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日銀「物価は2%に届いた」。それでも、利上げしなかったのはなぜ?
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日銀「物価は2%に届いた」。それでも、利上げしなかったのはなぜ?

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ごまもち
🐾 ごまもち
にちぎん、きんり、あげたの?🐾
あずき
あずき
今回は、上げなかったよ。でも、大事な一言が入ってたんだ。

10月30日のお昼、日銀が金融政策決定会合の結果を出した。政策金利(日銀が決める、お金の貸し借りの土台になる金利)は1.25%のまま。据え置きだ。

ここまでは予想どおり。でも、日銀の発表文を読んでみると、物価の地力が、2%の目標に届いた、という判断が入っていた。物価の地力とは、野菜やガソリンのような一時的な値動きをならした、ふだんの物価の伸びのことだ。日経新聞は、2013年に2%の目標を決めてから、13年での到達だと伝えている。

届いたのに、なぜ上げないのか。同じ日には、日銀が持っている株のETF(株をまとめて買える投資信託)を売るペースを上げることも決まった。

先に答えを言うと
🏦「何が決まったの?」
→ 政策金利は1.25%のまま。9人のうち8人が賛成し、1人は1.5%への利上げを提案した
🎯「物価は2%に届いたの?」
→ 物価の地力は、2%の目標と「概ね整合的な水準」になった、と日銀が書いた。ただ、総裁は、2%が続いて定着するところには「まだ至っていない」と話した
⏸️「なぜ上げなかったの?」
→ 経済や物価のリスク、金融環境の動きを「もう少し見ていく必要がある」と判断した、と総裁は話した
📅「次はいつ?」
→ 次の会合は12月17日・18日。総裁は「次回会合を含め毎回の決定会合で」点検して判断する、と話した
📦「もう1つの決定は?」
→ 日銀が持っている株のETFを売るペースを、年3,300億円から8,600億円に上げる(買ったときの値段で数えた額)。売り終わるまでの年数は、約112年から約43年に縮む
🐾「わたしは、どう思う?」
→ 物価は2%以上上がっている実感がある。でも、日銀はいろいろなデータで判断していて、今回は予想どおり。9月に上げて、今回は1回あける。次は12月、もしくは1月なのかなぁ、と思う
順番に見ていく。

1. 何が決まったの?

日銀は、年8回、金利を決める会合を開いている。決めるのは、総裁・副総裁と審議委員の9人だ。今回は10月29日と30日の2日間で、結果は30日の12時2分に出た。

🏦 10月30日に日銀が決めたこと
中身
政策金利
1.25%で据え置き
賛成・反対
賛成8、反対1。反対した高田委員は、1.5%への利上げを提案したが、否決された
物価の地力
2%の目標と「概ね整合的な水準」になった。この先も同じくらいで続く見通し
これから気をつけること
物価が2%を超えて、上がりすぎていくリスク
この先の利上げ
「引き続き政策金利を引き上げ」ていく。時期とペースは、中東情勢・AI関連の需要・為替を見ながら決める
ETFの売却
年3,300億円から8,600億円に(買ったときの値段で数えた額)。2027年1月から。こちらは9人全員が賛成
日本銀行「当面の金融政策運営について」「経済・物価情勢の展望(2026年10月)基本的見解」(2026年10月30日 12時02分公表)から。要約はわたし

いちばん大事なのは、物価の地力(日銀の言葉では、基調的な物価上昇率)についての書き方だ。これが、2%の目標と「概ね整合的な水準」になった、と日銀は書いた。2%とほぼ合っている、という意味だ。

ふだん目にする消費者物価(生鮮食品を除く)も、いま、前の年より2%程度の上昇だ。日銀が年4回出す景気と物価の見通し(展望レポート)を見ると、消費者物価の伸びは、原油高などで、2026年度と2027年度は2.5〜2.6%と、2%をはっきり上回る。そのあと、2028年度には2%程度に落ち着く見通しだ。

📈 日銀の物価の見通し
2026年度2.5%2027年度2.6%2028年度2.0%(前回7月は2.4%)2%の目標
2027年度は、前回(7月)の見通しの2.4%から、2.6%に引き上げられた。生鮮食品を除く消費者物価の前年度比。9人の委員の見通しの真ん中の値。国会で話し合っている飲食料品の消費税の引き下げは入っていない。入れると、2027年度は1.3ポイントほど下がる計算(日銀「展望レポート」2026年10月)

もう1つ、気をつけることが変わった。これまでの日銀は、物価が2%に届かず、下がってしまうことに気をつけていた。今回は、2%を超えて上がりすぎていくリスクに気をつける、と書いている。日銀自身も「局面が変化しており」と書いた。


2. 届いたのに、なぜ上げないの?

物価が目標に届いたなら、そろそろ金利を上げるのでは、と思うかもしれない。今回は、上げなかった。

理由について、総裁は会見で、経済や物価をめぐるリスクや、金融環境(お金の借りやすさ)の動きを「もう少し見ていく必要がある」と判断した、と話した。9月に1.25%へ上げたばかりでもある。

もう1つ、「届いた」と「達成した」は別の話だ。総裁は、2%が持続的・安定的に実現するところには「まだ至っていない」と話した。届いたばかりの2%を、定着させていく段階だという見方だ。

例えると、車の運転に近い。日銀は、景気を後押しするために、まだ少しアクセルを踏んでいる。いまの金利は、物価の上がり方に比べると低く、お金を借りやすいからだ。目的地の2%に着いたので、少しずつアクセルから足を離していく。ただ、一度に離すと、車ががくんと揺れる。だから、9月に少し離したあとは、揺れ具合を見ている。

ただし、9人全員が同じ考えではない。高田委員は、2%に届いたのだから利上げのペースを速める新しい局面に入ったとして、1.5%への利上げを提案した。


3. 次の利上げは、いつ?

日銀は、利上げを続ける方針を変えていない。展望レポートには、「引き続き政策金利を引き上げ」ていくと書いてある。

時期については、総裁は「次回会合を含め毎回の決定会合で」、見通しが実現する確かさやリスクを点検して判断していく、と話した。12月にやるとも、やらないとも言っていない。

次の会合は12月17日と18日、その次は2027年1月21日と22日だ。市場の金利の動きから計算すると、12月に利上げすると見る割合は、会合1日目の10月29日夕方の時点で、7割台半ばだった(為替会社OANDAのまとめ)。

ごまもち
🐾 ごまもち
こんどは、12がつ?🐾
あずき
あずき
市場は、そう見ている人が多いみたい。でも、日銀は、毎回の会合で点検する、としか言っていないよ。

4. 日銀が、株を売るペースを上げる

同じ日に、もう1つ大事な決定があった。日銀が持っている、株のETF(株をまとめて買える投資信託)を売るペースだ。

日銀は、景気を支えるために、2010年から長いあいだETFを買ってきた。いまは、それを少しずつ売っている。

📦 日銀のETFの売却
中身
持っているETF
買ったときの値段(簿価)で36兆9,558億円(9月末)。3月末の値段(時価)では94兆1,871億円
売りはじめ
2026年1月19日。9月末までに、買ったときの値段で約2,300億円分が減った
いまのペース
年3,300億円。決めた当時(2025年9月)の、株の売り買い全体の0.05%ほど
2027年1月から
年8,600億円(約2.6倍)。売るときの値段(時価)に直すと、年2兆4,600億円ほど。株の売り買い全体の0.1%ほど
売り方
時期を分けて、持っているETFの銘柄ごとの割合に、おおむね合わせて売る。市場の様子しだいで、減らしたり止めたりもできる
日本銀行の公表文と参考資料(2026年10月30日)、営業毎旬報告(9月30日現在)、2025年度決算から。約2,300億円は、保有残高の減り方からのわたしの計算(日銀は売った額を公表していない)
⏳ 売り終わるまで、何年?
いまのペース約112年2027年から約43年
9月末の保有残高(買ったときの値段)を、1年に売る額で割った年数(日本銀行の参考資料)

2026年1月から売りはじめて、市場に大きな影響は出ていない。総裁の会見での説明はこうだ。今年は株価が2割ほど上がり、売り買いの量も大きく増えている。売り買いが増えると、同じ額を売っても、全体に占める割合は小さくなる。実際、夏にかけては、当初の目安の0.05%をかなり下回っていた。そこで、売り買い全体の0.1%ほど、43年くらいのペースなら、市場への影響も限られる、と判断した。

買ったときの値段で年8,600億円、売るときの値段で年2兆4,600億円ほどと聞くと、大きく見える。でも、1年の株の売り買い全体の0.1%ほどだ。

この日、日経平均は1,369円下がった。ただ、下げのほとんどは、日銀の発表の前に起きている。午前の取引の終わりに、すでに1,640円下がっていた。アメリカのハイテク企業の決算をきっかけに、AIや半導体の株が売られたためだ。発表のあとは、むしろ下げ幅を縮めている。日経新聞も、市場では「倍速でも吸収可能」と冷静に見る人が多い、と伝えている。

日銀が売るのはETFだ。ただ、ETFの中には、わたしが持っている日本の高配当株も入っている。間接的に、少しずつ売りが出ることになる。


5. わたしは、どう思う?

わたしが物価を感じるのは、スーパーで食べ物を買うときくらいだ。それでも、「これ、こんなにしたかなぁ」と思うことが、しょっちゅうある。

だから、消費者の目線で見ると、実際に2%以上上がっている実感がある。数字で見ても、9月の消費者物価では、生鮮食品を除く食べ物(パンや調味料、お総菜など)が、前の年より2.9%上がっている。物価全体の2.1%より、高い伸びだ。ブログでも、そう書いてきた。

ただ、日銀は、いろいろなデータを見て判断している。今回の据え置きも、予想どおりだ。9月に上げて、今回は1回あける。次は12月、もしくは1月なのかなぁ、と素人ながら思う。ソフトランディング、つまり、景気への影響を最小限におさえて、ゆっくり動きながら、そのつど考えていくやり方だ。

ラテン語では
Festina lente.
日本語にすると
ゆっくり急げ
ローマ皇帝アウグストゥスの口ぐせ(スエトニウス『ローマ皇帝伝』)。もとはギリシャ語で伝わる

ローマの最初の皇帝アウグストゥスが、よく口にした言葉だ。歴史家のスエトニウスによると、アウグストゥスは、指揮をとる人に、あせりと無謀ほど似合わないものはない、と考えていた。急いで進むことは大事だ。でも、あわてて走れば転ぶ。だから、ゆっくり急げ。

いまの日銀は、まさにそんな進み方に見える。2%に届いても、一度に金利を上げない。株も、43年かけて少しずつ売る。わたしも、ニュースの見出しにあわてずに、元の発表を確かめながら見ていきたい。


6. まとめ

🐾 この記事のまとめ
  • 10月30日、日銀は政策金利を1.25%のまま据え置いた。9人のうち1人は、1.5%への利上げを提案した
  • 物価の地力が、2%の目標と「概ね整合的な水準」になったと、日銀が書いた
  • ただ、総裁は、2%が持続的・安定的に実現するところには「まだ至っていない」と話した
  • 据え置いたのは、リスクや金融環境の動きを「もう少し見ていく必要がある」と判断したから。次の会合は12月17日・18日
  • 日銀は、持っている株のETFを売るペースを、2027年から約2.6倍にする。それでも売り買い全体の0.1%ほど
  • 物価は2%以上上がっている実感がある。でも、今回は予想どおり。次は12月、もしくは1月かなぁ、と思う
🐾 次に読むなら
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📚 参考にした情報源 ・日銀の決定:日本銀行「当面の金融政策運営について」(2026年10月30日)
・物価の見通し:日本銀行「経済・物価情勢の展望(2026年10月)基本的見解」
・ETFの売却:日本銀行「ETFの売却ペースの見直しに関する決定」、営業毎旬報告(9月30日現在)、2025年度決算
・総裁の会見:THE PAGE(会見の動画、自動字幕で発言を確認)、読売新聞、朝日新聞、共同通信、時事通信(いずれも10月30日。発言は会見の動画の自動字幕から。日銀の会見要旨が出たら、言い回しを照らし合わせる)
・市場の反応:日本経済新聞「東証大引け 日経平均は4日ぶり反落」、日本経済新聞「日銀、物価2%到達を表明」、日本経済新聞「日銀のETF売り『倍速でも吸収可能』」、OANDA(利上げの織り込み、10月29日夕方)、前引けの値はYahoo Finance(日経平均の5分ごとの値動き)
・9月の消費者物価:総務省統計局「消費者物価指数 全国 2026年9月分」(10月23日公表)
・格言:スエトニウス『ローマ皇帝伝』アウグストゥスの巻
⚠ 免責事項 この記事はあずき個人の考えと記録です。特定の銘柄や金融商品の売買、金利の動きについての予想をすすめるものではありません。総裁の発言は会見の動画から書き起こしたもので、日銀の公式の会見要旨とは言い回しが違うことがあります。

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