクの影響力への警戒感)

これらがブレーキになって、すぐに「PayPay完結社会」にはならない。でも10年スパンで見ると、構造は確実に変わっていく。

ごまもち
🐾 ごまもち
PayPayだけで生きていけるの?🐾
あずき
あずき
中国はWeChatPayとAlipayでほぼそうなってる。日本もPayPayを軸に近い動きが起きる可能性はあるよ。

6. じゃあ、わたしたちはどう構えるか

ここまで考えると、「自分はどの軸足で構えるか」を意識しておく価値が見えてくる。

今後10年の3つの見どころ

👀 これから注目すべき3つの動き
PayPay経済圏の完結度 — 銀行・カード・証券・保険までシームレスに使えるようになるか
ことら(銀行側)の巻き返し — 認知度向上+対応サービス拡充で生活インフラ化するか
デジタル円(CBDC)の登場 — 中央銀行発行のデジタル通貨。日銀も実験中。実装されると一気に景色が変わる可能性

CBDC(Central Bank Digital Currency) = 中央銀行が発行するデジタル通貨。日銀でも2023年から実証実験中。

わたしの「三層戦略」

どこに一極集中するのではなく、軸足を分散しつつ自分の使い方に最適化 するのがいまのわたしのスタンス。

🏛 あずきの三層戦略
主軸銀行(住信SBI)+証券(SBI証券) — メインの資産管理・投資・決済
補助PayPay — 小規模店舗・個人間送金の一部・現金代替
新規ことら — 友人間送金(銀行間で完結)

5年後・10年後にどの陣営が勝つかは正直わからない。だから 一極集中せず、柔軟に組み替えられる状態 を保っておくのが、わたしの今の答えだ。


7. 「ことら設定したら世界が見えた」

最初は「割り勘のために設定した」だけだった。

でも調べていくと、これは 決済インフラの主導権争いの最前線 だった。お金の流れ方が変わるとき、社会も変わる。日本がPayPay完結社会になるのか、銀行が踏ん張るのか、デジタル円が新しい軸になるのか——これからの10年でかなり姿が決まっていく気がする。

普段なんとなく使っているサービスの裏側にある 構造 を知ると、自分の選択がちょっと変わる。「PayPayをメインにするか?」「銀行を厚くするか?」「両方持っておくか?」。どれが正解かはわからないけれど、自分なりの軸足 を持っておくと、世の中の変化に振り回されにくくなる。

あなたはどの軸足で構えますか?

ごまもち
🐾 ごまもち
ぼくは、おやつをくれるひとがいちばんつよい派🐾
あずき
あずき
それはたしかに最強の軸足だね 笑

まとめ

  • ことら送金 は銀行口座間で10万円以下を手数料無料・即時送金できる仕組み。認知度28.7%、利用経験10.2%(2025年MMD)、累計送金額は8ヶ月で1兆円増
  • ただの便利機能ではなく、メガバンク・地銀合同出資の「銀行界の生存戦略」
  • 背景には 「リテール決済・個人データ・収益機会」を銀行が失いかけている 構造
  • 世界でも同じ争いが進行中(米Zelle vs Venmo、欧EPI、印UPI、中WeChat/Alipay)
  • PayPayの銀行化 はすでに進行(銀行・カード・証券・保険・あと払い)
  • これから10年の見どころ: PayPay経済圏 / ことらの巻き返し / デジタル円
  • わたしの戦略: 銀行+証券を主軸、PayPay補助、ことら新規 の三層構成
  • 「どこに一極集中せず、軸足を分散しつつ柔軟に」が大事

関連記事

この記事をシェア
🐾 関連記事
新NISA完全ガイド。34歳フリーランスのわたしが、1,800万円を10年で埋める道筋を全部書きます
investment
新NISA完全ガイド。34歳フリーランスのわたしが、1,800万円を10年で埋める道筋を全部書きます
債券は本当に必要?——年金・持ち家・働く力という『隠れ債券』で考えてみた
investment
債券は本当に必要?——年金・持ち家・働く力という『隠れ債券』で考えてみた
新NISA おすすめ証券会社2026——SBI・楽天・マネックスを比較して、初心者に勧めるならどれ?
investment
新NISA おすすめ証券会社2026——SBI・楽天・マネックスを比較して、初心者に勧めるならどれ?
オルカン vs S&P500——両方積み立てているわたしの結論「初心者ならオルカン」
investment
オルカン vs S&P500——両方積み立てているわたしの結論「初心者ならオルカン」